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家事育児の負担をめぐる夫婦のすれ違い。“自由な時間”を公平に分け合うコツ

saita

家事育児の負担をめぐる夫婦のすれ違い。“自由な時間”を公平に分け合うコツ

「もうちょっと家事育児してほしい」妻からそう言われた夫は、思わずこう反論したくなるかもしれません。「俺だって仕事して、家事育児だってやれるときにちゃんとやってる。大変なのはお互い様だろ?」たしかに、夫も仕事をしながら家事育児をこなしています。日々頑張っている自覚があるからこそ、「これ以上どうしろっていうんだ?」と感じるのも無理はありません。しかし、家事や育児の大変さは「やるかやらないか」だけでは測れません。問題の本質は、「夫婦それぞれがどれだけ自由な時間を確保できているか」です。

【妻へ】「できてない」と自分を責めないで

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家事育児の負担が大きいと感じている妻の中には、「自分がもっとちゃんとやらなきゃ」と思い詰めてしまう人も多いのではないでしょうか?

・毎日しっかり掃除しないといけないのに、できていない…

・子どもに栄養バランスの取れた食事を作りたいのに、簡単なもので済ませてしまった……

・夫が帰宅するまでに家の中を整えておきたいのに、バタバタのまま夜になってしまった……

「本当はこうあるべきなのにできていない」と、自分を責めていませんか? 理想の暮らしと現実のギャップに苦しむより、まずは 「今できていること」 に目を向けてみましょう。

・忙しい中でも子どものためにご飯を作った

・疲れていても最低限の掃除や片付けをした

・今日も子どもを無事に寝かしつけた

どんなに小さなことでも、「今日も頑張った」と自分を認めることが大切です。家事育児は終わりのない仕事だからこそ、完璧を目指しすぎず「できたこと」に目を向けて、自己嫌悪に陥らないようにしましょう。

【夫へ】「自由な時間の公平性」を意識してみよう

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夫としても、「これ以上家事育児を増やすのは無理だ」と思うのは当然かもしれません。仕事も大変だし、自分だって家のことをやっている。それなのに「もっとやって」と言われると、どうしても不満を感じてしまいます。

しかし、家事育児の負担は 「毎日休みなく続く」という蓄積の苦しみでもあります。

例えば、夫が残業をしている間、家では誰かが子どもの面倒を見ているはず。あなたが仕事に集中できるのは、その時間、家庭のことを任せられる相手がいるからです。

また、「休日くらいゆっくり寝たい」と思うこともあるでしょう。でも、その間に妻がゴミ捨てをしていたり、子どもの朝ごはんを準備していたりするのなら、それは妻にとっては「休み」ではありません。

ここで大切なのが 「夫婦の自由な時間を公平に担保し合う」 という考え方です。

「自由な時間」とは何か?

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「自由な時間」と聞くと、遊びや趣味の時間を想像するかもしれません。しかし、実は 「残業」や「勉強の時間」も自由時間の一部なのです。

例えば、妻が時短勤務や定時上がりで働いている場合、妻には「残業をする自由」がありません。仕事を続けながらも、家事育児を優先せざるを得ない状況にあるのです。

つまり、「残業をする自由がある夫」と「仕事後すぐに家事育児に追われる妻」では、自由な時間のバランスが大きく違うということになります。

家事育児のシェアは単に「作業を分担する」だけではありません。「お互いの自由時間を公平に保つための手段」 なのです。

「時間の公平性」を保つためにできること

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では、夫婦で時間の公平性を保つためにはどうしたらいいのでしょうか?

例えば、こんなルールを決めてみるのはどうでしょう。

・もし土曜日に夫が昼まで寝るなら、日曜日は妻が自由に過ごせる時間を確保する

・夫が休日に趣味の時間を取るなら、妻も同じだけ自由な時間を確保する

・「仕事だから仕方ない」ではなく、「仕事も含めてお互いの時間をどう確保するか」を考える

こうした工夫をすることで、「どちらか一方が我慢する」関係ではなく、「お互いに納得できる」関係を築くことができます。

時間の使い方に貴賤はない【相手の自由時間に口を出さない】

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もう一つ、夫婦関係を良好に保つために重要なのは、「相手の自由時間に口を出さない」ことです。例えば、あなたが残業を切り上げて早く帰ってきたとき、妻がただダラダラしているように見えたらどう感じますか? 「せっかく早く帰ったのに、家事をするでもなくダラダラしてるだけ? だったら残業してもっと稼いだほうがよかった」そう思ってしまうと、関係はどんどん悪化してしまいます。

自由時間の使い方は、相手の自由です。 「何をしてもいい」という前提があるからこそ、真の意味での自由な時間なのです。

・ダラダラ過ごすのもOK

・趣味に没頭するのもOK

・仕事のために勉強するのもOK

・「せっかくの自由時間なのに家事育児をする」もOK

大切なのは、「自由な時間の使い方を、自分で決められること」。それを尊重し合えれば、夫婦の関係はもっと対等で、心地よいものになるはずです。

さいごに

家事育児の負担をめぐる夫婦のすれ違いは、「どちらがどれだけやっているか」ではなく、「自由な時間を公平に確保できているか」の問題です。

・妻は、「できない自分」を責めすぎないこと

・夫は、「自由な時間の公平性」を意識すること

・お互いの自由時間を尊重し、干渉しすぎないこと

この3つを意識することで、「どちらかが我慢する」関係ではなく、「お互いが納得できる」関係を築いていけるのではないでしょうか。

夫婦でしっかり話し合い、「公平なシェア」の形を見つけていきましょう。

三木智有/家事シェア研究家

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