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緻密なカスタムスキルとレーサーの機能性を高次元で融合させたフルスクラッチ。| 1946 H-D WL “METEOR”

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チーターカスタムサイクルズの大沢氏が2023年6月に開催されたカリフォルニアのボーンフリー14でベスト・フラットヘッドアワードを獲得した“METEOR”。KOSLOW同様クロモリ4130パイプを使用したワンオフフレームに、XRスタイルのWLエンジンを搭載するフルスクラッチだ。ここではその1946 H-D WL“METEOR”のディテールをたっぷりと紹介する。

ブロンズブレイジングを駆使し、レースバイクを想定して作り込んだカスタム。

チーターカスタムサイクルズの大沢氏がブロンズブレイジングの技法を初採用し、フレームから製作したフルスクラッチのフラットトラッカー。SUNBEAMの構造を参考にワンメイドしたガーダーフォークは前側にPeashooterモチーフの補強を装備。油圧ダンパー上部の支点の変更で固さを調整、ボトムのエキセントリックによってアクスル位置を7段階可変できるため、コースに合わせたトレールや減衰力の調整ができる機能美が魅力だ

チーターカスタムサイクルズ大沢氏が2023年6月に開催されたカリフォルニアのボーンフリー14にエントリーし、見事ベスト・フラットヘッドアワードを獲得した“METEOR”。KOSLOW同様クロモリ4130パイプを使用したワンオフフレームに、XRスタイルのWLエンジンを搭載するフルスクラッチである。

こちらは、大沢氏がブロンズブレイジングを初採用したカスタムであり、結果的にKOSLOWの今回のスタイルの技術的なヒントになった車両と言える。KOSLOWと並べられたHCS 2023でも海外ゲストのアワードを2つ獲得するなど、日米のカスタムショーで高い評価を獲得し、カスタムビルダーとしての高いスキルを証明した。

しかし、この“METEOR”に関しては、自身のフラットトラックレース用の車両として製作した側面も持ち合わせるだけに、その作り込みはデザイン重視のモディファイに尽きるのではなく、レースを想定したディテールワークであることに着目したい。

最大の見所はやはりフレームやフォークのパイプ接合に見られるブロンズブレイジング。大沢氏は“METEOR”以前にも、2017年、2018年にクロモリ4130パイプを用いたフルスクラッチでボーンフリーにエントリーしているが、過去二作はどちらもラグのろう付けによってクロモリを接合して骨格を製作。そして、5年間かけて習得したブロンズブレイジングを駆使して製作した“METEOR”は、さらなる軽量化と特徴的なアピアランスを生み出すことに成功した。

ワンオフライザーは無電解ニッケルメッキコーティングを施し、ボルトやナットを含むクロモリ製のパーツは全てクリアで仕上げられる
ブロンズブレイジングのループネックは、ロウ付けの面積を大きくして強度を高める機能性とデザイン製を両立

さらに、1ピースのアルミ外装に象徴されるメタルワークスキルの高さ、フラットトラックでの機能を追求したフォークやアクスルの構造など、“緻密なカスタムスキル”と“レーサーの機能性”を融合させ、大沢氏のアイデンティティを色濃く映し出す1台として仕上げられたというわけだ。

伝統技術を駆使して、カスタムビルドの新たなステージを切り開くフルスクラッチ、“METEOR”にもKOSLOW同様、温故知新のスピリッツが遺憾無く発揮されている。“METEOR”が日本に戻ってきてからは、まだ走行は控えているが、レースバイクを想定して隅々まで作り込んだカスタムだけに、フラットトラックコースで真のポテンシャルを発揮する姿が楽しみな1台だ。

リアセクションが3ボーンで設計されたリアアクスルは、ソニックウェルドフレームからインスパイアされたフラットトラック仕様。ボルト5点のプレート穴位置の変更と、エングレイビングが施されたブロックを裏返すことで18㎜刻み6段階の高さ調節が可能。さらにリアはスプロケ交換がしやすいクイックチェンジハブを採用
クロモリ4130パイプをブロンズブレイジングで接合したワンオフフレームは、ダブルクレードルだが、純正フレームと比べて約9㎏の軽量化に成功
ガスタンクはインナータンク仕様で、アルミのシートメタルからハンドメイドで製作した1ピースの外装はエンジンターンを施し、ブラック&ゴールドのペイント&ピンストライプでフィニッシュ
’46年WLをベースに、シリンダーヘッドのポート加工によって前後独立のレクトロン・デュアルキャブレター、XRスタイルのクロスフローを実現し、KRカムをインストール。フラットトラックの愛機として製作したレースバイクだけに、トラディショナルなホップアップが施される
フレームから製作したフルスクラッチだが、全てのディテールは見た目だけの飾りではなく機能美を兼ね備える。ビルダー自身が熱中するフラットトラックレースを走るための意匠が隅々まで落とし込まれているのだ

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