【絶景そば】国立公園の中にある道の駅・霧島で食す「天空の一杯」 立ち食いそば放浪記:第326回 鹿児島
明けましておめでとうございます。年の瀬にそばを食べた人も多いと思うが、年越しそばの由来は一説には「細く長いそばを食べることで、延命・長寿を願った」と言われている。
ならば、長い旅にもそばは適任。というわけで、うまいそばを求めて色んな町を放浪する連載『立ち食いそば放浪記』第326回は、オフィスのある新宿から直線距離で約900km離れた山の中からお届けしたいと思います。放浪しました。放浪しすぎたかもしれません。
・霧島連山
かつて、北海道の伝説の秘境駅そば『常盤軒』を食べに音威子府村まで行ったこともある私(中澤)。直線距離で言うと、その音威子府村が約1000kmとなるが、今回放浪したのは北ではなく南である。
訪れたのは本土最南の鹿児島県。そして、前述の山とは、鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島山だ。固有の山ではなく、色んな山々の総称である霧島山。それゆえか車窓の景色も単なる山というより山岳地帯っぽい。
・国立公園の中に道の駅
坂道から時折開ける景色は雄大そのもの。それもそのはず、この一帯は霧島錦江湾国立公園に指定されている。で、そんな国立公園の中にあるのが……
『道の駅 霧島』だ。
ただ道の駅の建物があるだけではなく、周りは展望広場などがある『神話の里公園』となっていて、園内を回るロードトレーンまである。道の駅という言葉から想像するイメージよりも大分アミューズメントみのある場所だ。
・道の駅のレストラン
そんな公園の入口にグッズ販売所である『ほっと霧島館』がある。入ってみると、この建物は非常に道の駅っぽい雰囲気。食べ物は霧島をテーマにしたものから、奄美名物として有名な鶏飯まで色々な地域の品が集まっている。
また、個人的に目を引かれたのは鹿児島の伝統工芸品である薩摩錫器(さつますずき)が販売されていること。ここで買う人がいるかはさて置き、置かれているものがバラエティーに富んでいる。
その『ほっと霧島館』の一画にレストランがあった。天気が雲1つない晴天なこともあって大きな窓からまばゆい光が降り注ぐ。光に導かれるように窓の外を見ると、はるか彼方の桜島まで見通すことができた。長い道を上ってきただけのことはある。
・絶景そば
旅の道のりを振り返らずにはいられない光景。そこで「黒豚肉そば(税込920円)」を注文してみたところ、透き通るつゆが美しい。
黒豚の力強さとそばの素朴さが同居するつゆの水面が窓からの光を反射する。壮大な景色をバックにしたその姿はまさしく……
天空の一杯。
絶景の中でそばが輝いていた。神々しすぎて召されそうである。
そばの味が本格的なわけではない。しかし、道の駅・霧島で食べたそばからは、今、ここでしか感じられない味を感じたのであった。生きること、それは今の連続。新しい今を味わって次の瞬間に行こう。そばをすするように。
・今回紹介した店舗の情報
店名 道の駅 霧島「ほっと霧島館」
住所 鹿児島県霧島市霧島田口2583-22
営業時間 レストラン11:00~15:00
定休日 無休
参考リンク:キリシマ神話の里公園
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.