弘明寺滞在の演出家・野村眞人さんが作品発表 『分身と観客』11月2日から4日
(公財)横浜市芸術文化振興財団はアーティストのキャリア形成を支援する「アーティスト・フェローシップ助成」を2016年度から行っている。横浜の風土や歴史、文化を調べたり、滞在し住民と関わることで創作活動に良い影響を与えたり、市民が芸術への関心を深めることを目的とする。
京都で活動する演出家・野村眞人さん(33)は、2024年度の採択者の1人。10月18日から京浜急行弘明寺駅徒歩2分の「アートスタジオアイムヒア」に滞在し、11月2日(土)から4日(月)に、上演と展示『分身と観客』を行う。
この4年ほど「故郷」や「血縁」との結びつきから離れた人と出会うことが多かったという。横浜には青森出身の祖父母がかつて住んでおり、なぜ居着くことになったのか興味を持ったことがきっかけで応募した。
「出会い」から生まれる
野村さんは「ここ最近、出会うことで何かが生まれてきた。滞在中にどんな人に会い、どんな話ができるか楽しみにしている」と話す。空いた時間は街を散策しており、今一番気になっている人は2日目に偶然足を運んだ上大岡駅前の焼き鳥屋の大将。「この人に話を聞いたら面白そうという嗅覚には自信があるんです」と笑う。
上演と展示で構成
上演する『吉日再開』は、長年精神科訪問看護師として働いてきた男性と俳優である息子の親子2人による作品。父は息子を相手に仕事を再現し、息子は利用者を演じることで俳優の仕事を見せる。互いの仕事を再現することで人と人、親と子という関係について見つめる。野村さんは「親子という身近かつ大きな関係性の話。それぞれの視点でとっかかりがあるのでは」と話す。上演時間は約85分。
展示は演劇作品の要素を取り入れた。野村さんが高齢者福祉施設で出会った利用者に、かつて暮らした思い出深い街を電話を通じて声で案内してもらう音声作品など、何らかの理由で故郷に帰れない人とのやり取りから生まれた作品を発表する。
また、滞在中に横浜で出会った人に当日スタジオに来てもらい、頭の中に浮かぶ「行きたいけど今は行けない」街や場所や風景を実際に話して案内してもらうことも計画している。
上演は各日午後1時からで2000円。予約はホームページから。展示は午後3時から7時まで。入場無料で予約は不要。上演の予約・詳細【URL】https://theatre-sokudo.jimdofree.com/%E5%88%86%E8%BA%AB%E3%81%A8%E8%A6%B3%E5%AE%A2/