ドナルド・トランプが全米公開を阻止しようと封印したかった衝撃の映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』1月17日公開
昨年の大統領選で再選を果たしたドナルド・トランプの一挙一動に世界の注目が集まっている。1月20日の第47代大統領就任式も間近だ。
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は長年政治ジャーナリストとして活躍し、「FOXニュース」の初代CEOで、保守派視聴者を扇動する報道でアメリカ社会に多大な影響を及ぼしてきたガブリエル・シャーマンの脚本による。彼は駆け出し記者の時代からトランプの取材を続けて来た。父親の不動産業を引き継ぎ、実業家としてのキャリアをスタートさせた頃のトランプは、喋り方もソフトで奥ゆかしさもあり、どことなく自信がない感じで、現在目にするトランプとは正反対だった。
シャーマンは、トランプに最も影響を与えたとされる伝説の弁護士、ロイ・コーンに注目した。彼の伝記を読み、長年ロイの秘書だった人物やロイの所属していた弁護士事務所の元社員など彼を良く知る人物に取材を重ねた。これまでもドラマや映画でロイを取り上げた作品はある。アル・パチーノ主演でエミー賞を独占したドラマシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」では、ゲイを隠した男がエイズによる合併症で死亡するという筋書きだが、主人公はロイがモデルである。ロイの半生を関係者の証言や記録映像で構成したドキュメンタリー映画『ロイ・コーンの真実』(2019)もあるが、人を操る天才、政界の黒幕、悪徳弁護士と称され評判のよろしくない人物だ。
不動産業を営むトランプの父の会社が、物件の入居審査で人種差別をしているとして、司法省から訴えられ廃業に追い込まれる窮地にあった。そんな最中にトランプはロイと出会い、父の反対を押し切って弁護を依頼し裁判に勝利するのだ。ロイは大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だった。ロイはトランプを「哀れな坊や」と呼び、勝つためには「攻撃、攻撃、攻撃」「非を絶対に認めるな」「勝利を主張し続けろ」という3つのルールを伝授するのだった。トランプは服装から立ち居振る舞いまで垢抜けていき、いくつもの事業を成功させていくのだが、その変貌はロイの想像をはるかに超えたものだった……。
シャーマンは、二人の出会いから、ロイに導かれて劇的な変化を遂げ、トップに上り詰めていくまでの過程を脚本にした。監督には、イラン系デンマーク人のアリ・アッバシ監督を探し出した。トランプを演じるのは、セバスチャン・スタン。若かりし頃のトランプを徹底的に調べ、インタビュー記事をすべて読み、トランプに没入して役作りを続けた。気弱な青年から、傲慢な人物になる過程の変化がよく伝わってくる。ロイには、ジェレミー・ストロング。ロイの動画をみて、特徴ある声を掴み、作家ケン・アウレッタに話を聞き、ロイの哲学や人物像を作っていった。
さらに注目したいのは主役の特殊メイクである。あまりに似すぎていても、本人から離れすぎていてもリアル感がない。特徴を備えた人物をつくりあげるためにも、エミー賞受賞歴を持つ特殊メイク責任者ショーン・サンソンのチームによる長い準備段階があった。一日の撮影に挑むセバスチャンがトランプに変身するまで毎朝2時間かかったという。
本作のタイトル「アプレンティス」は「弟子」を意味する。ロイにとっては、自分の理念を完璧にしてくれるのが弟子のトランプだったのだ。
シャーマンは、「人生で大事なのは、勝つこと以外ないと思っている人物がどうなるか、本作は警告を発している。勝つことだけが求められている社会に自分たちは生きているけれど、別の価値観があるはず。この映画が、そんなふうに考えてもらえる手助けになればと願っている」と語っている。
ドナルド・トランプが、全米公開を阻止しようとするほど、封印したかった過去が今、明かされる。
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
2025年1月17日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.
配給:キノフィルムズ
監督:アリ・アッバシ
脚本:ガブリエル・シャーマン
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ、マーティン・ドノヴァン
公式サイト: https://www.trump-movie.jp