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明治~大正の出版美術で花開いた装飾趣味に迫る「夢二でたどるアール・ヌーヴォーとその周辺」が9月14日まで、根津『竹久夢二美術館』で開催中

さんたつ

①セノオ楽譜「言はれぬ嘆き」

明治から大正にかけての出版美術にみる装飾趣味に迫る展覧会「夢二でたどるアール・ヌーヴォーとその周辺」が2025年9月14日(日)まで、東京都文京区の『竹久夢二美術館』で開催されている。夢二が表現したアール・ヌーヴォーについて関連作品、約180点が紹介される。TOP画像=セノオ楽譜「言はれぬ嘆き」 1920年。

夢二流のアール・ヌーヴォー作品が一堂に

千代紙「きのこ」 1914年頃。

センチメンタルな画風の“夢二式美人画”をはじめ、大正ロマンを象徴する存在として広く知られる竹久夢二(1884-1934)。

19世紀末から20世紀初めにヨーロッパを中心に流行した芸術様式「アール・ヌーヴォー」は、日露戦争後に日本へも流入し、図案界で広がりを見せていた。その中で夢二は、雑誌のイラストをはじめ、書籍装幀等でアール・ヌーヴォー様式の表現を展開。さらに大正3年(1914)に東京・日本橋に開店した小間物店「港屋絵草紙店」で日常生活の芸術化を体現し、植物モチーフを中心に、曲線を多用するデザインを手掛けた。

本展では、夢二によるアール・ヌーヴォーの軌跡を展観し、美術雑誌『ユーゲント』や画家のオーブリー・ビアズリーから受けた影響についても考察。また明治末期の出版美術において、アール・ヌーヴォー様式の表現を試みた画家と図案家による仕事もあわせて紹介される。

手製半襟の図案 1915年。

夢二×アール・ヌーヴォーの多彩な作品にふれる

KOE・MO SEN 1919年。

ヨーロッパの美術動向に敏感で、自身のイラストや図案でアール・ヌーヴォーの表現を試みていた夢二。身近な草花をモチーフに、書籍・楽譜表紙絵や暮らしを彩る品々に応用して、和洋を融合した個性的な装飾を実現した。

アール・ヌーヴォーを体現した代表的な作家オーブリー・ビアズリーの影響を受けた日本の画家は多く、夢二もその一人。併設の『弥生美術館』で所蔵するビアズリー作品のコレクション24点と合わせて、ビアズリーから触発されて作画を試みた夢二作品が展示される。

また、アール・ヌーヴォー様式の影響が顕著な明治末期の出版物にも注目。書籍装幀や雑誌表紙絵、絵葉書などに展開された、多彩なアール・ヌーヴォーの図案が展示される。

夢二に影響を与えた藤島武二をはじめ、橋口五葉、杉浦非水など計19名の作品も見どころだ。

無題(スケッチより) 1904年頃。
「黒猫を抱く女」 1920年。
オーブリー・ビアズリー画「ヘロデ王の目」1907年。

開催概要

「夢二でたどるアール・ヌーヴォーとその周辺」

開催期間:2025年6月7日(土)~9月14日(日)
開催時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし祝の場合は翌休)
会場:竹久夢二美術館(東京都文京区弥生2-4-2)
アクセス:地下鉄千代田線根津駅から徒歩7分、地下鉄南北線東大前駅から徒歩7分
観覧料:一般1200円、大学生・高校生1000円、小学生・中学生500円
※弥生美術館も観覧可。

【問い合わせ先】
竹久夢二美術館☏03-5689-0462
公式HP https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yumeji/exhibition/next.html

取材・文=前田真紀 画像提供=竹久夢二美術館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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