村尾信尚「トランプ大統領やトルドー首相がSNSで発信する危険性」
トランプ大統領がカナダとメキシコに2月4日から発動する予定だった関税引き上げを1か月延期すると発表した。2月4日の「くにまる食堂(文化放送)」では、関西学院大学教授の村尾信尚が、トランプ大統領やトルドー首相がSNSで発信することの危険性について語った。
村尾「トランプさんもそうなんですけど、カナダのトルドーさんはSNSで発信してますよね。私が大蔵省にいた時に日米金融協議や外交交渉の場に携わったことがあるんですけど、事務方がしっかり詰めてから、それぞれの国で上まで上げて対外発表するというプロセスが普通だったんです。しかしSNSの発達でトップ同士がそれぞれSNSを使って発表するようになったので事務方がメリットデメリットをよく話し合ってみるという場が飛んでしまった。いい意味で言えば政治的即断でスピーディーに物事が決まる。一方で、まかり間違って変な判断を下されると、とてつもないところへ行きかねないという不安は今回の件だけでも感じましたね」
邦丸「村尾さんが以前も指摘されていたのが、今を遡ること何十年前、戦争が起きる前の状況に非常に似ている。これは村尾さんだけではなく、多くの歴史学者も指摘していますよね」
村尾「2008年のリーマンショックの時にニューヨークのウォール街で色んなエコノミストの人たちと話をしたら、彼らも私と同じ問題意識を持っていたんです。1929年にアメリカで大恐慌が起きて株式が大暴落した。その時、世界不況に陥って各国は自国優先、保護主義になっていった。関税を高くして自国の産業を守ろうということに走って、その結果、世界貿易が縮小して1939年には第二次世界大戦が勃発したという歴史があるので、リーマンショック以降、自国優先、保護主義の考え方が出てきてしまうのではという話をしたんです。実は私だけではなくてリーマンショックの1年後、当時の麻生太郎総理も国会で『1929年の大恐慌の教訓を忘れてはなりません。世界各国は自国の利益を優先し保護主義に走りました。それが世界経済を収縮させ、第二次世界大戦にも繋がりました』こう言っていたんです。まさにこの歴史を今、歩んでいるのではないでしょうか。戦争の足音が聞こえつつあるのが今じゃないかと思うので、何としても自由貿易を推進する。日本が先頭に立って自由貿易を守ってもらいたいと思います」