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【社説】根拠も主体性もない説明では納得できぬ

赤穂民報

参加者から「やり直し」を求める声があった市民説明会

 「何のための説明会やったんでしょうか?」

 赤穂市が今月17日から市内各地区で始めた赤穂市民病院の経営改革に関する市民向け説明会の終了後、何人かの参加者が異口同音に話した感想だ。

 説明会では、「医療法人の経営ノウハウやスケールメリットなどを活用し、より安定した質の高い医療サービスの提供と効率的な運営」を目指すとの説明があったが、その具体策や数字の裏付けは示されていない。指定管理に移行すれば、あらゆる課題が解決して今よりも良くなりますと聞こえるが、それならなぜあれほど公設公営にこだわったのか。

 市民病院が設置した有識者会議は昨年7月の会合で「市の責任において経営形態の移行について検討する場を速やかに構築することが必要」と提言した。しかし、牟礼正稔市長は「移行について検討する考えはない」として従わなかった。決断が遅れた分、負債がかさんだ責任はないのか。

 指定管理者候補となった医療法人伯鳳会の古城資久理事長は市民病院の運営構想について、いち早く自身のブログで表明したほか、赤穂民報のインタビューにも応じるなど積極的に情報発信している。例えば、「初診時選定療養費の徴収をやめるために地域支援拠点病院を返上したい」「院内処方を再開したい」といった構想も語っている。

 一方、市は「まだ決まっていない。これから協議する」などと繰り返し、赤穂市としてはどうしたいのかが全く見えない。「何のための説明会なのか」との不満を持たれるのは当然だ。

 牟礼市長は、市民病院を民間譲渡せず公設民営とする理由として「赤穂市のコントロールが効くようにやっていきたい。民間に売り渡してしまうと物を申せない」としているが、市民の目には「丸投げ」「言いなり」になっているように見えているのではないか。そうではないと言うのなら、市の考えを堂々と市民に表明した上で交渉に臨んでほしい。

 説明会では、市民病院の経営改善が上手くいかなかった理由や経緯の詳しい説明を求める意見が毎回のように出ている。市民病院が2022年度に策定した経営改善計画では、▽地域包括ケア病棟の受け入れ強化・急性期医療の維持▽術前検査の徹底▽時限的な勤勉手当削減(5%、全職員)▽委託料の節減―などに取り組んで赤字を減らし、本館建設の借金返済が終わる2027年度までしのげれば経営が立ち直る、としていたはず。計画はどれほど実行できたのか、あるいはできなかったのか。人口減少や物価高騰、人件費の上昇、患者減といった通りいっぺんの説明で済ませず、市民にわかりやすく説明すべきだ。

 牟礼市長は「詳細が決まれば、改めて説明会を開きたい」と述べたが、詳細が決まるまで先送りする必要はない。これまでの経営改善の効果額や指定管理に移行するまでの残り1年半の計画など、今すぐ説明できるはずの情報は即時開示すべきだ。説明会以外にも広報紙やホームページを使うこともできる。

 市は説明会を開くにあたり、「市民の理解を得ることが最も重要で、市民に丁寧に説明を行います」とうたっていた。その言葉に偽りのないように誠意ある対応を望む。

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