空き家の放置は百害あって一利なし!空き家の活用法とメリット・デメリット
「将来誰も住まなくなった実家をどうするか」
不動産の相続問題は終活の重要な項目の一つ。
実家を「放置空き家」にしないために、知っておきたい情報を専門家に聞きました。
教えてくれたのは…
サワ建工株式会社 専務取締役 逆井崇伸さん(右)・工務部主任 中村光佑さん(左) 創業35年。建設・不動産業に加え、空き家再生事業「あき家ZERO」も手掛ける https://www.sawakenkou.com/
空き家の活用法とメリット・デメリット
総務省「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、日本全国の空き家は2018年で約848万9000戸あり、増加傾向です。
空き家を放置すると、地域の景観やまちづくりの質の低下、防犯上の問題、建物の劣化や倒壊の恐れなど、さまざまな社会問題を引き起こす可能性があります。
空き家の活用法を検討している、将来空き家を所有する可能性がある人は、活用法とメリット・デメリットをよく理解しておきましょう。
空き家の活用法(1)現状の建物を利用する
この場合は再利用またはリノベーションが行われます。
賃貸物件や宿泊施設、共同住宅や店舗などに転用することで、地域の観光振興や経済効果が期待できます。耐震性や法規制などに留意し、建物の状態や利用ニーズに合わせた計画が必要ですが、初期投資が少なくて済むこと、すぐに利益を得られることがメリットです。
建築・解体の費用を抑え、既存の建物の資産価値を最大限に生かせます。市場調査や需要分析など需要に応じた利用方法の検討が必要ですが、利用が始まれば早い段階で収益を確保できる可能性が高いでしょう。
デメリットは修繕費用がかかること。
外壁や屋根の防水効果が低下していると雨漏りや結露が発生し、建物の耐久性が低下します。古い配管や電気設備は故障やトラブルのリスクも。建物全体の修繕や設備更新の出費によって、収益性の悪化が懸念されます。
空き家の活用法(2)建て替える
この場合は、地域の建築基準や法規制に適合するため、予算やスケジュールを慎重に考慮する必要がありますが、収益性をアップできることと自由度の高さがメリットになります。
利便性の高い魅力的な建物デザインを採用すれば、需要に合った賃料や価格を設定できます。需要や利用者の獲得・維持がしやすくなり、最新設備の導入でランニングコスト削減や環境負荷も軽減。長期・持続的な収益を生み出し、投資効果の最大化が期待できます。
建物の用途やデザインに柔軟に対応できるので、商業施設やオフィスやカフェなどへの転用も可能。新築ならではの設備を導入して周辺の競合物件と差別化を図り、需要を喚起することができます。
デメリットは、解体・設計・建築に膨大な費用と期間が必要なこと。
地盤調査や設計図の作成、各種申請など多くの手続きや調査が不可欠で、業者の予定や工事の進行状況で期間が変動します。
空き家の活用法(3)更地にする
更地にすると、新たな用途や開発計画が可能に。
解体作業にはコストと時間がかかるため、予算とスケジュールの確保も重要です。周辺環境や法規制にも配慮しましょう。
メリットは、土地の特性や需要に合わせた活用方法が選べること。交通の便が良い場所なら商業施設やオフィスビルに。自然豊かな場所ならリゾート施設や農業施設に。建物の制約を受けずに新たな資産価値を構築でき、需要や市場の変化に合った活用法が可能です。
デメリットは解体費用がかかること。
解体専門業者を雇う必要があり、作業手続きと手数料や申請費用も必要です。解体費用は一般的に、木造住宅30〜50坪で約120〜300万円、鉄骨造なら約150〜330万円、鉄筋コンクリート(RC)造なら約180〜360万円です。
また、固定資産税は土地と建物の評価額に基づいて計算されるため、建物がなくなると評価額が減少し、軽減措置や減税対象から外れる可能性もあります。
更地のまま放置して、地域の景観や環境に悪影響であると自治体の指導や苦情が入った場合、対応に時間と費用がかかります。
空き家の放置は百害あって一利なし
いずれにしても十分な利益を得るためには、確かな知識や初期投資、国や自治体などへの補助金の申請、売買・賃貸の仲介、物件の管理・運営が必要です。
空き家の放置は百害あって一利なし。
「空き家を相続したが何から手を付けたらいいか分からない」「放置したくないが手間も時間もかけられない」「空き家の所在地が遠方なので自分で管理は難しい」などの場合には、空き家の活用・運用を代行するサービスも検討し、大切な「資産」として生かしましょう。