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猫も『むくむ』ことがある?むくみが見られる体の部位や疑うべき3つの病気を解説

ねこちゃんホンポ

︎むくみとは

血液中の水分が過剰に血管外に漏れ出て、細胞間に溜まった状態のことを「水腫」といいます。

細胞間の水分は通常、動脈からにじみ出る量と静脈やリンパに吸収される量で一定の量になるようにバランスが取られています。

しかし何らかの理由で、動脈から細胞間に過剰に水があふれ出してしまったり、逆に水分を回収するための静脈やリンパの流れが滞ることで水分が排出されなくなったりすると、水分量のバランスが崩れて水腫が起こります。

水腫の中でも皮下で起こるものを「浮腫(むくみ)」と言います。

水腫としては他にも腹水や胸水、肺水腫などがあり、むくみと同時に発生する場合もあるため注意が必要です。

︎むくみが見られる部位と確かめ方

猫のむくみは全身に起こる場合と、部分的に起こる場合とがあります。

全身にむくみが見られる場合

まず猫の背中やお腹など皮膚の多い場所を触ると、水分が溜まったようにブヨブヨしているのが感じられます。

そしてそのブヨブヨしている背中やお腹の皮膚を指で摘んで持ち上げると、正常ならすぐに元の状態に戻るところ、むくみがある場合には摘んだ形からゆっくりと皮膚が戻っていきます。

部分的にむくみが起こる場合

部分的に起こる場合で良く見られる場所は、四肢や顔、尻尾などです。

四肢にむくみが見られる場合には、4本すべてが浮腫む場合もあれば、見た目からしてどれか1本の足だけが明らかにむくんで肥大しているのがわかる場合もあります。

また、むくんでいる足の肉球はパンパンに張っていることもあります。

顔がむくんでいる場合、特に目周りがいつもよりも腫れぼったくなったり、口や首周りにもたつきが見られることがあります。

尻尾は太っても脂肪が付きにくい場所のため、見た目からして尻尾だけがいつもよりも大きくなっている場合にも、浮腫の可能性があります。

どの部位においても、炎症など他の原因で腫れている場合には触ると痛がることがほとんどですが、むくみが原因の場合には触っても基本的に痛がらないのが、大きな特徴と言えます。

︎疑われる病気3つ

1.肥大型心筋症

心臓病の中でも猫でよく見られるのが「肥大型心筋症」です。

肥大型心筋症によって心臓の動きが悪くなると、全身の血液の循環が滞り、肺や胸腔での血管内圧が上がるために胸水、肺水腫などが症状としてあらわれることがあります。右心不全が起きている場合など、浮腫や腹水が認められる場合があります。

また、肥大型心筋症により血液の巡りが悪くなると、血の塊である「血栓」ができやすくなり、その血栓が後ろ脚の付け根にある血管の細い部分で閉塞すると「動脈血栓塞栓症」を起こします。

動脈血栓塞栓症を起こすと後ろ脚に全く血液が行かなくなるため、急激な痛みと麻痺が起こり、足は冷たく肉球は紫色になります。長時間血栓が詰まったままの場合、手術や溶解剤が使えず足が腐ってしまう可能性があります。

手術は難易度とリスクが高く選択されない場合も多いですが、いずれにしてもこの病気は緊急性が高いため、このような症状が見られたら迅速に動物病院を受診しましょう。

また、血栓が脳に詰まるとけいれんなどの神経症状、肺に詰まると呼吸状態の悪化など他の症状が見られる場合もあります。

2.糸球体腎炎

腎臓の中にある尿を濾過する「糸球体」と呼ばれる場所が障害される病気です。免疫学的異常や感染などが原因で起きます。

糸球体腎炎になると水分やナトリウムが過剰に貯留したり、タンパク質が尿に漏れ出てしまうことで血管内に水分が保持できなくなったりして、むくみが起こります。他にも食欲低下、元気消失、嘔吐、体重減少、多飲多尿、尿量の減少など多様な症状がみられます。

急性発症の場合重篤化することもあるので、上記症状に心あたりがあれば、早期に血液検査や尿検査を行いましょう。

3.腫瘍

リンパ管や血管が腫瘍によって圧迫されると体液循環の流れが悪くなり、むくむことがあります。

体腔内の腫瘍がリンパ管を圧迫している場合や、心臓や心臓周囲の血管に発生した腫瘍による圧迫など、腫瘍の発生部位によって様々です。

この場合、圧迫されている場所によって浮腫の起きる場所や程度も変わってきます。末梢だけしか症状が出ないこともあれば、胸水や腹水など全身的な症状が出ることもあります。

浮腫が見られた場合には、その周辺のリンパが腫れていないか、他に全身でしこりが触れられないか確かめましょう。もちろん、動物病院で全身的な検査を受けることが推奨されます。

︎まとめ

人は塩分や水分を摂りすぎた次の日や、運動不足などで一時的にむくむことがありますが、猫に浮腫が見られた場合は、ほとんどが病気が原因で起きていると考えられます。

浮腫が見られた場合には、動物病院を受診し血液検査や尿検査、必要に応じて全身的な画像検査などを受けましょう。

また、日頃から猫の体に触れて体の状態をチェックしておくことが、むくみなどのわずかな変化に気がつくためにも大切です。


(獣医師監修:唐野智美)

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