夜明けの田舎道で荷台から1羽の鶏が落っこち逃げ出す不穏さ『おんどりの鳴く前に』ほか新作4本紹介
毎週・木曜日の深夜1時30分から北海道・札幌のエフエムノースウェーブで放送されている、矢武企画制作・映画専門ラジオ番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画が映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報をお届けします。
2月27日(木)に放送された「キャプテン・ポップコーン」は、『死に損なった男』、『ブルータリスト』と『世界征服をやめた』、『知らない彼女』、『おんどりの鳴く前に』をご紹介!
キャプテン・ポップコーンは、スマホのアプリやインターネットで聴けるradikoのタイムフリー(無料)と、道外にお住まいの方はradikoのエリアフリー(月額¥385)で放送後1週間以内であれば聴くことができます。
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※この記事では2月27日(木)放送の内容をお届けします。
※公開される映画館名や作品情報は上記日程の放送時点のものになりますのでご留意ください。
【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画
矢武企画ことキャプテン・ポップコーンが最新映画をご紹介っ!
映画『死に損なった男』
お笑いの道に憧れて構成作家になったが、殺伐とした社会と報われることのない日々に疲弊してしまった一平(空気階段・水川かたまり)。
駅のホームから飛び降りる決意をするが、隣の駅で人身事故が起こったことにより、その行為は未遂で終わる。
しかし、死に損なると一平の前に男の幽霊が現れ、娘につきまとっている男を殺してくれないかと殺人依頼を持ちかける。しかも断るなら男を殺すまで幽霊は一平に取り付くと脅すという完全オリジナルストーリーです。
監督は、最新作『Demon City 鬼ゴロシ』が2月27日からネットフリックス配信予定の田中征爾。キングオブコント優勝の経歴を持つ空気階段・水川かたまりが映画初主演です。
田中監督はバイトを始めた銭湯で、深夜に風呂場で人を殺していたという物語の映画『メランコリック』(19)の監督で、個人的に『メランコリック』が好きだったのでとても楽しみに観に行きました。
タイトル名から、わりとバイオレンスなのかなと思っていましたけどそんなことはなく、ヒューマンドラマかつコメディという感じでした。
セリフでは「殺せ!!」「殺せ!!」と暴力的な表現が多いですが、わりと人助けの映画だなと思ったので、タイトルだけで敬遠している方は安心して観てもらいたいなと思います。
一般的には非日常なストーリーが軸ですが、そこにある暮らしも描いていて感情的に受け入れやすい作品でもあります。
映画『死に損なった男』は札幌シネマフロンティア、サツゲキのほか江別、小樽、北見、釧路で2月21日(金)から絶賛公開中です。
映画『ブルータリスト』
才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人の建築家のラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、第二次世界大戦下のホロコーストから生き延びたが、妻と姪と強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるため、アメリカへと単身移住したトートは、そこで裕福で著名な実業家ハリソン・ヴァン・ビューレン(ガイ・ピアーズ)と出会う。
建築家ラースロー・トートのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは才能を認め、家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築をトートへ依頼した。しかし、母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。トートが希望を抱いたアメリカンドリームとは裏腹に、彼を待ち受けていたのは、大きな困難と代償だったのだという映画です。
監督はロマン・ポランスキー、主演はエイドリアン・ブロディと『戦場のピアニスト』(03)のコンビです。
この作品は第81回ベネチア国際画祭での銀獅子賞つまり最優秀監督賞を受賞し、第97回アカデミー賞でも作品賞のほか、計10部門にノミネート。
本編はなんと215分!前後100分ずつに分かれ、15分のインターミッションつ(休憩)があります。
