自己肯定感ブームに疲れた親たち 「自信過剰な子ども」と「謙遜しすぎる親」…モヤモヤを大公開!
記事テーマは「子どもの自己肯定感×モヤモヤ」。自己肯定感が高い・低いがゆえの言動や親の発言にまつわるモヤモヤエピソードを紹介。「自己肯定感を高める子育てをすべき」という風潮に疲れたときの乗り越え方・気持ちの切り替え方も公開。
「我が子の自己肯定感」アンケート調査結果はこちら(画像4点)これまでの3記事で、「子どもの自己肯定感」についてさまざまな角度から考察してきました。
最後のテーマは「子どもの自己肯定感にまつわるモヤモヤ」がテーマです。「自己肯定感ブーム」とも言われる潮流の中で、パパママが実際に体験したエピソード、自己肯定感を育む育児に疲れたときの対処法をお伝えします。
写真:hika_chan/イメージマート
コクリコラボアンケート
「AnyMaMa(エニママ)」登録者およびコクリコメルマガ会員を対象に 2024年7月26日~8月8日インターネット上で実施。有効回答数は84件。
※基本的にアンケート回答の原文をそのまま記載しています。ただし文字数の都合上、一部抜粋や主旨を損なわない範囲の要約・編集を行っている箇所があります。(明らかな誤字等は修正のうえ記載)
「我が子の自己肯定感」にドキッとする瞬間
「自己肯定感が高い=よいこと」が一般的な認識だと思いますが、ときには高さがマイナスに出ることもあるようです。アンケートに寄せられたエピソードをご紹介します。
・お友達の中には自己肯定感が高すぎるのか、「私がやることはすべて正しい」という思いから無意識に周りを傷つけてしまう子もいます。そんな場合に少しモヤモヤを感じてしまいます。・自己肯定感=自己主張の強さとなり、そういった強い子が悪いわけではないが、周りと衝突しているのをよく見るため、自己肯定感ばかりではなく他人との関わり方を教えることも必要なのではと感じる。
まずは、自己肯定感が高いがゆえの弊害です。自分に自信があるのはよいことですが、周囲への配慮ができず友達を傷つけてしまったり、衝突したりすることがあるよう。「自己肯定感がやみくもに高いのも問題」というコメントが見られました。
・自己肯定感をはき違えて、悪いことをしても𠮟らない親の子がわがままで一緒にいるとモヤモヤする。・一人っ子のわがままを自己肯定感が高いと言って許しているところ。
親の態度を疑問に思う人も。自己肯定感が高いこととワガママは、ときに紙一重のようですね。冷静に子どもを客観視して注意すべきところは注意する態度も大切ということでしょう。
・子どものできないこと、容姿的なことを子ども本人の前で悪く言うママ友がいて、その言われている子どものメンタルが心配になる。・ご自身のお子さんがいる前で、うちの子は不出来で……と謙遜しながらほかの人に話しているところについ先日居合わせて、これは自己肯定感さげてしまうのでは? とモヤモヤしました。
逆に、我が子の前で自己肯定感を下げるような親の発言を指摘する回答も集まりました。
・子どもの振る舞い(人見知りや、大人に積極的に話しかける、などそれ自体が決して悪いことではない振る舞い)について、真横でその子の親が「すいません」「ごめんなさい」を繰り返しているのを見ると、子どもが「自分のしていることは、悪いこと」と思ってしまったりしないかな……と感じる。
この回答にドキッとするパパママも多いのでは。周囲への配慮で口にしていた言葉が、我が子の自己肯定感を傷つけていることもあるのかもしれません。
「子どもの自己肯定感を育む育児」への所感は十人十色
これまでご紹介したエピソードからもわかるように、子どもの自己肯定感についてモヤモヤした経験を持つパパママは意外と多いようです。
「自己肯定感を育む子育てをすべきだという風潮に『疲れた』と感じたことはありますか?」という質問への回答は、「ある」「どちらかといえばある」が37.9%、「どちらかといえばない」「ない」が43.7%という結果に。風潮への感じ方は、人それぞれのようです。
フリーコメントには、
・これからの時代は、自分の意見を自信を持って伝えられることが特に大切になってくると思うので、自己肯定感が高い(自分に自信がある)性格のほうがいいと考えています。・子どもに自信を持ってほしいから、まったく疲れない。
・自己肯定感があればいい! という部分だけがクローズアップされているが、日本国内にいる以上、周りと少しでも合わせる力も養わないといけないのになと感じることがあり、この風潮に辟易とするときもある。
・疲れたと感じたことはありませんが、自己肯定感を育むための「褒めて育てる」は難しいなと思います。なんでもかんでも褒めればよいというものではないと思うので。
このように、さまざまな意見が集まりました。
乗り越え方・気持ちの切り替え方
最後に、我が子の自己肯定感を育む育児に疲れや行き詰まりを感じたときの乗り越え方・気持ちの切り替え方についてみなさんに聞いてみました。
・あまりにも自己肯定感を意識した記事が多くて、たまに見ているだけで疲れるので、そういうときはスルーするようにしています。・子どもの個体差もあるので、十分な声かけをしていても自己肯定感が低い子もいます。情報に感情を左右されないようにしないと辛いです。
自己肯定感について飛び交う情報に振り回されないよう、意識してスルーするのも必要なのかもしれません。
・人は人! 私は私! うちはうち! の心。
自分は自分、我が子は我が子、と心の中で線を引くのも、パパ・ママ自身の心を守るために大切なことでしょう。
・自分が褒められて育っていないのもあり、怒らない主義のママの子どもたちが大声で騒いでいるのを見ると「いい加減注意しなよ」と思うことも多く、精神的に疲れる。なので、そういう方とは必要最低限のお付き合いにし、極力お迎えの時間がかぶらないように気を付けている。
本調査のアンケート結果からもわかるように、自己肯定感ひとつ取っても、さまざまな考え、意見があるものです。こちらのママは、付き合いを最低限にしているという体験談をシェアしてくれました。
ママ友の力を借りてみる
座談会ではTさんが、中学生の息子さんについてこんな話をしてくれました。
「我が子は『自己肯定感が高いね』とよく言われます。しかし、『自分は自分だ』という気持ちが育ちすぎたのか、きちんと自己主張ができる一方で、他人の痛みや弱い部分を許容できない一面がある気がしてモヤモヤしています。
たとえば、部活の練習に参加せずに遊んでいる子に対して『なぜしっかりやらないんだ』と言うのですが、大人から見るとそれぞれやむを得ない事情があるものだったりしますよね。
そういった事情を考慮しようとせず、自分の思いが絶対正しい、と考えがちなのが気になっています」
このエピソードに共感するパパママは多いのではないでしょうか。Tさんは対策として、ママ友から息子さんに事情を話してもらうことがあるのだそう。(友達のママの話は素直に聞いてくれるそうです。これも「子育てあるある」ですよね……)
ブームには適度な距離感をとりつつ子どもには適切な対応を
集まったエピソードからは、自己肯定感は高ければよいというものでもなく、とくにまだ社会性があまり身についていない子どもの場合は、過度な自己主張や自慢になって周囲を困惑させることがあるとわかりました。
一方で親が必要以上に謙遜しすぎることが、子どもの自己肯定感の低下につながるのではないかと、心配する声がありました。
子どもの自己肯定感を高める意識を持ちながら、同時に周囲への配慮についても教えなければならないパパママは本当に大変ですが、ご紹介した乗り越え方・気持ちの切り替え方を参考に、力を抜いて取り組んでいけたらよいですね。
コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。