11月8日は「いい歯の日」 75歳以上で歯を失う人多数 生涯、自分の歯で楽しむために今できること
厚生労働省の2024年の調査で、80歳で20本以上の自分の歯を保つ「8020運動」の達成者が61・5%と初めて6割を超えました。歯を守る人が増える一方で、75歳を過ぎると平均の残存歯数は20本を下回ります。生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように、使える歯を維持するために気を付けたいことを東広島市歯科医師会の早志太佑歯科医師(歯のクリニック東広島院長)に聞きました。(梶江)
自分の歯を守るための4つのポイント
①フッ素効果を最大限に生かす
8020達成率の上昇の背景には、正しい歯磨きはもちろん、フッ素の効果も大きいと考えられます。フッ素配合の歯みがき粉などが市販され、含まれるフッ素濃度も上がってきました。フッ素の効果を最大限に引き出すには、歯磨き後のすすぎを少量でするのがポイント。ペットボトルのキャップ1杯分程度の水で十分です。
②唾液の分泌を促す
唾液には、口の中の細菌を洗い流したり酸性を中和したりする働きがあり、虫歯を予防する効果があります。唾液の分泌が減ると口の中が乾く、ネバつく、口臭が強くなるなどの症状が出やすくなり、虫歯になるリスクを高めます。唾液腺マッサージやあいうべ体操(下図)を行い、唾液の分泌を促しましょう。唾液が減る原因は、薬や抗がん剤の副作用やシェーグレン症候群、口呼吸などがあります。気になる人は、歯科医院に相談を。
③口腔(こうくう)機能の低下に注意
高齢になっても元気でいるためには、口の健康が重要という認識が広がっています。滑舌が悪くなってきた、食べられないものが出てきた、食べこぼしが増えたといったことがあったら口腔機能が低下している「オーラルフレイル」のサイン。これを放っておくと、全身のフレイル(虚弱)になりやすく全身の衰えへとつながっていきます。
健康保険で「口腔機能低下症検査」を受けられるようになりました。口腔内の状態やかむ力、舌の運動機能などを総合的に測定し、必要な治療や口腔機能を鍛えるトレーニングをします。東広島市でも高齢者のオーラルフレイル対策に力を入れています。気になる症状があれば歯科医院に相談してください。早めの対策が、健康で豊かな食生活を守ります。
④かかりつけ歯科医を持つ
あなたの口の中の健康状態を継続的にみているかかりつけ歯科医なら、口の中の環境変化が単なる加齢によるものなのか、それとも病気によるものなのかを判断できます。
気軽に相談できるかかりつけ歯科医がいると、口の中の異変に気づき、対処することができます。結果的に歯の寿命を延ばすことにつながります。歯科医院に通院することが難しい場合、往診で治療を受けることもできます。
プレスネット編集部