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「初めて話した時、ショックだったんだよ」南沙良&馬場ふみかが本音を吐露『愛されなくても別に』自転車二人乗りシーン

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「初めて話した時、ショックだったんだよ」南沙良&馬場ふみかが本音を吐露『愛されなくても別に』自転車二人乗りシーン

日本最年少でカンヌ国際映画祭への出品を果たした井樫彩が監督、主演に南沙良を迎えた映画『愛されなくても別に』が、7月4日(金)公開される。このたび、本作の中でも印象的な場面のひとつである“自転車の二人乗り”シーンが解禁となった。

今を生きる彼女たちの、“青春逃走劇” が始まる

原作は、2021年に第42回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の同名小説。テレビアニメ化などで大ヒットした「響け!ユーフォニアム」シリーズ作者による、新時代の青春ストーリーが、若干29歳の新鋭監督・井樫彩の手で実写映画化された。『溶ける』(16)が第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に日本人最年少で正式出品され、続く『真っ赤な星』(18)も、レインダンス映画祭コンペ部門にこちらも長編映画として日本人最年少で正式出品。本作は、待望の長編新作映画となる。

宮田陽彩(19)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に変わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも…。いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な髪色、メイク、ピアス——バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。「江永さんのお父さんって殺人犯なんだって」他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていく—。

二人は宗教施設から抜け出してバスを待っていたが、なかなか来ない。そんな中、江永が近くにあった自転車を見つけ、二人は自転車に二人乗りし、山道を下っていくことになる。道中、宮田は「どうしても思っちゃうんだよね。お前より私の方が苦しんでるよって」と江永に打ち明ける。江永は「それが不幸中毒ってやつですよ…。不幸度で勝ちたいなんて思ってたら、結局自分から不幸になりたがるやつになっちゃうよ」と静かに諭すように言葉を返す。それに対して宮田は、「だから初めて江永とちゃんと話した時、ショックだったんだよ」と、本音を吐露する。

撮影を振り返り、江永を演じた馬場ふみかは、「後ろに沙良ちゃんを乗せて、ぐねぐねと曲がる山道を下ったんですが、前を走る軽トラの荷台に設置されたカメラとの距離も意識しながら、安全に気を配りつつセリフも言わなきゃいけない。全部で10回以上は走ったのでだんだん慣れてはいきましたが、怖さはずっとありました」と振り返る。

さらに撮影前には、主演の南沙良と馬場ふみかに個別でアクティングコーチによるレッスンが行われた。井樫監督は、「レッスン内容はコーチと相談して決めました。馬場さんには江永が自分の母親に『身体を売れ』と言われたという設定で、私が脚本を書き、実際に演じてもらいました。そのときの感情が、本編で雅が語る場面にも活かされていると思います」と振り返る。一方、南については、「堀口とコンビニで働く日常のシーンを演じてもらいました」と語る。

このレッスンの意図について監督は、「映像には映らないけれど、シーンとシーンの間にもその人物の生活や感情は存在している。そこを補填する意味がありました」と語り、「監督という立場では演出はできても、芝居を言語化して教えるのは難しい。アクティングコーチはその部分を補ってくれる存在です」と、撮影前の丁寧なアプローチについても明かしている。

様々な感情を抱える2人が、少しずつ心を通わせながら、生きていく。そんな本作は、痛みや孤独も抱えながら、それでも進もうとするすべての人にそっと寄り添ってくれる作品となっている。

Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

『愛されなくても別に』は7月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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