ボクシング岡澤セオンいざパリ五輪へ、日本人9人目のメダル獲得の可能性は
東京五輪2回戦敗退も世界選手権で日本人初の金メダル
パリ五輪のボクシング競技は7月27日から8月10日まで行われる。注目は71キロ級に出場する岡澤セオン(28)だ。
ガーナ人の父と日本人の母の間に生まれ、小中学校ではレスリングをしていたが、日大山形高に進学してボクシング部に入部。中央大時代に国体準優勝などの実績を残し、2019年のアジア選手権ウェルター級で日本人としては36年ぶりとなる銀メダルを獲得した。
同年の世界選手権でベスト8入りし、全日本選手権を連覇するなどメダルの期待も膨らんだが、2021年の東京五輪では2回戦で金メダルを獲得したロニエル・イグレシアス(キューバ)に判定負け。奮起して臨んだ同年11月の世界選手権ウェルター級で日本人初の金メダルに輝いた。
アマチュア時代にロンドン五輪で金メダルに輝き、プロでも世界王者となった村田諒太でさえ、世界選手権では銀メダルが最高。同大会でバンタム級の坪井智也とともに優勝した岡澤は、アマチュアボクシング界で偉大な実績を残したと言える。
さらに2023年10月のアジア大会71キロ級で日本人29年ぶりとなる金メダルを獲得。同年5月の世界選手権を制したアスランベク・シンベルゲノフ(カザフスタン)に準決勝で判定勝ちした、価値ある優勝だった。
東京の雪辱期す「プロのアマチュアボクサー」
岡澤は身長179センチのサウスポー。フットワークを使って距離を取りながら、出入りの激しいボクシングで効果的な左右パンチを当てることに長けている。
東京五輪では男子フライ級の田中亮明が銅メダル、女子フェザー級の入江聖奈が金メダル、女子フライ級の並木月海が銅メダルとメダルラッシュに沸いた。2大会連続出場となる岡澤はパリに懸ける思いは人一倍だろう。
多くのスポーツでは一流選手になるほどアマチュアを経てプロになることが多いが、ボクシングはアマとプロでルールが異なることもあり、アマチュアを貫く選手も少なくない。
高山勝成のようにプロの世界王者がアマチュアに転向して東京五輪出場を目指したものの予選敗退した例もある。必ずしもプロがアマより強いわけではないのだ。
岡澤はスポンサーを集めて活動しており、「プロのアマチュアボクサー」を自認している。3分3ラウンドでは世界トップレベルに位置していることは間違いない。東京の雪辱をパリで果たすか注目だ。
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記事:SPAIA編集部