市立図書館 デジタル化「来館増に」 25日に一部リニューアル
町田市立図書館が25日、オンラインでの利用登録・更新を可能にするなど、図書館情報システムを一部リニューアルした。デジタル化を進めたもので利便性を高め、減少している来館者を呼び戻したい考えがある。
市立図書館は町田市内に8館あり(中央・さるびあ・鶴川・鶴川駅前・金森・忠生・木曽山崎・堺※4月からは鶴川を除く7館)、市内を走る移動図書館を含む。
今回のリニューアルによって、図書館情報システムのデジタル化が進んだ。マイナンバーカードを利用し、図書館HPなどからの利用登録・更新ができるようになり、コミュニケーションアプリ「LINE」で本の検索や予約が可能になった。また、AIを活用して書籍を探すこともできるように。全館でフリーWi-Fiが整備された。
これにより、市立図書館で初めて本を借りる場合、図書館へ出向き、登録用紙に必要事項を記入する必要があったものが、24時間いつでも自宅などで登録することができるようになり、「電子書籍を希望するのであれば、自宅にいるまま、本を借りることが可能となった」と市立図書館の担当者。そのうえで従来通りの申し込み方法でも引き続き、受付けていくという。
一方、本を探すケースではこれまではキーワードなどをもとに図書館のHPなどから検索する形だったが、AIを活用することで例えば、「ゆっくりと旅先で読みたい本」などと求める内容を示すと希望する書籍を提案してくれるようになったという。「このAI機能は全国で5例目。利用してもらえればと思う」
減少傾向
市立図書館の来館者数は減少している。コロナ前は年間200万人を超える来館があったものの、休館や入場制限があったコロナ禍の2020年度には130万人台まで減少。コロナの感染が収束していくにつれ、来館者数は戻ってきたものの、23年度は170万人台にとどまった。
図書館担当者はその要因について、娯楽や趣味の多様化などの影響によるものと考えているといい、現在は来館者を呼び戻す取り組みを始めているという。利用が少ない若者層に足を運んでもらうため、昨年度から学生らに図書館の企画を考えてもらう機会をつくったほか、先日は図書館との合同企画についての企業提案の募集を開始した。「図書館を見直してもらえるようにしたいと思う」と力を込める。
図書館を取り巻く問題について考える市民らで構成される「町田の図書館活動をすすめる会」の守谷信二代表は図書館の利用を促すには本の貸出や閲覧など、その本来のあり方に力を注ぐことが重要とし、「市民が必要とする本を十分にそろえることが大切」とする。
一方で、SNSなどのフェイクニュースが問題となるなか、責任の所在が明確な本の意味を改めて認識してもらうように働きかけていくべきとしている。