NYに暮らす夫婦に忍び寄る“破綻”へのカウントダウン 西島秀俊主演の日×台×米合作『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』
ニューヨークで暮らすとあるアジア人夫婦。ある日、息⼦の誘拐事件をきっかけに夫婦が抱える秘密が浮き彫りとなり…崩壊していく家族の姿を描いたヒューマンサスペンス『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月に公開される。このたび、崩壊していく夫婦の日常を写し出した、不穏な胸騒ぎを覚える場面写真が解禁となった。
日×台×米合作で送る、極限のヒューマンサスペンス
主演は、米アカデミー賞で最優秀国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』や、A24製作のシリーズ『Sunny』など国際的な活躍の場を拡げる俳優・西島秀俊。その妻役には、ベルリン国際映画祭の最優秀作品賞を受賞した『薄氷の殺人』や『鵞鳥湖の夜』に出演するなど、人気と実力を兼ね備えた、台湾を代表する国民的女優のグイ・ルンメイ。
監督は、日本映画界において熱狂的なファンを獲得し、独自の道を行く映画作家・真利子哲也。2016年に『ディストラクション・ベイビーズ』 で「ロカルノ国際映画祭」最優秀新進監督賞を受賞。同作は2022年、『宮本から君へ』 とともにフランスで劇場公開され、好評を博した。
誘拐事件を発端に破綻していく家族を通して、NYという大都会の片隅で生きる上での、見えない人種の壁、孤独、人と人が分かり合うことの困難さなど、全世界に向けて各々の文化圏の人々に届くテーマを描いた濃密なヒューマンサスペンスが誕生した。撮影は、多国籍のスタッフが集結し、2024年11月~12月末までオールNYロケを敢行。ブルックリンを中心に、チャイナタウンやハーレムなど、リアルなNYの日常を映している。
NYの路地裏で何かに手を伸ばす夫の賢治の虚ろな表情、楽しいはずの公園で夫を見つめる妻のジェーンの切なげな眼差し、会話もなく目を逸らし合う家族の冷え切った食卓—。理想のしあわせな家族像とは裏腹に、どこか歪な空気を漂わせる写真の数々からは、互いを大事に想いながらも、視線が交わらずすれ違っていく夫婦の切なさが感じられる。
そして、世界的激動の2024年に全編ニューヨーク撮影を敢行した本作。場面写真の中には、強盗団に荒らされた店内や派手に落書きされた車を運転する賢治の姿など、緊張感と隣合わせの大都会に生きる者たちのリアルが凝縮した写真も。監督・真利子哲也の作家性の極まりを感じると共に、全編NYロケで凄みと厚みを増した“新境地”に期待が高まる10点となっている。
ともに“しあわせな家族”を目指しているはずなのに、なぜ妻と夫はこうも食い違っていくのか?それでもなお、人は繋がろうとする—。これは結婚をめぐる寓話であり、異文化コミュニケーションのリアルであり、また一人の異邦人が見つめた、2020年代のアメリカの姿である。
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』は2025年9月TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー