【前編】贅沢にもほどがある!勝浦「万清楼」で旅館史上最高プランを体験
突然だが、あなたは「生」のマグロの旨さを知っているだろうか。実は日本に流通するマグロのほとんどが冷凍で、一度も冷凍されずに届く「生マグロ」はわずか1割程度だという。一般的に冷凍マグロはドリップが出て旨みが逃げてしまうと言われるが、生マグロは身がモッチモチで独特な酸味も匂いも皆無。そんな生マグロの水揚げ日本一を誇る街が、和歌山県の南端にある。那智勝浦だ。
駅としては「JR紀伊勝浦」。南紀勝浦温泉も有名だ。
万清楼からすぐの「勝浦漁港にぎわい市場」では、水揚げされたばかりのマグロを浜値で販売。食堂もある。
そんなマグロの街・勝浦で、「これ以上ないほど豪華な料理プランをスタートした」という噂を聞きつけ、ある料理旅館へやって来た。
南紀勝浦温泉の中心部にある「万清楼」だ。実はこの宿、勝浦きっての巨大リゾート「ホテル浦島」の姉妹館であり、特に料理に力を入れた“美食の宿”として人気。2024年9月にロビー、大浴場、食事処をリニューアル工事の実施し、より一層料理のグレードを高めた超ラグジュアリープランを打ち出した。
ロビーもリニューアルし、ソファを張り替えるなどイメージを一新。
そのプランとは、「伊勢海老や鮑、熊野牛など豪華食材をふんだんに使った熊野の至宝会席プラン」。部屋も、新しくベッドタイプを取り入れた57.67㎡の「和洋室」を用意。
和室とベッドを合わせた和洋室は2室設けた。
こちらは通常の和室。
海側の部屋からは漁港を目の前に望む。
館内に温泉があり、こぢんまりした露天風呂でくつろげる。
対岸の半島にある「ホテル浦島」の名物洞窟風呂も利用可能!
食事前には、「ホテル浦島」の洞窟風呂を満喫し、売店を兼ねたコンビニ(ローソン)で寝酒などを買い込んでおくことをオススメする。可愛いらしい船で5分程度で行き来でき、15分おきぐらいにピストン運航しているので便利だ。
献立を文字にしてみると圧巻である。
万清楼が誇る春の献立
伊勢海老炙り寿司、鯛の子玉締め、胡麻豆腐、菜の花白和え、鮪湯引き
勝浦産生鮪、本日の造里、炙り鮪、鮑、子持ちこんにゃく、あしらい一式
伊勢海老
鯨造り
鮑 陶板焼き バターレモン
鮪ステーキ 野菜
熊野牛ハリハリ鍋野菜玉子
野菜玉子
桜蒸しうめ鶏
うすい餡
蓮根のソテー アスパラパプリカ法蓮草ソース
揚物 伊勢海老天ぷら 鮪カツ 鯛白子 アスパラ
漬物三種
そば米 雑炊
杏仁豆腐
料理は季節(3~4カ月)ごとに変わり、今回紹介するのは春の献立。驚いたのが、「リピーターの方も多いので、前と同じ料理をお出ししないように、お客様によって食材などを変える場合もあります」とのこと。大きな旅館でこの細やかな気遣いはなかなかできない。30室という小規模旅館だからこそ一組一組のゲストに気を配れるのだろう。
和田さん(右)はシャイなので、30年選手のベテランメイド長である﨑直美さんが随所でフォローをしてくれた。
料理長の和田茂さんは、和食一筋で20年ほど経験を積んだ腕利きの料理人。食に定評がある「熊野別邸 中の島」でも腕を振るっていた実力派だ。モットーは「熊野の食材を活かす」こと。「勝浦が誇る生マグロや、海の恵み、地元の生産者が育てた野菜をふんだんに使い、ここでしか味わえない最高の食を楽しんでほしい」と語る。
前編はここまで。
後編は万清楼の会席料理を実食し、レポートする。