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ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)[インタビュー]“繋がり”が生む痛みと向き合ったSNSマンガに込めた想い「誰もこぼさず救っていきたい」

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ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)[インタビュー]“繋がり”が生む痛みと向き合ったSNSマンガに込めた想い「誰もこぼさず救っていきたい」

“ファンと「繋がる」アイドルに対して思うこと”。現在のライブアイドルシーンに問題提起を投げかけるショッキングなテーマのマンガを、自身のXに投稿したダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)。

アイドルとファンの関係性や、アイドルという存在の在り方についての強いメッセージが込められた彼女のSNS投稿は大きな反響を呼んでいる。

自身の理想と現実とのギャップ、これまでのアイドル活動での葛藤、そして未来への希望――ダイマナイト・マリンが語る“救い”の物語。

・BLUEGOATS の写真 7枚

編集協力:竹内伸一

“繋がり”みたいなことをすると、自分たちで舐められる原因を作ることになる

――そもそもマリンさんが、アイドルとファンの“繋がり”をテーマにしたマンガをSNSにアップした理由は何だったのでしょうか?

ダイマナイト・マリン:
単純に“繋がり”をしてしまうアイドルへの憤りがあって。自分の中でのアイドルって、けっこう手の届かない存在というか、ファンの人の憧れみたいな存在であってほしいんです。“繋がり”とか、そういう行為をしているアイドルがいることに、すごくショックを受けたので、あのマンガを描いたんです。

――このタイミングでSNSにアップしたのはなぜですか?

ダイナマイト・マリン:
最近もそういうことが話題になりましたよね。そういうニュースが流れると、毎回ファンの人がすごく悲しむじゃないですか。ホント、見ていられなくて……それで、これは描くしかないと。

――今回のマンガは、ファンの視点で描かれています。そこは、マリンさん自身が、もともとアイドルが好きだというところが大きいのでしょうか?

ダイナマイト・マリン:
そうですね。私はモーニング娘。とかハロプロとか、いわゆる“地上”のキラキラしているアイドルが好きなんです。だから、そういう地下アイドルのニュースを目の当たりにすると“なんなんだ!”って普通にびっくりしてしまって。

――地上のアイドルを見てきたからこそ、自分が飛び込んでみたライブアイドルシーンの実情に驚いてしまったと。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。特典会とかで普通にファンの人に触ったりすることも衝撃でした。そういったこともずっと気になっています。

――マリンさんの理想のアイドル像とは?

ダイナマイト・マリン:
理想のアイドル像とはちょっと違うかもしれないけど、自分の中で好きなアイドルは、モーニング娘。の小田さくらちゃんなんです。さくらちゃんが、インタビューで“自分にとってアイドルとはどういう存在ですか?”と聞かれた時に、“アイドルは偶像です”って言い切っていたんです。それがすごく印象的で。ホントにアイドル1本で勝負しているみたいなところがカッコいいなと思います。私がやっているグループ(BLUEGOATS)は“偶像”っていう感じではないかもしれないけど、1本筋は通っているというか……潔さはあると思っています。

――小田さくらさんはパフォーマンス力も高いですよね。

ダイナマイト・マリン:
そうなんですよ、ホントにカッコよくて。自分もパフォーマンスというか、ちゃんと実力で黙らせる存在になりたい。そんな存在でも、アンチはいると思うんです……自分もYouTubeでマンガを描いていたら、けっこう言われることもあったりして。それをちゃんと自分の信念で黙らせる、そういう強さを持てるようになりたいです。

――実力をしっかり示すことは大事ですよね。一方、アイドルシーンでは、ファンが不完全な状態のアイドルを愛でるということもあります。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。ただ、私、舐められるのが許せなくて。アイドルって偏見もあるし、けっこう舐められやすい職業でもあるじゃないですか。“繋がり”みたいなことをしてしまうと、自分たちで舐められる原因を作ってしまいますよね。それはずっと思っています。だからやっぱり強い女の子みたいなアイドルに憧れます。

ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)

ステージに立った時は誰よりも強くいたい

――マリンさん自身、過去には“ファンの人がなかなかつかない”という部分で葛藤もあったそうですね。

ダイナマイト・マリン:
アイドルってたくさんいるじゃないですか。その中で自分を応援してもらうって本当に難しいんだなって思います。マンガにも描きましたけど、特典会がすべてみたいなところもあるじゃないですか。ファンの人はみんな“ライブ、よかった!”って言うけど、それはアイドルに気を遣っているだけというか、女の子の気分をよくしたいだけというか。そんな気持ちで話しているファンの方も多いんじゃないかと思って。だから、ライブを観てほしいという気持ちはすごくあります。ただ、5年やってきて、特典会を楽しみにしているファンの方の気持ちもわかったので、それを否定するわけではないんです。純粋にライブを観てほしいだけなんですよね。アイドル側もボディタッチなどでファンの気を引こうとすることもあって……そういうことをしていると、さらにライブを観てもらえなくなっちゃうと思います。

