このモヤモヤどうしたらいい? アドラー心理学の専門家に聞く「嫉妬しない方法」
「嫉妬」とは、人間の感情の中でも最も厄介で危険な感情です。谷崎潤一郎の「卍」や島尾敏雄の「死の棘」など、嫉妬を題材にした小説も多く書かれてきました。嫉妬というと男女間の問題だけと思われがちです。しかし、現在はSNSで相手の状況が見えることから、自分より優れた相手に対する嫉妬も増えています。
岩井俊憲氏の『感情を整えるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした感情のコントロール方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。相手に嫉妬を感じてしまったり、相手から嫉妬されたりした場合、どうやって解決したらいいのでしょうか?
嫉妬とは?
岩井氏は嫉妬について「他者(第三者)によって身近な関係者や自分の権利の喪失の危険にさらされたとき、疑惑を伴って他者、あるいは身近な関係者を引き下げよう、排除しよう(または、身近な関係者をつなぎとめよう)として使われる感情」と定義しています。
とくに男女関係においては、ゆき過ぎた嫉妬により、オセロ症候群(相手が不貞行為をしていると妄想し、強い嫉妬を抱いてしまう情報)になってしまいます。
相手のスマホをチェックして束縛をするような行為をすると、相手と健全な関係を築くのが難しくなるでしょう。
嫉妬はもともと持っていた本能的な感情ではなく、人間関係の中で習得していったものです。たとえば、先生が特定の生徒を褒める、母親が兄ばかり褒める、といった体験から嫉妬という感情を持つのです。
ですから嫉妬の気持ちは手放して、建設的な生き方に方向転換する必要があります。
嫉妬心を抱いたときはどうすればいい?
【嫉妬しない方法①】嫉妬している自分を認める
まずは、自分が相手に嫉妬していることを認めましょう。
【嫉妬しない方法②】疑惑を点検する
恋人の行動に疑惑を感じた場合、事実確認をすることが必要です。もし疑惑が判明したら、いさぎよく引き下がりましょう。嫉妬し続けると以下のようなリスクがあります。
自分が惨めになるストーカー行為に走る恐れがある
【嫉妬しない方法③】建設的な対応をする
大事なのは、自分を許し相手も許すことです。岩井氏は「嫉妬する人は、嫉妬した時点で、自分自身の価値を下げています」と言います。自分の価値を上げるためにも、相手を祝福し、嫉妬心は手放しましょう。
相手から嫉妬されたらどうすればいい?
【嫉妬された場合の対処法①】相手と腹を割って話す
嫉妬している人は妄想を抱いていることが多いもの。そのため、早い段階で相手と腹を割って話すことが重要です。相手と会話をするのが面倒と放っておくと、後でトラブルになる可能性があります。
【嫉妬された場合の対処法②】相手と距離を取る
話し合いをしても解決できない場合、相手と距離を取る必要があります。完全に関係を断ち切ってしまえば、悩まされることもなくなるでしょう。SNSで相手との関係をこじらせた場合、ブロックやミュートを使って、相手との関係を断つことが可能です。
【嫉妬された場合の対処法③】第三者による調停
当事者同士で解決できない場合、共通の知人や恩師など第三者に入ってもらいましょう。冷静に話し合いができるため、トラブルが解決できる可能性が高まります。
【嫉妬された場合の対処法④】法的手段
①~③の方法で解決できない場合、法的手段に訴えるという方法もあります。とくにストーカーに対しては内容証明郵便を送ったり、警察に相談したりする方法がよいでしょう。
嫉妬が関係するのは、「奪われる」という所有の意識です。相手は自分の所有物ではないということを自覚することで、嫉妬心から解放されます。
この記事では、岩井俊憲氏著『感情を整えるアドラーの教え』から、嫉妬しない方法を要約・抜粋してご紹介しました。