静岡県に16店舗のスーパー 創業1号店が52年の歴史に幕 1000人超える閉店撤回の署名届かず…
■焼津市の田子重小川店が4月16日に閉店 セールや記念品贈呈
静岡県内に店舗を展開しているスーパーマーケット「田子重」は4月16日、焼津市にある小川店を閉店する。1973年に開店した田子重の1号店で長年地元の住民を中心に愛されてきたが、業績の低迷によって閉店を余儀なくされた。16日まで閉店セールや記念品の贈呈を実施している。
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1972年12月に創業した田子重は翌年6月に1号店をオープンした。それが焼津市の小川店だった。その後、買い物しやすい広々としたフロアや子どもが遊べる遊具を設置したスペースなどを特長に打ち出して、店舗を増やしてきた。現在は小川店を含めて16店舗を運営する。
田子重は今年2月中旬、小川店の閉店を公式ホームページで発表した。これを受けて地元住民らは閉店の撤回を要望する署名を集め、その数は1000人を超えた。田子重は請願書に感謝しながらも、苦しい事情を次のように説明して理解を求めた。
「弊社では、小川店が人口減少地域に立地しているという困難な問題に対し、これまで鋭意様々な経営努力を重ねて参りましたが、長年の業績低迷からの回復はいかんともしがたく、やむなく閉店させて頂くことになった次第です」
「小川新町で生まれ育った私個人としても、また組織としても歴史と思い出の詰まった弊社の第1号店である小川店を閉店するのは、誠に辛く、無念・残念の決断ではありましたが、地域の皆様に支えられて事業活動を行っているという事実を改めて再認識致しました」
「皆様の長きにわたるご愛顧、ご支援に心より感謝申し上げますとともに、ご不便、ご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。誠に勝手ではありますが、お客様のご期待に沿う営業を今後とも心掛けて参りますので、何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます」
請願書には買い物客から「遠くに住んでいる孫にいつも小川店で買っていたイチゴを送っていた」、「鮮魚コーナーを楽しみにしていた」、「店がなくなるのは辛い」、「営業時間が短くなったり、惣菜の半額がなくなったりしても良いので閉店を考え直してほしい」といった声が寄せられた。
52年の歴史に幕を下ろす苦渋の決断をした田子重は、今までの感謝の気持ちを込めて4月16日の閉店日までセールや記念品の贈呈を実施している。14日は先着1000人にマグネットまたはキーホルダー、15日は先着2000人に手ぬぐい、16日は先着2000人に花をプレゼント。その他にも、ホームページでダウンロードできるぬり絵を完成させてサービスカウンターで提示すると、年齢を問わず全員にお菓子を手渡すという。
(SHIZUOKA Life編集部)