「ここにしかない出会い」が詰まってる。上田のブックカフェ『本と茶 NABO(ネイボ)』で見つけた最高の休日の過ごし方@上田市
10年前、私の休日の過ごし方のひとつだった「本屋めぐり」。
自分にとっての「良い本屋」と「そうでもない本屋」がはっきりとあって、少し遠方にある「良い本屋」に出向いて1日中籠ってることもありました。
ライフステージの変化で、最近では本屋さんに行くという選択肢を忘れかけていたのですが…10年の時を経てもしっかりと私の頭の片隅にあったのです、「あの本屋に置いてある本は間違いない」という信頼が。そのお店こそが、上田にあるブックカフェ『本と茶 NABO(ネイボ)』です。
全国から届く古本から、選りすぐられた精鋭たち
『本と茶 NABO』があるのは、上田市。北欧インテリアに囲まれたカフェ「haluta上田店」として親しまれていた場所で、2015年1月から『本と茶 NABO』として営業を開始しました。
NABOを運営する「バリューブックス」は、2007年に長野県上田市で創業。今や全国から注目を集めるリユースカンパニーで、古本を通じて“本のある豊かな暮らし”を提案しています。
オンライン書店として毎日3万冊ほどの本を全国から受け入れ、新たな読者のもとへ届ける一方、地域では『本と茶 NABO』や移動式書店『ブックバス』、販売できない本を保育園や小学校に寄贈する「ブックギフト」などを展開。自然に囲まれた上田から、本と人、社会をつなぐ新しい価値を生み出しています。
NABOには全国から届く古本から選りすぐられた精鋭が並びます。さらにカフェとしても利用可能。おいしいお茶を飲みながら選書や読書を楽しめる、素晴らしい空間です。
古本に新刊も 選書が光る!
ここでNABOに並ぶ本の一部をご紹介しましょう。現在は4名のスタッフがそれぞれの得意分野で選書をしているそうですが、絶妙なセレクトで、いつ行っても何冊も欲しくなってしまいます。
宝島社のムックと、デイヴィットリンチ、坂口恭平、西加奈子が並ぶ「健康コーナー」。他の本屋さんでは一緒に並ばなそうな組み合わせがNABOの醍醐味。健康に悩むスタッフが自信をもっておすすめする本ばかり。
自己啓発コーナーも古本が充実。中でもずっと売れて続けているのが『嫌われる勇気』なんだそう。
自主制作で売り切れとなっている植本一子『こころはひとりぼっち』を発見。自主制作本やZINEが並んでいるのも魅力。
デザインコーナーの大定番『配色スタイルハンドブック』に並ぶ、大原大二郎『HAND BOOK』。SAKEROCKのアートワークなど、独特で素敵なタイポグラフィの数々が収録されています。
おっと、急に現れたデレク・ジャーマン。気になっていた本がふと現れる喜びも。
気合いを感じるジェンダー・生き方コーナー。
『百年の孤独』は様々なバージョンあり。
これは…!村上春樹の長編25冊セットは3300円也。
古本と並び、新刊も取り扱っています。旅コーナーの本は表紙を見るだけでワクワク。
迷ったり、読みたい本が分からなくても大丈夫。スタッフのオススメコーナーも設置されています。
キッズコーナーも設置。
おすすめの絵本はもちろん、古い絵本、珍しい絵本、英語の本もそろいます。我が家では10年前にNABOで購入した『めの まど あけろ(谷川 俊太郎 文、長新太 絵)』が子ども達にロングヒット中。当時300円ほどで購入した記憶があります。
かわいくラッピングしてもらえるので、プレゼントにも最適です。
1階は暮らし、食、デザイン、絵本、自己啓発などがずらり。2階にはアート、歴史、詩や短歌、ジェンダー、小説、自然などの本が並びます。2階にもカフェ席あり。
3週間に1回、500冊が入れ替えられるそうですが、中でも入口の棚にある均一コーナーは入れ替えが早く、常連さんに人気のコーナーなんだそう。
カフェで提供されるのは「茶(ティー)」と「クッキー」
カフェメニューはバリューブックスが手がけるお茶専門店「CHAIRO」のお茶と、「ovgo Baker」のアメリカンクッキーを提供しています。
緑茶や凍頂烏龍茶、紅茶、ミルクティーなど、ティーメニューが豊富にそろいます。上の写真は一番人気の「辛口スパイスチャイ」。辛口の名に偽りなし、しっかり効いたスパイスで頭がシャキッとするチャイです。
店頭では「CHAIRO」の茶葉や、透明急須の販売もしています。
他にも果樹園の100%リンゴジュース、レモンティーソーダなどのジュースも充実。コーヒーメニューが無いのも特徴のひとつです。
また、読書に合うクラフトビール「BOOK IPA」も楽しみのひとつ!川越にある「COEDO BREWERY(コエドブルワリー)」とのコラボで作られた特別なビールです。
IPAといえば、ホップの華やかな香りとしっかりとした苦味が特徴のスタイル。しかしこの「BOOK IPA」は、IPAらしさを残しつつも、その“強さ”をほんの少し引き算しています。シトラスやハーブを思わせる穏やかな香り、そして控えめで優しい苦味。読書のリズムを乱さず、そっと気分をほぐしてくれるような、繊細なバランスが光ります。これはおいしい!
