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【衆院選と経済政策】各党はどんな経済政策を訴える?物価高、景気対策を考えるポイントは?静岡新聞のデスクが解説します!

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」、今回のテーマは「衆院選と経済政策」です。先生役は静岡新聞の高松勝ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」2024年10月14日放送)

(山田)今日のテーマは「衆院選と経済政策」ですね。

(高松)「政治とカネ」がもちろん焦点ではあるんでしょうけど、今回は各党とも景気対策、物価高対策を非常に優先度高く掲げていますので、見比べというのが非常に重要です。言いっ放しにさせないようにというか、言ったことをちゃんとやるのかっていう意味で、投開票後もチェックをしてもらえれば。

(山田)各党ともはっきり政策の中身は分かれている?

(高松)方向性としては、賃金を上げて個人消費を促し、企業収益を上げてさらに賃上げをもたらすといういわゆる「経済の好循環」、これは今に始まった議論じゃないんですけども、これを目指すってことは共通しています。アプローチの仕方がちょっと違うかなと。

(山田)どう違いますか?

(高松)直接的にやるのか間接的にやるのか、個人にアプローチするのか、法人にアプローチするのかというところの違いになってきます。直接的というのは、例えば個人への直接給付です。短期的にとにかく今の物価高を乗り切らなきゃいけないってことで、低所得者層や年金生活者に給付金を渡すとか、あるいはガソリン代などの負担軽減や社会保険料の減免とか、直接的に財政出動することで個人を支援しましょうという方向性ですね。

もうちょっと広い目線として、減税や、中小企業の価格転嫁を推進させるとか、環境的な対応をしようという方向もあります。ここは、政党の位置づけによって、直接給付の方向性が強いとか、環境整備の方が大事だとか、当然そのミックスにもなってくるんですが、各党のポジショニングによって色合いが変わってきます。

選挙後に控える中間決算発表、冬のボーナス。個人消費の刺激策は?

(山田)私たちは投票の時にそこを見比べて、物差しにしたらいいわけですよね。

(高松)そうですね。ただ、伝統的に各政党とも、大きな政府を目指すのか、小さな政府を目指すのかっていうところも含めてわりと色がはっきりしているので、今回各党が急にびっくりするようなことを言っているということはなくて、おおむねこれまで言ってきたことであるかなと思います。

今後の流れをちょっと整理すると、この後27日に投開票が終わると新政権が発足しますが、11月に入ったらすぐに3月期決算企業の中間決算が発表されます。ここでまた株価がどうなるかが注目され、12月に冬のボーナス、年末商戦という流れになってきます。

なので、衆院選を踏まえてどういう短期的な政策が出るか、景気がそれでどう刺激されるのか、個人消費の空気感がどうなっていくのかというのが、重要な注目点になっていきます。

(山田)購買意欲が上がっていけるような流れを作れるかっていうことですね。あと、消費税をポイントに挙げている政党が意外と出てきたなと思います。

(高松)そうですね。皆さんちょっと注意してほしいのは、財源ですよね。選挙ってのはバラマキというか、非常に耳障りのいい話が出がちというか、財政出動をして国民負担はとにかく減らすという話になりがちなので。

当然、負担は減っていろんな補助も出るよってなれば、個人も企業もハッピーに決まってるんですけど、それはどっから出てくるのっていう話ですよね。大きな方向性としては、日本は高齢化で社会保障費は増えるし、基本的に国債依存度が高い借金国家みたいなところもあるので、政策の財源をどこから出すのか、日本の財政をどう考えるのかと。

ここは各政党もわかっていて、一時的に政府支出が増えてでも、今のすごい物価高に対応することが日本の景気のために必要だ、というロジックで当然組み立ててはいるんですけども。

それにしても、その後にいろいろな増税をするのかしないのかとか、将来をどのように論理的に構想して話しているのか。政権担当能力があるのかという話になると思いますが、その党が政権を取った場合に、主張した政策を全部発動させても財政とのバランスを取れるのかということも問われると思います。

あとは消費税の議論もそうなんですけど、長い目で見て、その政党が税制の中でどこに重きを置いているのかというのは非常に重要ですね。

(山田)話を聞いていると、今後の景気のポイントになる選挙ですね。日本が景気良くなるか。

重要な論点、「円安」をどう考える?

(高松)もう一点、大きな論点として為替対応、円安をどうするかっていうのがあるんですよ。構造的には、日本が利上げをして日米の金利差を是正しないと、結果的には円高にはならないわけです。食料やエネルギーの輸入国である日本は結局、円安環境では中小企業を苦しめている原材料高騰が解決しないし、賃上げになかなかつながらない。

ただ一方で、利上げというと個人消費の冷え込みにつながる可能性があるし、円安だと輸出型製造業の業績が非常に良くなって、そうした企業の賃上げにつながるわけですね。日本は製造業が強い国なので、円安の方が株高になる傾向もあり、円安を求める人たちも多かったりします。

日銀の対応も含めてですが、入り口としての「為替」をどのように位置づけるのか、どの状況が一番望ましいのか、各党の主張をよく見る必要があります。

(山田)各党は意見が違いますか。

(高松)日銀の目標がどうあるべきかっていうのは、政党によって意見が異なります。結局、どのレベルの円安感というか、円高感というか、特に中小企業を守るという意味も含めて、大きな環境をどう見ているのかっていうのがすごく大事です。直接給付的な短期的な政策論だけじゃなくて、日本の経済環境、財政がどうあるべきか、長期的な視点を持っているかをちゃんとチェックしてほしいと思います。

選挙って、「祭りのあと」ってよく言いますけど、選挙後に、結局あの時に言ってた話は何だったんだ、というふうにならないように、各党の公約をよくよく見比べていただきたいなと思います。

(山田)そうですね。きょうの勉強はこれでおしまい!

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