空き家再生利活用で価値創造 横須賀 長井 すべてDIY 素人の強み 一棟貸しゲストハウス開設
横須賀市長井で築38年の別荘を改修した1棟貸しのゲストハウスを近くオープンする。
オーナーは3年前に会社員から宿泊所経営に転身した佐野貴昭さん(久里浜在住)。長浜海岸まで歩いて1〜2分、家の裏に広がる一面のキャベツ畑の圧巻の風景に一目ぼれして物件の購入を決めた。
2階建て4LDKの元別荘は、海で遊んで、そのままシャワー室に直行できるよう、屋内を土足で歩ける土間スペースを設けているなど個性的なつくり。釣りやマリンスポーツを楽しみたいファミリー、大学生の合宿利用などが見込めそうだが、佐野さんはこのエリアを訪れる観光客のニーズの変化を感じている。
目的は特になし──。その日の気分で行動する「ノープラン旅行」が最近のトレンドだと言う。
新型コロナの蔓延期に意を決し、同市荻野に1棟目のゲストハウスを開設した。他者との接触を避けたい人たちのニーズに合致してフル稼働。日常が戻ってからも「何もしない過ごし方」を求める人たちの利用が途切れなかった。当初は周辺のレジャー施設やおすすめスポットを積極的に案内していたが、必要ないことに気付き、「スケジュールを決めすぎない、余白の時間を楽しむ」のコンセプトが固まった。
家屋の改修のほとんどは佐野さんと妻のあん奈さんによるDIYだ。建築の知識も経験もなかったが、ユーチューブ動画を手本に水回り・電気・空調・フローリングの張替えを行った。庭をぐるりと囲む竹垣の目隠しは、知人の協力を得て竹林から竹を100本以上伐採して運び込んだ。
工事単価の上昇や職人不足が深刻化している昨今、「『全部自分でやる』はひとつの解決策」と佐野さん。空き家を活用して、宿泊施設を一からつくる。それを運営していくノウハウや手法を伝えるビジネスアイデアも温めている。プロが躊躇するような物件も既成概念に縛られずに手を出せるのは、「素人の強み」。何でも挑戦するDIY精神で挑んでいく。