――アイドルにとっては、ステージが1番大事な場所であると。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。正直、自分はいちファンとして、アイドルの特典会に行きたいという気持ちよりもライブを観たいっていう気持ちの方が強い。好きなアイドルのパフォーマンスをずっと観ていたいので、やっぱりライブが1番いいです。

――マリンさんが所属するBLUEGOATSのライブは、熱量がかなり高いものですよね。

ダイナマイト・マリン:
自分たちはけっこうバンドを観たりしているので、アイドルよりもバンドに影響を受けているかもしれないです。ライブの盛り上げ方とか。メンバーでアイドルを観ている子は少ないんじゃないかな。私はもともとバンドが好きだし、ほかのメンバーも、このグループを始めてからバンドを観るようになりました。

――どのあたりのバンドが好きなんですか?

ダイナマイト・マリン:
キュウソネコカミです。学生の頃からずっと好きです。めっちゃライブとかにも行ってます。なんていうか、全部さらけ出すというか、弱いけど強い……普段は教室の隅の方にいるけど、ステージに立ったら誰よりも強い。自分もその精神で、ステージに立った時は誰よりも強くいたいと思っています。

――マリンさんは、作詞もしていますよね。けっこう赤裸々というか、自分の葛藤を描いているという印象を受けました。

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSでは、自分の生き様というか、信念みたいなものを歌詞にしていることが多いです。自分はずっとクラスの端にいて、友達もあまりできなかったので、だからこそアイドルでは誰にも負けたくないみたいな気持ちが、歌詞に出てしまうのかなって思います。

――作詞をするようになったきっかけは?

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSが始まるタイミングで、前のグループで作詞していた子が辞めちゃったんです。それでスタッフさんから“書いてみない?”って言われて、書き始めたという感じです。

――作詞は難しかったですか?

ダイナマイト・マリン:
難しかったですね。メロディに言葉をハメることが、最初は全然できなくて。デビュー前に何曲か書かなきゃいけない時に、けっこう心が折れかけました(笑)。自分だけの責任じゃすまないですから。私が作詞できなくて曲がリリースできなかったら、メンバーみんなつぶれちゃうみたいな、そういう責任が大きくて。

――自分の中で歌詞に思い入れのある曲は?

ダイナマイト・マリン:
わ~、思い入れかあ……。まだ自分の中では“マジでこれ最高”みたいな歌詞は書けたことがなくて。それをちゃんと書けるようになりたいと思います。書いている時は、全部ホントだし、いいなと思っているんですよ。でも、進化していきたいじゃないですか。これでいいなって思ってしまわないように頑張りたいです。

――最近の曲では、「素直になれない」の歌詞についてはどう考えていますか?

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSでは、パンクじゃないですけど、反骨精神みたいなものを、自分は歌詞にしていることが多いんですけど、初めてそういうのを抜きに、嫌な自分と向き合ったというか、自分の弱いところと向き合って書いた歌詞です。

――自分と向き合うのはけっこうきついですよね。

ダイナマイト・マリン:
けっこう病みました。でも、歌ってみたら、メンバーも同じ気持ちで歌ってくれるし、ファンの人も同じ熱量で歌ってくれるから、自分だけのものじゃないというのが、自分としては嬉しいです。

ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)
ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)

BLUEGOATSのライブはすごく誇りに思っている

――マリンさんは、学生時代にモーニング娘。のオーディションを受けたけど、合格できず、その後は工場で働いていたそうですね。その頃もオーディションは受けていたんですか?

ダイナマイト・マリン:
けっこう受けました。モーニング娘。以外のハロプロも受けましたし、WACKとかも受けました。全然ダメでしたけど。で、もう諦めなきゃいけないのかなって思っていた時に、オーディションサイトを見ていたら、たまたまピンときたアイドルがいて、応募したら受かったみたいな感じですね。

――そのピンときた理由は?

ダイナマイト・マリン:
いわゆるキラキラ系というよりも、ほかとは違う、ちょっと変わったカッコよさがあるグループだなと思ってオーディションを受けたんです。

――大好きだったモーニング娘。のパフォーマンスとはまったく違いますよね?

ダイナマイト・マリン:
全然違いました。当時はお客さんに“ライブがいい”って言ってもらえても、あんまりよく観てもらえてなかった気がします。フロアで熱狂しているお客さんが主役になっていたというか。私的には今のBLEGOATSはどっちも主役みたいな感じで、いい関係性が保てているんじゃないかなって思うんです。でも、あの頃は、お客さんはもうずっとMIX打ってて、パフォーマンスを観てもらいたいんだけど、全然観てもらえないみたいな感覚でした。

――それはコロナ前ですか?