数字だけを見ると結構長いのですが、作品上に表記されるモダンなテロップ、そしてテンポの良い音楽が流れ、夢中で観ることができました。
建築物や映像に映るモノのセンスが良くて、すごい眼福な時間でもありました。
ホロコーストを前面に押し出すような映画ではなく、トートという人間にスポット当てた作品に感じました。
215分を家で集中して観るのは大変なので、気になる方はなるべく映画館の環境で観て欲しい1作でした。
北海道では残念ながらIMAX®上映されていませんが、道外の映画館ではIMAX®シアターで観られるようなので、キャプテンの代わりに見てきてほしいなと思います。
映画『ブルータリスト』はR15指定で、TOHOシネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川駅前で2月21日(金)から絶賛公開中です。
函館シネマアイリスは3月21日(金)、苫小牧シネマ・トーラスは近日公開予定です。
映画『世界征服やめた』
内向的な社会人の彼方(萩原利久)は、自分は誰からも必要とされていないのではないかと無力さを感じながら、絶望の中で変化のない日々をやり過ごしていた。
そして、どこか飄々としていて、それでいて白黒をはっきりとさせたがる彼方の同僚、星野(藤堂日向)。星野の選んだ決断に、彼方の人生は大きく揺れ動く。
死の意味を知るとき、明日の選択は自分でできることを知る。
世界征服という途方もない夢を追いかけるよりも、自分にしか描けない道、二人の日常が大きく揺れ動いていく短編映画です。
脚本、監督は『東京リベンジャーズ』などに出演する俳優の北村匠海。
主演は「美しい彼」シリーズの萩原利久。
監督自身が自分の頭の中を好きなように撮っているなというインディーズベースな作品でした。短編なので51分です。
映画『世界征服をやめた』は
サツゲキで2月21日(金)から公開です。
映画『知らない彼女』
大学時代に出会い、互いに一目惚れして結婚した神林リク(中島健人)と前園ミナミ(milet)が主人公。
恋に落ちて8年、人気作家になったリクと、歌手の夢を諦めたミナミ。ケンカをした翌朝リクが目を覚ますとミナミの姿はなく…。人気作家ではなく文芸誌の編集部員になったリク、そしてミナミはトップアースティストになっている。自分とは知り合ってすらいない世界が始まっていた。戸惑いながらも人生のすべてを取り戻すべく奔走するリクだったが…。
フランス、ベルギー合作映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(21)を原作に、『陽だまりの彼女』(13)の三木孝浩が監督。
『お前の罪を自白しろ』(23)の中島健人が主演を務め、映画初主演となるシンガーソングライターのmiletと共演するファンタジックラブストーリーです。
三木監督のホワーっとするお日様の温かさのようなヒロインを切り取る画!良いですよね。観てる我々はメインキャラクターの元の幸せを願いがちですが、別世界線にもメインキャラを取り巻く登場人物が、その世界線で生きてるわけです。
本作は恋愛映画と思いがちですが、主人公リクの親友である梶原恵介(桐谷健太)との友情にも注目してほしいです。
映画『知らない彼女』はTOHOシネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌のほか、旭川、小樽、江別、釧路、北見、苫小牧、帯広で2月28日(金)から公開です。
映画『おんどりの鳴く前に』
ルーマニアの地方にある静かな村の中年警察官イリエ(ユリアン・ポステルニク)、野心を失い淡々と日々を送っている彼の願いは、果樹園を営みながらひっそりと第二の人生を送ること。しかし、平和なはずの村で残殺死体が見つかったことをきっかけに、イリエは美しい村の闇を次々と目の当たりにすることになる。正義感を手放した警察官がたどり着く衝撃の結末とは…。という映画です。
監督はルーマニアの若手監督パウル・ネゴエスク。
欲望と正義の狭間で揺れる主人公の葛藤、社会風刺を交えて巧みに表現し、ルーマニア・アカデミー賞6冠の快挙を成し遂げています。
冒頭、夜明けの田舎道をトラックが走っていて、その荷台の檻には鶏が積まれています。そこから一羽のおんどりが落っこちて逃げ出す、そんな不穏な始まり方がもう最高です。サスペンス要素やコミカルな要素もあり、映画が好きな人はそのカットで引き込まれると思います。しかも、マニアックな感覚ですが、最初はイラン映画の『オリーブの林をぬけて』(94)のようなのほほんとした雰囲気もあります。田舎なので。
その中での不穏さがいつ出てくるのかというところに注目して観てみてください。
映画『おんどりの鳴く前に』はPG‐12指定でシアターキノで3月1日(土)から公開です。