Yahoo! JAPAN

肩こりや頭痛の基礎知識と対処法【肩こりの度合いをチェック】

TBSラジオ

日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。
新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。

今日のゲストは医療ジャーナリストで医師の森田豊さん!

肩こりや頭痛の基礎知識と対処法

実は厚生労働省の調査で「自覚症状のある体の不調」の割合を調べたところ、「肩こり」は男性で2位、女性で1位に上がっていました。また、一般社団法人日本リカバリー協会らが男女各5万人に行った健康調査によると、首筋や肩こりを抱えている人は72.5%で、30代~40代が最も多かったそうです。悩んでいる人があまりにも多いので、「日本の国民病」とも呼ばれています。
ただ、意外に知識が間違っていたり、ちゃんと知らないことも多いかと思います。今回は、「肩こり」や「頭痛」の原因や対処法を紹介するので、気になる方はぜひチェックしてみてください!

『 肩こりの度合いを確認するには‘姿勢’や‘肘’でチェック!』

肩こりの原因にはさまざま考えられますが、血液の循環が悪くなることが大きな要因と考えられています。頭の重さは、およそ5キロほどあるので、「ボーリングの球」を背骨の上に乗せているようなものなんです。姿勢が正しくまっすぐならまだいいのですが、頭を傾けた状態だと首や肩に3倍以上、すなわち20キロほどの負荷がかかると考えられています。

「肩がこりやすい姿勢」というのもあって、
1.顎が突き出し気味
2.視線がまっすぐでなく、上や下を向いている
3.猫背になっている

この3つの状態だと重い頭を首や肩甲骨で支えなければならず、肩に負担がかかってしまい、肩こりになりやすいんです。

まずは、肩こりの度合いをチェック

1.顔の前で両手の掌をくっつける
2.掌をくっつけたまま、左右の肘をくっつける
3.掌と肘がくっついた状態で、肘を上に上げる

目安としては、肘が鼻の高さまで上がれば大丈夫、肘が唇の高さまでなら「軽度の肩こり」、肘が顎まで上がらない場合は、「重度の肩こり」と考えられます。

『 姿勢をよくするには‘タオル体操’をしてみよう! 』

肩こりの対処には、普段から意識的に姿勢を良くしたり、運動したりすることが大切ですが、タオルを使って簡単にできる方法があります!

1.タオルの両端を持ち、両腕と両肘をまっすぐ頭の上に伸ばす。
2.そして、左右に倒す。
3.無理しない範囲で腰を真横に曲げつつ、肩甲骨周りの筋肉がダイナミックにストレッチされていることを感じてください。
4.そして、腕を元の位置に戻し、反対側も同様にやってみてください。
5.タオルの両端を持ったまま両手を前に出して、腰を左右にねじる。

これをやることで、さらに肩甲骨周りがよく動きます。ぜひ、タオル体操や運動をして、肩こりを解消してみてください。
そして、肩こりに悩む人が注意しなければいけないのが、“頭痛”の症状を伴うことが多い ということです。日本人のおよそ3人に1人が慢性的な頭痛に悩まされているというデータもあります。

肩こりから生じる頭痛は「緊張型頭痛」

首周りの筋肉の緊張が原因で、頭痛が生じます。この「緊張型頭痛」は別名「ジワーン型」とも呼ばれています。頭全体がジワーンと締め付けられるように痛むもので、慢性の頭痛の70%~80%は「ジワーン型」と考えられています。スマホやパソコンの使用などでずっと同じ姿勢をとっていたりすると、首の筋肉の血の流れが悪くなって、頭痛の症状が生じてしまうんですね。この緊張型頭痛を避けるには、まず、肩がこっている状態にならないことが大切です。

『 頭痛の種類によって、温めるか冷やすかが決まる! 』

「緊張型頭痛」「ジワーン型頭痛」の対処法ですが、肩こりの改善の他にまず大切なのは「睡眠」と「ストレス解消」です。そして、お風呂に入って体を温めたり、お酒を飲む方だと適度なお酒を飲んで、リラックスすることも効果的と考えられています。緊張型頭痛では、血管が収縮することが痛みの原因となるので、血管を拡げるようなこと、すなわち「温める」「適度なお酒を飲む」などがよいです。そして、「温めたのにあまり効果が感じられない」という方は、「片頭痛」を疑ってください。

頭の表面を走る血管が何らかの原因で拡張し、痛みが発生する「片頭痛」

肩こりからくる緊張型頭痛は、首から後頭部にかけての筋肉のこわばりが原因でしたが、片頭痛(ズキンズキン型頭痛とも呼びます)では、頭の表面を走る血管が何らかの原因で拡張し、痛みが発生すると考えられています。この片頭痛では、お風呂に入ったり、適度なお酒を飲んだりすると、より血管が拡がって拡張してしまい、痛みが悪化してしますので注意が必要です。片頭痛による頭痛は発作的に起こり、4時間~72時間持続し、片側性のズキズキと脈打つような拍動性の痛みを特徴としています。片頭痛の名称の由来は片側が痛むこととされていますが、実際には40%近くの患者さんが両側の頭痛を経験されています。
片頭痛の対処法としては、コーヒーや緑茶などのカフェインを摂取すると血管を縮めることとなり、症状が治まるとされています。その他にも、「こめかみなど痛むところを冷やす」、「痛いところのこめかみの動脈を指で押さえる」「過労や睡眠不足を避ける」などがあります。緊張型頭痛は温めることで改善しますが、片頭痛では冷やすことで血管が収縮し、症状が改善されるんですね。

頭痛が起きたときに、「どちらの頭痛が起きているか」ということを確認してみてください。
また、いずれの頭痛も、過労や睡眠不足を避けて、ストレスが溜まらないようにすることがとても大切です。ただ、2つのタイプの頭痛が合併して起きてしまうこともあるので、頻繁な頭痛で悩んでいる方は脳神経外科医らの診断を受けることをお勧めします。
どんな頭痛でも、基本的には脳神経外科や頭痛外来などで、診察を受けてもらいたいです。
覚えておいていただきたいのは、「今までに経験のないような頭痛」「痛みがどんどんひどくなる」「痙攣や痺れが生じる」「熱が出て首の動きが悪くなる」などの症状があった場合は、脳出血や脳腫瘍などの疑いもあるので、早めに医療機関を受診してください。

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

【関連記事】

おすすめの記事