ダイナマイト・マリン:
ぎりぎりコロナ前から始めて、コロナ中にかけてですね。

――コロナ前はお客さんがステージをほとんど観ないで、サークルを作って楽しんでいるみたいな現場もありましたよね。

ダイナマイト・マリン:
ホント、びっくりしました。こんなに(ステージを)観ないんだって(笑)。それはそれでいいという現場もあるとは思うんですけど。アイドルを真剣にやっている子たちが報われないのは、ちょっとかわいそうだなって思います。

――アイドルが“見つかる”きっかけはいろいろあると思いますが、それがライブだといいですよね。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。アイドルって、自分たちでグループの楽曲や方向性を全部決められることって少ないじゃないですか。だから、もがいている人たちは、すごく大変だと思います。自分も前のグループの時は、何を頑張ったらいいんだ?って悩んでいました。ボイトレも頑張っているし、ダンスもめっちゃ練習しているけど、なんか突き抜けられないみたいな。“ほかのグループとは違う、自分のグループのよさは?”って聞かれてもウマく答えられなかったし。頑張り方がわからなかったですね。

――現在はどうですか?

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSのライブは、MIXやコールがホントになくて。みんなが私たちの歌を一緒に歌うっていう感じなんです。そういう自分が今まで経験してこなかったことができているので、すごく誇りに思っています。

――バンドに近いノリなんですね。

ダイナマイト・マリン:
ホント、そんな感じですね。自分のやりたいことが実現できているっていうか、けっこうそれまでは時間がかかっちゃったけど、そういう経験をしてきたからこそ、今の形ができているのかなって思います。

――それは今までの活動の中で、徐々に変わっていったんですか? それとも何か転換点がありました?

ダイナマイト・マリン:
今までも心の底からライブが楽しいって思えたこともあるんですけど、今と比べると、“ホントに楽しんでいたのか?”って思うんですよね。メンバーのモチベーションも下がっていくし、本当にこれでいいのか?って考えた時に、ロックフェスの映像を観たんです。それで自分たちがやりたいのは、これなのかもしれないって思って。そこで今までのストレスが全部解き放たれたみたいな感じになりました。そこからは、ちゃんとライブを観てもらえるようになったんです。

――それはいつ頃のことですか?

ダイナマイト・マリン:
ここ最近です。去年ですね。やっと変わり出しました。それまではもうどうしようみたいな感じで。ひたすら頑張ってはいるけど、何も見えてこないというか。でも“頑張っているから、大丈夫”って言い聞かせるしかないみたいな感じでしたね。

――手応えのない頑張りって大変ですよね。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。お客さんも全然増えなかったし。やっぱり楽しめていなかったんでしょうね。

――意識が変わってから、手応えは?

ダイナマイト・マリン:
あります。あっという間にお客さんがどんどん増えました。ホント今はありがたいなって思っています。

ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)

このグループに自分は救われています

――今、目指しているステージはどこですか?

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSとしては、最終的に横浜アリーナでライブがしたいんです。そこを目指してはいますね。でも形だけじゃなくて、来た人を救うというか、ちゃんと意味があるライブにしたいです。だから、大きなステージに立つというのも目標なんですけど、ちゃんと1つひとつのライブで、来てくれた人の心を動かしたりとか、来てくれた人を1人でも救うことの方が今は大事かなって思っています。

――これまでいろいろ葛藤していたからこそ、過去の自分のような想いを抱えている人を、自分のパフォーマンスを通じて救いたいという気持ちが強いんですね。

ダイナマイト・マリン:
BLUEGOATSをやっていて、自分自身が救われているっていうのがすごく大きくて。可愛いアイドルやキラキラしたアイドルも素敵だと思うけど、じゃあ自分は誰が救ってくれるんだ?となったら、私にはBLUEGOATSしかないんじゃないかって思うんです。そのくらい、このグループに自分は救われています。

――今はすごく良好な状態なんですね。

ダイナマイト・マリン:
そうですね。でもやっぱり病んでいる子たちはほっておきたくないというか、自分の活動を通じて、そういう純粋にアイドルを目指している子とか、純粋に頑張っている子たちを、最終的には救いたいなって思います。

――救いたいという言葉も出ましたし、アイドルは自分だけのものじゃないというか、1つの共同体というか、ファンとメンバー、スタッフの全員が幸せになることがマリンさんの理想なんでしょうね。

ダイナマイト・マリン:
みんなが同じ気持ちになれたらいいし、悲しい顔をしている人がいてほしくないなって思います。私は、反骨精神でみんなをびっくりさせるようなことや、アイドル界の不条理をぶっ飛ばしたいみたいなことを言っちゃったりする時もあるけど、最終的には平和でありたい。誰もこぼさず救っていきたいと思っています。

――口では悪く言ってしまうけど、それは優しさの裏返しなんでしょうね。

ダイナマイト・マリン:
自分で優しいっていうのは(笑)。でも、人の痛みはわかっているんじゃないかなって思います。過去のつらい経験も普通だったらもう嫌だって思っちゃうかもしれないけど、今はそういう経験を通じてちゃんと救えている人がいるので、よかったなと思います。

ダイマナイト・マリン(BLUEGOATS)

BLUEGOATS 5thワンマンライブ<青春謳歌>

BLUEGOATS 5thワンマンライブ<青春謳歌>

日時:2025年5月2日(金)開場 18:00/開演19:00
会場:新宿LOFT

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