周年契機にひらく未来 多摩区・佐藤区長に聞く
本紙では、佐藤直樹多摩区長(58)に恒例の新春インタビューを行った。佐藤区長は、市制100周年の節目を迎えた2024年を振り返るとともに、25年のテーマに「展」の一文字を掲げ、周年を契機に今までの取り組みを広げていきたいという思いを語った。(聞き手/本紙・山本浩史)
――昨年4月に多摩区長に就任しました。多摩区の印象を聞かせてください。
「自然が豊かな印象と、人口増を感じます。区画整理の影響や、小田急小田原線とJR南武線の交通結節点である登戸駅もあり、交通の便がよいことも人口増の要因。少子化だとか、人口減少と言われている中、これだけ人が増えているのは市内でも珍しく、他にはないのではないかと思います。豊かな自然に加え大学や岡本太郎美術館、日本民家園などの文化教育施設も点在しており、まさに『水と緑と学びのまち』だと思います。また、多摩区の人たちの優しさも印象的です。本当にいろいろな所で活躍されている人が多く、ありがたいと思っています」
――市制100周年の節目だった2024年は多摩区にとってどのような年でしたか。
「区として、謎解きまち歩きイベントや、スポーツフェスタ、生田出張所の新広場では、記念植樹も行われ、福田紀彦市長にも参加いただきました。常緑キリンソウの苗を植えた袋を並べ、『かわさき100th』の文字を多摩警察署前の中央分離帯に描きました。袋に苗を植える作業を、この場所を学区とする登戸小と東生田小の児童に協力していただきました。取り組みを通じ、区民の皆さんに区や市のことをよく知っていただき、愛着を深めてもらいました」
取り組みさらに展開を
――記念事業として、全国都市緑化かわさきフェア(緑化フェア)もありました。振り返りと春会期に向けた展望を教えてください。
「生田緑地がコア会場の一つとなり、非常に多くの人たちにご来場いただき、区のことを知ってもらえました。春に向けても、さらに盛り上がるよう、PRを続けていきたいと思います」
――安全・安心のまちづくりの観点から、防犯や防災の取り組みは、どう考えていますか。
「闇バイトなどが横行しており、報道されていますが、住民同士の付き合いが薄いとか、ごみ出しのルールが守られていないなど、そういう所が狙われやすい。住民のつながりをつくり、防犯力を高めるため、今までの取り組みをさらに進めていきます。愛犬と散歩しながら地域を見守る『わんわんパトロール』も昨年10月から始まりました。そういった人たちの手もお借りして、安全安心のまちにしていきたいです。防災の面では、能登半島地震で、備えをもう一度考え直す機会になっていると感じています。地震後のトイレ問題や避難所の課題、また在宅避難できるよう、自助の備えの部分も含め、しっかり啓発をしていかなくてはいけません」
――開設5年目となる「多摩区ソーシャルデザインセンター」(多摩SDC)との連携の状況を教えてください。
「恒例の登戸・たまがわマルシェはもちろん、菅町会子どもフェスなど、行政とは少し異なる形で、地域のまちづくりに関わってもらっています。若い世代だけではなく、多世代が段々と入ってきている。そういった方々を巻き込んで『カラフルカフェ』も継続的に開催していただいている。『みんなが認め合い力を合わせてみんなが幸せなまちをつくる』ということが開設の基本理念になっているので、その実現を目指して、区としても、引き続き伴走支援を行っていきます」
――今年は多摩区にとってどのような年になりますか。
「人と人のつながりが希薄になっているというのは、どこでも行政課題になっています。地域のつながりを、さらにしっかりとつなげるような取り組みが何か生まれればと思います。1月25日に地域デザイン会議と地ケアフォーラムを同時開催します。講演だけではなく、ブースなども出店する予定です。引き続き、コミュニティ形成に関する取り組みをしっかりとしていきたいと思います。また昨年11月、生田に開所した『多摩区保育・子育て総合支援センター』。区における保育と子育ての拠点としてしっかりと機能させたいと思います。区として、どう活用していくのかというのは重要。子育てしづらいなど、相談に乗れる施設にしたいです。2月には、センターで市長と直接対話を行う『車座会議』を行う予定ですので、意見の交換ができればと思っております」
――最後に区民へメッセージをお願いします。
「次の100年に向けさまざまな取り組みを区政に広げていきたいと思い『展』という言葉を選びました。100周年をステップとして、今までの取り組みをさらに、どんどん広げていきます」