お店で栓を開けて提供していますので、徒歩で来た際にはぜひ飲んでみてくださいね。
店長の池上さんと、スタッフの喜多さん
右から池上さん、喜多さん
店長の池上幸恵さんと、スタッフの喜多さんです。
池上さんはバリューブックス入社後、2015年のNABOの立ち上げから店舗スタッフとして携わり、店長として店舗運営全般を担当しています。またデザインや自然、建築や暮らしジャンルの選書も担当しています。
喜多さんは絵本や食ジャンルの選書を担当。他にも2人、計4人のスタッフでNABOは運営されています。
平日は地元の常連さんや子ども連れの方が多く、週末になればNABOを目指して県外からやってくるお客さんの車で駐車場が満車になるのだそう。
また店内には本以外にも雑貨など気になる商品が並びます。
たとえばこの聖山和紙のブックカバー。
「作家の方がたまたまNABOにイベントのフライヤーを置きにきてくれて、お話していたら和紙を漉いているとわかって。じゃあ一緒に何か作りましょうということで、ブックカバーを作ってもらったんです。和紙の中にうちで販売できない古本の紙片を混ぜているんです。」と語る池上さん。
他にも塩尻の木工店の木曽ヒノキを使ったルームフレグランスなど、うれしい出会いがあるのもNABOの特徴。
池上さんをはじめとしたスタッフの皆さんのあたたかさや本に対する愛情が、素敵なものを呼び寄せているような気がします。
池上さんおすすめの3冊
最後に、池上さんに「おすすめの本」を3冊教えてもらいましたよ。
『締め切りの練習 ベストコレクション1』
池上さん含め4名のエッセイと小説を掲載している自主制作の本。「4人の仲間で作った本です。自分が書きたいことを文章にしているんですけど、紙に印刷して本にするのはやっぱり緊張感がありますね。皆さんにもぜひ、気軽に文章を書いてみてほしいなと思います。」
『シェニール織とか黄肉のメロンとか』江國香織 著
「江國香織さんは『冷静と情熱のあいだ』のイメージが強くあまり読んだことが無かったのですが、この本を読んで衝撃を受けました。50代の女性たちを描いているのですが、「物語を展開させるためのキャラクター」がひとりもいない。登場人物のひとりひとりの描写が圧倒的で、本当に上手な作家さんなんだなと思います。江國作品では特にこちらがおすすめ。」
『誕生日のアップルパイ』庄野千寿子 著
「作家の庄野潤三の奥様の千寿子さんと、娘さんの文通の記録です。手紙の内容を書き起こしただけなのに、ひとつの世界観ができあがっている。千寿子さんにはおちゃめな一面もあって、手紙の文末が「母より」ではなくて、手紙の内容に合わせて「ミセスいわし」とか「モースト ハッピー マザー」になっているのがかわいらしい。庄野家っていい家族だなぁと心があたたかくなる本です。」
取材中、「この本気になる」「これは欲しい!」とワクワクがとまりませんでした。何時間でもここにいられそう…という私に「平日の夜に読書会をやってますよ。ぜひ読書しにきてください。」と池上さん。
スマホに支配されているかのような日々の中で、月に1回でも、思う存分読書できたならどんなによいか。少し遠いけど、ぜひ行きたい。
本が好きでも、本のことはよくわからなくても、きっときっとお気に入りの一冊に出会えるのがNABO。ここにしかない出会いを求めて、ぜひ上田に足を運んでみてくださいね。
あ、2軒となりの姉妹店『valuebookslab(バリューブックス ラボ)』に立ち寄るのもお忘れなく!
『本と茶 NABO(ネイボ)』
住所:上田市中央2-14-31
営業時間:金・土・日曜 12時~18時
Instagram:https://www.instagram.com/nabo_valuebooks/
※2軒となりの姉妹店『valuebookslab(バリューブックス ラボ)』
住所:上田市中央2-14-33
営業時間:金・土・日曜 12時~18時
Instagram:https://www.instagram.com/valuebooks_lab/