SUPフィッシング始めませんか?【第1弾】 デビューに向けて知っておきたい道具とマナー
たくさんの魚に出会えるチャンスに溢れているSUPフィッシング。
「興味はあるけど知り合いに経験者がいない…」「始めてみたいけど、何から用意すればよいか分からない」なんて質問をよくいただくので、今回はなくてはならない道具類のほか、SUPフィッシングにおける注意点をご紹介します!
ショアや遊漁船からの釣りとは異なるため、新たにそろえる必要がある道具や沖に出る以上気を付けなければならない注意事項もありますが、いつでも大海原へ繰り出せる自由は最高の贅沢です! 安全に楽しくSUPフィッシングするために参考にしてみてください。
SUPフィッシングに必要不可欠な道具は?
どんなボードを使うの?
SUPフィッシングで使用するボードは「ハードボード」と「インフレータブルボード」の2種類に大きく分かれます。ハードボードは分かりやすくいえば表面が固い素材でできているボードです。対してインフレータブルボードは空気を入れて膨らませるタイプのボードで、個人的な好みはあると思いますが、これから始めるのであれば「インフレータブルボード」がオススメです。
理由として、
①ハードボードに比べて価格が安いこと
②空気を抜いて保管できるので収納スペースに困らないこと
③比較的軽いので持ち運びが楽なこと
以上のような理由が挙げられます。
空気を抜いて折り畳むと、ゴルフバッグ程度のサイズになるインフレータブルボード
「価格が安い(①)」ということはデビューしやすいということですが、価格だけにとらわれると、粗悪なボードである危険性もあります。
たとえば、生地の接着が甘く雑であったり、生地自体が薄くバースト(破裂)の恐れがあるなど、多少の不安をはらんでいます。沖に出てバーストすれば生命に関わることもありますので、SUPに詳しいショップなどで相談にのってもらうのがベターです。
「収納スペース問題(②)」は、一軒家で収納たっぷりのお宅に住んでいる方以外にとってはかなり助かります。空気を抜けばゴルフバッグ程度になるインフレータブルボードと違い、ハードボードであれば、3m以上あるボードを家の中や外のどこかに保管しなくてはならないという問題があるからです。
バーストの心配はありませんが、かさばるうえに価格も高いハードボードは家族から同意を得るのも一苦労なんです(笑)。
「持ち運びの楽さ(③)」はインフレータブルの最強の武器です。SUPフィッシングではボード以外にクーラーボックスやタックルなどもあるため、それなりの重量になります。海にエントリーする際にもたついていると、波に巻かれてタックルをなくしてしまったり怪我をする恐れもあります。
SUPフィッシングには「パドル」が必要!
SUPは「パドル」を使って漕ぐことで進みます。パドルには「シングルパドル」と「ダブルパドル」の2種類があり、シングルパドルは水をかくパドルが片側だけにあり、ダブルパドルは両端にパドルが付いています。カヤックで通常使用するのがダブルパドルですね。
私が使用しているのはシングルパドル。SUPフィッシングなら釣りをメインで考え、安定した推進力を得られるダブルパドルもアリ!
どちらがよいかというわけではないですが、ダブルパドルは座った状態でしか使用できません。SUPは“スタンドアップパドルボード(Stand Up Paddleboard /Stand Up Paddle Boarding)”の略ですので、本来は立ち漕ぎで楽しむアクティビティです。ただ、釣りをするためだけなら座ったままでもアリです。ダブルパドルは安定して推進力を得られる利点もあります。
私は年甲斐もなくスタイリッシュにSUPフィッシングをしたいので、シングルパドルを使っています(笑)。
どんなタックルがベスト?
ベイトでもスピニングでもよいのでオールラウンドなタックルがオススメです。なぜならSUPフィッシングでは、カヤックや船のように何本もロッドを持ち込むことは不可能だからです。多くて2本、最初は1本に絞ったほうがオススメですね。
今はパドルフィッシング(SUPやカヤックの釣り)専用のロッドが発売されており、6ft前後のロッドと、スピニングなら3000番前後やベイトリールならラインが300m程度巻ける小型のリールが使い勝手がよいです。
私のおすすめはパドルフィッシング専用に開発された、Bifarr(バイファール)の「BIFS-63UL OverDrive(オーバードライブ)」というスピニングロッドです。オリジナルブランクスは20g前後~80gまでのジグを扱うことができるので、スーパーライトジギングからライトジギング、タイラバなど何でもありの扱いやすい1本です。
ルアーは60g前後のジグが一番使用頻度が高く、ルアーケースに入るだけ入れておけばよいと思います。
必ず必要な「フラッグ(旗)」とは?
