国内売上も「自己ベスト」を更新中 ミズノの株価が年初来高値を更新
スポーツ用品大手のミズノは11月7日、2026年3月期の中間期決算を発表した。売上高は1265億800万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は120億1100万円(同7.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は98億7600万円(同22.0%増)と、増収増益だった。国内外の幅広い事業領域で好調を維持しており、利益率も7.8%と前期比で1.0%増と改善している。ミズノの株価は決算発表の同日、前日比226円高の3,005円と大幅に上昇し、年初来高値を更新した。上昇率は8.13%だった。
国内市場では売上高が734億6800万円(同4.5%増)、営業利益は72億3300万円(同21.5%増)と、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。特に都市部での直営店戦略が功を奏している。ミズノは9月、東京・高輪の商業施設「ニュウマン高輪」に新店舗を開業したほか、都内で計4店舗を新規オープンし、ブランドの接点を広げている。ワークビジネス分野も拡大を強化しており、個人向け・法人向けともに販売が前期比で倍増し、スポーツ用品以外の領域でも業績をけん引した。
海外市場は、欧州では売上高が141億800万円(前年同期比14.3%増)と過去最高を記録したものの、営業利益は3億1500万円(同49.7%減)と半減した。米州の売上高は208億1500万円(同1.7%増)、営業利益は23億100万円(同0.2%増)と、いずれも同期間として過去最高を更新。アジア・オセアニア地域も181億1600万円(同9.7%増)と増収だった。ただし営業利益は21億1200万円(同7.7%減)と減益に転じている。
なかでも注目されるのが、中国市場だ。ミズノは2019年から中国事業をライセンス制に切り替え、販売権を現地企業に付与してロイヤリティ収入を得るビジネスモデルに転換した。この方式が奏功し、今回の中間期では売上高113億円(前年同期比22.8%増)と大幅な伸びを記録。店舗展開やブランド訴求を現地企業が主導することで、ミズノは利益率を維持しながら成長を確保している。
ミズノは2026年3月期の通期連結業績予想を据え置き、売上高2600億円(前期比8.2%増)、営業利益225億円(同8.3%増)、当期純利益165億円(同8.2%増)を見込む。上期時点で最終利益は計画比6割の進捗を示しており、業績の上振れも期待される。創業120年を迎える老舗メーカーが、直営戦略とグローバル展開を両輪に再成長期を迎えている。