「アキラとして板の上に立ち、実際に動いた時、原作を愛するファンの皆さんの期待を遥かに超えてみせたい」~激情バニッシュ演劇「咎狗の血」主演・高橋祐理インタビュー
2025年8月10日(日)~24日(日)新宿FACEにて、激情バニッシュ演劇「咎狗の血」が上演される。主演を務める高橋祐理へ公演への意気込みを聞いたインタビューが届いたので紹介する。
不朽の名作BLゲーム、ついに舞台化!
「人生で一番忘れられないBLゲーム」「とにかく衝撃だった」
その洗礼を浴びたものはそんな風に口を揃えて語るゲームがある。
2005年にニトロキラルから発売され、その硬質な世界感と深く重厚なストーリーで当時のBLファンに衝撃を与えた『咎狗の血』がそれだ。発売から今日まで、日本のみならず世界中のファンに愛され続け、20周年を記念し、満を持して舞台化が発表された。
アキラ役で主演を務めるのは2.5次元舞台で活躍する高橋祐理。突出したダンスとアクロバットの技術を武器に、これまで自身が演じるキャラクターに真摯に向き合い続けてきた。
まずビジュアルをすごく素敵に作っていただけて、すごくテンション上がりました。それが発表された時は、ありがたいことにSNSで『めちゃめちゃアキラっぽい』という声を聞けて、とても嬉しかったです。でもアキラとして板の上に立ち、実際に動いた時、その期待を遥かに超えたい。アキラならではの立ち姿、目線の使い方、それぞれのキャラクターに対する視線の違いとか、繊細な部分を稽古でどう作っていけるかが、勝負になってくるのかなって思います。
主人公・アキラの細やかな心情に寄り添いたいというが、原作の世界観やアキラを待ち受ける運命は過酷なものだ。物語はアキラが無実の罪を着せられることに端を発する。無罪放免の交換条件に荒廃した都市<トシマ>に赴き、<イグラ>と呼ばれる命がけのゲームに参加することになるのだが——
僕、終末とか無法地帯みたいな世界観の作品がわりと好きなんですよ。流血系も大丈夫です。僕の親がホラー映画好きで、物心ついた時から親と映画館に行って、一緒になって観ていたんです。やっぱり子供だし怖いから、親の背中に隠れて観てはいたんですけど、大人になるにつれて、恐怖はあるけど、それがストレス発散のような感じで観るようになっていて。ジャンルとしてはゾンビ映画が一番好きですね。ゾンビ映画はだいたい最終的にはゾンビは物語の飾りのようになって、終盤は人間同士の争いになってくるじゃないですか。その人間の毒々しい争いが一番面白いし、結末もいつもハッピーエンドじゃないところが好きです。ズーンと重たくはなるけれど、それがいいっていうか。
全5通りのストーリー、演出も行程も予想がつかないけれど、楽しみたい。
現在は原作ゲームを少しずつ進め、上演される全5ルートの中のひとつであるケイスケルートをクリアしたそう。ケイスケはアキラと幼馴染の気弱な青年で、奇しくもケイスケ役の田中朝陽とは同事務所の先輩・後輩の仲だ。
ケイスケ役の朝陽くんと『これ、舞台でどうやってやるのかな?』ってよく話すんですよね。普段から会う頻度が多いし、稽古が始まったらきっと2人でいろいろ話す時間は多くなると思います。実は人見知りなんですけど、知っている人がいるのは心強いですね。共演者で気になるのはn(演・武子直輝)かな。一番謎に包まれたキャラクターで、オーラを放っていますよね。直輝くんがどういう感じでこの役を演じるのかすごく楽しみです。
演出家の中屋敷法仁は、これまでのキラルステージ(=ニトロキラル原作のBLゲーム舞台の総称)で暴力的、官能的なシーン、それらに伴う心情描写の表現を、画期的なステージングで表現してきており、ファンからの信頼も厚い。
だけどこの作品が舞台でどう表現されるのか、今はまだ全然予想がつかないんですよね。中屋敷(法仁・演出)さんがどうやって表現するのか、どんなやり方で作っていくのか? 舞台美術も照明も全然まだイメージが湧かないです。だけどもし、ダンスや身体での表現があるのだったら、ぜひやらせてください! って気持ちです。体作りもしていますし、やっぱりダンスは得意分野なので、それで表現できるシーンがあったら嬉しいし楽しみです。
さらに本作は物語が途中で分岐。アキラがケイスケ、リン(演・伊崎龍次郎)、源泉(演・林田航平)、シキ(演・中本大賀)、 nら5人いずれかのキャラクターに命運を預けることで、5通りの結末が待ち受けている。シナリオ選択式のアドベンチャーゲームが原作ならではの仕様だが、演者にとっては、5つの演目を同期間に稽古し、上演するに等しい。台詞量だけでなく、アクションや表現する演技の幅も負荷の高いものとなりそうだが、そんな未知の領域へ挑戦することを歓迎しているかのように、高橋は笑顔を見える。
いやもう、頑張るしかないですよね! 物語が分岐する作品は初めてですが、めちゃくちゃ記憶力はいい方なので、台本覚えには自信があります。気持ちの切り替えも得意なので、早く稽古がしたくて仕方がないですね。
最後に舞台を楽しみにしているファンへのメッセージを聞いた。
歴史のある作品なので、令和の時代に『咎狗の血』が舞台化するの? というSNSの反応をたくさん見ました。今だからこそ、進化した技術で表現できることがありますし、期待度もかなり上がっていると思います。『激情バニッシュ』という言葉の通り、迫力ある最高の作品を届けたいと思うので、全5ルートそれぞれ楽しみにして劇場に来てくれたら嬉しいです!