SUPフィッシングにおいてかなり重要な存在となるのが「フラッグ」です。ほかの釣りでは全く必要としないアイテムですが、SUPやカヤックで海に出る際は必ず必要と考えましょう。なぜなら、SUPフィッシングをする方の大半は立ち漕ぎをせず、カヤック同様に座って漕ぐから。つまり、姿勢が低いままだからです。
当然ですが、海上では遊漁船や漁船とも釣り場が近くなります。波や船首に妨げられ、船からは想像以上にSUPの存在を察知しにくいのです。私のホームエリアでは過去に、漁船との接触事故や遊漁船とのトラブルなどで釣りができなくなってしまったポイントもあります。
フラッグはカヤック用が販売されておりますので購入もできますが、使い古した2m前後のロッドに4~50cm四方の蛍光色の布を括り付けてもOKです。要は自分の存在がアピールできればよいのです。
ライフジャケットを着用しよう
沖に出てもしも海に落ちたり、落ちた際にボードが風に流されたり、最悪ボードがバーストしたりした場合、最後に生命を守ってくれるのが「ライフジャケット」です。
ライフジャケットには「ベストタイプ」と「腰巻きタイプ」がありますが、どちらでもお好みで大丈夫です。私は両方とも活用しており、夏は腰巻き、冬はベストタイプと使い分けます。なぜなら私は自他ともに認める寒がりなんです(笑)。実はベストタイプは意外と温かいので、寒がりやさんにはオススメですよ♪
一方、腰巻きタイプで気を付けなければならないのは、自動ではなく手動膨張タイプを用意することです。文字通り、自動膨張タイプは水に濡れたことを感知すると浮袋が自動的に膨らむので安全性はひじょうに高いものの、SUPフィッシングではエントリーする際に波打ち際で海水がかかることもあり、瞬時に浮袋が開いてしまう恐れがあります。手動タイプは水に落ちた際に自分で紐を引くことで浮袋が開く構造ですので、濡れても安心です。
万が一に備えての「リーシュコード」
「リーシュコード」とはボードと身体をつなぐ紐のことで、落水したときにボードが流されないようにするためのものです。サーフィンのリーシュコードのように伸縮性があるものが使い勝手がよくオススメです。
また、ボードと自分がつながっている安心感も得られますので、ぜひ用意しておきましょう。
防水ケース(バッグ)を用意しよう
あると海上で何かと便利な防水ケース(バッグ)
万が一のときのために、スマートフォンを海上に持って行くことを推奨します。しかしながら海水は天敵ですので、「防水ケースやバッグ」などに入れておけばいざというときに安心ですし、飲み物や濡れては困るものも一緒に持ち出せます。
とくに夏場は熱中症対策としてドリンクは欠かせません。防水バッグに保冷剤とともにドリンクを入れておけば快適に釣りを楽しめますよ♪
SUPフィッシングのマナーと注意点
エントリーできる風速とウネリ
これからSUPフィッシングを始めようと思われる方が一番悩むのが「風」と「ウネリ」。どのくらいなら安全なのかで悩むと思います。
私や周囲のエキスパートの見解として、「風は風速3m以内、ウネリは0.8m以内」が基準となっています。複数の天気予報アプリを比較し、総合的に判断するのが望ましいでしょう。
私のホームでもある相模湾はどん深のポイントが多く、ショアブレイクがきつい場所も多数あります。ウネリが0.8m以内であっても、岸払いのタイミングを失敗すると波打ち際で海水を被り、タックルが流されてしまうこともあります。
また、岸に戻る際は後ろから波がくるため、最も危険性が増すときです。基本静かな海であっても、ウネリには「セット」といって大きな波が数本まとまって押し寄せるタイミングがあります。岸に戻る際には慌てずに、後ろからの波をよく見てから着岸するようにしましょう。
これまで着岸に失敗して後ろからの波にひっくり返されロッドが折れたり、怪我をした方を何人か見てきました。せっかくのアクティビティを最後まで楽しめるよう注意したいですね。
安全に配慮すれば存分に楽しめるSUPフィッシング!ボードが引っ張られるほどのスリリングな魚とのやり取りも堪能できます漁船が見えたら…
海上にいる以上、当然のように漁船などが近くを航行することがあります。とくに日の出直後などは、ポイントにより船の往来も増えるはずです。
船長たちは当然気を付けて操船していますが、SUPなどはかなり見えにくい存在です。われわれも遠くから船が見えたときはフラッグを立てているからと安心せず、船の行く先を注視し、できるだけルートから外れるよう移動しましょう。
以上、「SUPフィッシング」は楽しいアクティビティではありますが、まだまだ新しいジャンルの遊びですので情報が不足していることも否めません。少しでも安全に、デビューしてくれる仲間が増えれば嬉しいです。
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レポーター
プロフィール:小川 将司
美味しい魚を本気でねらうSUPアングラー。小学校よりバスフィッシングを始めて高校からはサーフィンにハマる。波のない日は釣りを楽しんでいたが、サーフボードに乗って沖に出て釣りを楽しむことができないか模索していくなかで10年ほど前にSUPフィッシングに出会う。ショアやボートからのルアーフィッシングも大好きで、相模湾を中心に四季の魚たちをねらって奮闘中。
インスタグラム:
@ogawa3797 (URL: https://www.instagram.com/ogawa3797/)