アルムナイネットワークを構築している企業は1割。OB会の開催や定期的な情報発信などを実施。
『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「アルムナイについての調査」を実施し、116人から回答を得た。
アルムナイネットワーク:企業と企業を退職した元従業員(アルムナイ)で形成されるコミュニティを指す。
・調査結果 概要
・3割以上が「アルムナイ」という言葉を聞いたことがない
・アルムナイネットワークを構築している企業は1割
・アルムナイネットワークのメリットは「再雇用の機会創出」「リファラル採用」「他社での経験のフィードバック」など
・アルムナイネットワーク構築を行わない理由は「再雇用は別途採用の一環として実施」が最多
・3割がアルムナイ採用の実績あり
・再雇用を積極的に行う理由は「即戦力として活用できる」が最多
・再雇用時に求めるスキルは「即戦力として業務に貢献できること」「自社に対する理解が深いこと」など
・再雇用社員の勤続年数は「1年以上〜3年未満」が最多
3割以上が「アルムナイ」という言葉を聞いたことがない
「アルムナイ」とは何か知っているか尋ねたところ、「言葉を聞いたことがない」と答えた人が32.8%で最も多く、次いで「なんとなく理解している」が31.0%、「よく理解している」と「あまり理解していない」がそれぞれ18.1%という結果となった。アルムナイに対する認知度はまだ限定的であることがうかがえる(n=116)。
アルムナイネットワークを構築している企業は1割
現在、アルムナイネットワークを構築しているか尋ねたところ、構築している企業は10.3%にとどまった(n=116)。
<ネットワークで実施していること/一部抜粋>
・OB会の開催
・社内報を退職者にも送る
・メールなどで定期的に情報提供
・同窓会を会社設備にて不定期開催
アルムナイネットワークのメリットは「再雇用の機会創出」「リファラル採用」「他社での経験のフィードバック」など
アルムナイネットワークのメリットについて尋ねたところ、「再雇用の機会創出」が71.6%で最も多く、次いで「リファラル採用」が50.9%、「他社での経験のフィードバック」が35.3%という結果となった(n=116)。
・再雇用の機会創出:71.6%
・リファラル採用※:50.9%
・他社での経験のフィードバック:35.3%
・従業員エンゲージメントの向上:25%
・従業員のメンターやコーチング:21.6%
・社会的なネットワークの拡大:20.7%
・ビジネスチャンスの拡大:18.1%
・業界やマーケットの情報提供:10.3%
・福利厚生の充実:8.6%
・マーケティング・営業支援:6.9%
・自社製品やサービスのモニターとして活用:6.9%
・イノベーションや新規事業開発への貢献:5.2%
・会社のPRやブランド強化:5.2%
・その他:1.7%
・メリットはない:1.7%
※リファラル採用:自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法
アルムナイネットワーク構築を行わない理由は「再雇用は別途採用の一環として実施」が最多
アルムナイネットワークを構築していない理由について尋ねたところ、「再雇用は別途採用の一環として実施」が34.7%で最多、次いで「退職者と継続的な関係を持つ必要がない」が30.7%、「運営にコストや工数がかかる」が22.8%と続いた(n=101/アルムナイネットワークを構築していない企業)。
3割がアルムナイ採用の実績あり
アルムナイ採用制度(再雇用制度)の有無について尋ねたところ、「制度があり、再雇用の実績がある」が32.8%、「制度はあるが実績がない」が2.6%、「制度はない」が64.7%という結果となった(n=116)。
再雇用を積極的に行う理由は「即戦力として活用できる」が最多
再雇用を積極的に行う理由について尋ねたところ、「即戦力として活用できる」が85.4%で最多、次いで「既に社内文化に馴染んでいるから」と「人材不足を補うため」がそれぞれ58.5%だった(n=41/アルムナイ採用制度がある企業)。
再雇用時に求めるスキルは「即戦力として業務に貢献できること」「自社に対する理解が深いこと」など
再雇用時に求めるスキルや条件について尋ねたところ、「即戦力として業務に貢献できること」が80.5%で最多、「自社に対する理解が深いこと」が61.0%、「チームへの適応力が高いこと」が48.8%と続いた(n=41/アルムナイ採用制度がある企業)。
・即戦力として業務に貢献できること:80.5%
・自社に対する理解が深いこと:61.0%
・チームへの適応力が高いこと:48.8%
・新しい視点や経験を提供できること:46.3%
・新たな技術や知識を持っていること:31.7%
・社外とのつながり(ツテ)があること:17.1%
・その他:2.4%
・特に条件はない:2.4%
再雇用社員の勤続年数は「1年以上〜3年未満」が最多
再雇用社員の勤続年数について尋ねたところ、「1年以上〜3年未満」が55.3%で最も多く、次いで「3年以上〜5年未満」が44.7%、「5年以上〜10年未満」が34.2%だった(n=38/アルムナイ採用制度の実績がある企業)。
総評
アルムナイという概念そのものの認知度がまだ限定的であり、多くの企業でアルムナイネットワークがまだ構築されていない。一方で、ネットワークを活用することで「再雇用の機会創出」や「リファラル採用」など、採用へのメリットがあると考えられている。
また、再雇用の実績がある企業は3割にとどまり、特に「即戦力として業務に貢献できること」が求められるなど、再雇用においても具体的な条件やスキルが重視されることがわかった。
アルムナイネットワークの取り組みが活性化してきたのはこの数年で、ちょうどその有効性や実例が世に出始める時期だと思われる。総務は最新の事例を学びながら、企業の採用力や競争力、ブランド価値を向上させるためのアルムナイネットワーク構築推進が求められるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年11月11日〜2024年11月19日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など