イスラエル、ネタニヤフ政権に国民も苛立ち。イギリス、カナダ、フランスは共同声明を発表
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、5月28日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。パレスチナ・ガザへの支援物資の配給がようやく再開されるも、人が押し寄せ大混乱になっている、という状況について解説した。
小倉孝保「(イスラエル、アメリカが主導する、ガザへの支援物資の配給が)3月2日から止まっていましたね。およそ80日間、とんとモノが入らなかった。あの人たちの主食はパンなんですけど、パン屋が1軒もお店を開けていなかった、というぐらいなんです」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「国連が、このまま支援物資が届かないと1万4000人の乳幼児が48時間以内に死亡する可能性がある、と20日発表し、BBCが伝えていました」
長野智子「イギリス、カナダ、フランスが共同声明を出したというけど、遅くないですか、と思ってしまいます」
小倉「それを感じましたよ。いまになってこれかよ、と。やらないよりはマシだけど。3ヶ国が何を言ったかというと『イスラエルによるガザにおける軍事作戦の拡大に強く反対する』。当たり前です。最低限の食料供給を認めているけど、あくまで最低限にとどまっていて。まったく不十分だと。このままでは国際人道法違反になって、特にイスラエルのネタニヤフ首相はガザのある地域の人間に『別の地域に移動しろ』といったことを頻繁にしている」
鈴木「そうですねえ」
小倉「それについても国際法違反だと。このままだと私たち3ヶ国はもっと具体的な行動をとりますよ、という声明を出した。おそらくイスラエルに対する制裁をかける、といったことだと思います。ヨーロッパはドイツのホロコーストの反省もあるし、第二次世界大戦のときほかの地域を支配していたのはイギリスじゃないですか。パレスチナの問題やイスラエルの国家建設という問題を置いておいて、ほとんど逃げるように出ていった」
長野「無責任でしたね」
小倉「それがこの問題の源流になっているわけです。そういうこともあってヨーロッパ各国、特にドイツはそうで、イスラエルを批判することに慎重だったんですけど、この期に及んでさすがに何も言わないわけにいかないな、と。これだけガザの人たちが食料を得ることに苦労して。ほとんど抵抗できない人たちが殺されているわけじゃないですか。こんなことが世の中にあり得るのか、ということが起こっている」
長野「はい」
小倉「いまさら、これが進めば具体的な行動をとる、というけど、すぐにとりなさいよ、という感情があります」
長野「自分たちがしてきたことがあるから、ブーメランが飛んできたらどうしよう、ということで言いづらかった、時間が経ってしまった、ということでしょうか。具体的にはどうでしょうね、自由貿易協定の中断、というのもありますが」
小倉「イギリスがまずFTA交渉を中断したし、EUも恐らく中断します。実際にかなり国民も、ネタニヤフ首相がしていることに対する苛立っていて。ガザ攻撃よりもまずは人質を解放させてくれ、ということなんですよ。そのためなら停戦でいいんじゃないか、と。ガザをどうするこうする、というより攻撃をやめて人質が帰ってくるならそれを優先しよう、という人が世論調査では6割ぐらいいる。いまのネタニヤフ政権の強硬姿勢を支持しているのは2割ぐらいなんです」
長野「そんなに少ないんですね」
小倉「圧倒的というかはわからないけれど、国民でさえ2割しか支持していないんですよ」