伊勢原で初のコンサート 脳性まひと闘う式町水晶さん 和とのコラボで観客魅了
大滝荘たけだ旅館(大山)で4月24日、脳性まひと闘いながらポップヴァイオリニストとして活躍する式町水晶さんによる「ヴァイオリンコンサート&トーク」が開催され、軽妙なトークと演奏で60人以上の来場者を魅了した。
この企画は、1月に開催された伊勢原市商工会女性部新春講演会に登壇した式町さんの演奏や講演に感銘を受けた上林輝美さんと根岸幸子さんらが主催し、伊勢原市内で初開催された。
式町さんは北海道出身。3歳で小脳低形成と診断され、15歳まで車イスでの生活を余儀なくされた。4歳からリハビリを兼ねたヴァイオリンを始めると5歳から慰問演奏を始め、医療刑務所などにも赴いたという。小学校時代に障がいを理由にいじめを受けたという式町さんは、自身のハンディを乗り越え、ヴァイオリニストとして活躍するまでの経験、影響を受けた映画やアニメ、スポーツ、母親や祖父母らが温かく見守ってくれたことなどについて語った。
2018年にメジャーデビューを果たし、「障がい者と健常者の垣根を超え、より多くの人々に夢や希望を贈りたい」との思いから各地で精力的に演奏活動を展開。21年の東京パラリンピック閉会式、23年には京都で開催された世界平和奉納演奏なども行った。
また、式町さんは東日本大震災の津波に耐えた陸前高田奇跡の一本松と被災地に残された瓦礫や家具を再利用して作られた「津波ヴァイオリン」を所持し、演奏活動を行っている。
この日は「見上げてごらん夜の星を」「ロッキーのテーマ」やオリジナルの「孤独の戦士」、特別企画として日本舞踊の葉月流二代目家元の雛丸さんと初となる和とのコラボレーションで「メイオウ」を披露、会場から惜しみない拍手が送られた。
式町さんは「大山で演奏できたことは自分にも楽器にとっても本当に幸せなこと」と語り、「皆さんの温かい、優しいエネルギーでヴァイオリンもますます元気になったと思います。初めての和とのコラボ最高でした」と満面の笑みを浮かべて語った。