三軒茶屋・下北沢・池尻大橋のおすすめ隠れ家喫茶5店。至福のオアシスにうっとり
人気エリアだけあって、老舗喫茶やモダンカフェの多いこと。そんななか、秘密基地にしたくなるような店が街に点在する。お茶とお菓子をいただくひとときで、解脱まっしぐら。
欧州アンティークと味わう極上の時間『Majorelle(マジョレル)』【三軒茶屋】
高い天井からアール・デコ、アール・ヌーボーのランプが無数に下がり、カトラリー、ビンテージアクセ、クリスタルグラスをやさしく照らす。「オールドバカラを中心に揃えています」と、店主の本田晶子さんは贅沢(ぜいたく)にもカフェで味わうプリンにも一つ一つ柄が異なるバカラのシャンパングラスを使用。味わうとむっちり固め。カラメルの苦味が効いて、これぞクラシック!と膝を打つ甘さだ。カフェオレボウルを両手で抱えながら優美な時間に浸りたい。
『Majorelle』店舗詳細
Majorelle(マジョレル)
住所:東京都世田谷区下馬2-6-14/営業時間:11:30~18:00/定休日:火・水/アクセス:東急電鉄田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩16分
路地の先で音とアートとコーヒーを『CAL COFFEE CLUB(キャル コーヒー クラブ)』【下北沢】
奥まって立つがゆえ、穴場感ハンパなし。特注の真空管アンプを通したジャズレコードの音が心地よく、季節で入れ替える風景画や猫の置物にほっこり和む。「店の名前は初代の茶トラから取ったんですよ」とは、念願のカフェを始めた土井真理子さん。不揃いのアンティーク家具に席をとり、ハンドドリップコーヒーをすすれば、深い香り。軽やかな口当たりのレアチーズケーキとよく合う。「亡き夫が大好きだった」蒸し焼きプリンや週末の夜カフェも人気だ。
『CAL COFFEE CLUB』店舗詳細
CAL COFFEE CLUB(キャル コーヒー クラブ)
住所:東京都世田谷区代沢5-34-19/営業時間:11:00~18:00(金・土は20:30~23:00のバー営業あり)/定休日:月・木/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩5分
色香をまとう空間で香味を堪能『drip』【池尻大橋】
狭い階段を上り、扉を開くと、木調で設えた空間にため息。デザイン事務所でもあり、洋書やアート雑誌にクリエーターたちが手を伸ばす。コーヒーはエチオピアとブラジルの特注ブレンドで、コクがあるのに果実のような甘酸っぱさ。この味わいに合うよう、店長の小川莉咲(りさ)さんが工夫を凝らすのが自家製スイーツだ。しっとりしたチーズケーキは、焼く直前にパルミジャーノレッジャーノを削り入れ、鼻に抜ける濃厚な香りが魅惑的。じっくり味わいたい。
『drip』店舗詳細
drip(ドリップ)
住所:東京都目黒区東山3-14-2 東山共同ビル 2F/営業時間:14:00~20:00( 土・日は12:00~)/定休日:火・水・金/アクセス:東急電鉄田園都市線池尻大橋駅から徒歩2分
飲みもの片手にまったりと憩う場所『喫茶サロン ことたりぬ』【若林】
ストーブが赤々と燃え、看板が点っていたら営業中。民俗学に古い食物本、漫画などの本や、棚に並ぶマスター手縫いのコロナくんを手にとって眺めるのが楽しい。深煎りオールドビーンズのコーヒーは苦味と香りが深く、抹茶茶碗で供すミルク珈琲にはフワッフワの泡がこんもり。レモン香るビスケットサンドなどの食べものは売り切れ御免なれど、「近所で買って持ち込んでもいいですよ」とマスター。できる飲みものなら作ってくれるスタンスも心憎い。
『喫茶サロン ことたりぬ』店舗詳細
喫茶サロン ことたりぬ
住所:東京都世田谷区若林5-6-11/営業時間:夕方~夜/定休日:木・不定/アクセス:東急電鉄世田谷線若林駅より徒歩45秒
みずみずしい香りと甘みが重奏的『喫茶 一房(ひとふさ)』【下北沢】
ハンドドリップの深煎りコーヒーをのんびり味わうだけでもいい。けれど、この店を訪れたならフルーツサンドは外せない。店主の松田剛毅(よしき)さんは店先に並ぶフルーツを見て「色が合うなら味も合う。あとは思いつきで」とコンビネーションを工夫。洋梨には、マスカルポーネ入りの生クリームとラム酒香るカスタードを。柿には、岩塩で味を引き締めた粒あんと黒ゴマを。フルーツの香りと甘さがより際立ち、口中のハーモニーに誰もがうっとり目を細める。
『喫茶 一房』店舗詳細
喫茶 一房(ヒトフサ)
住所:東京都世田谷区北沢2-21-26-2F/営業時間:11:00~16:00LO(金・土は20:00~24:00の夜パフェ喫茶あり)/定休日:不定/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩3分
取材・文=林さゆり 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2025年1月号より