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今時珍しい? 中学生からサッカーを始めた子たちに最初はどう教えればいいか、おすすめのメニューを教えて

サカイク

中学からサッカー始めた子たちもいて、レベル差があるチームをどう指導したらいい? というお父さんコーチからのご相談。

最近は未就学児から始める子も少なくないので、希少なケースかもしれませんが、サッカーを始めるのに年齢は関係ありません。

ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、サッカーの理解度を促進するおすすめのメニューを紹介します。
(構成・文 島沢優子)

 

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

 

<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。指導しているのは地方の中学校の部活です。人数は20名弱います。

サッカーなどのメジャー競技だと、小学生年代からやっている経験者が多いと思いますが、私が指導を依頼されている学校では、中学から始める子もいます。

そのため、レベル差が激しいのです。

ゲームをするのですが経験者とそうでない人の差があり、経験者がボールをずっと触っていたりそれでない人がお団子サッカーになっちゃったりします。

その子たちは、アップでさせている練習メニューの以前でパスもあまり上手くなく、どうすれば良いでしょうか。というのが悩みです。

中学から始めた選手たちを伸ばす、良い方法はありますか?

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

今回は中学生を指導している方からご相談ですが、初心者であればサッカーの入り口であることは小学生と同様です。

いつもこちらの連載でお話しているように、まずは「サッカーとはどんなスポーツか?」みたいなことから入ってください。

 

■場面に応じて「どこにいればいいか」「どこに行くとチャンスになるか」を教えよう

例えば、みんなで協力してそれぞれの役割を担いながら、ゴールを目指すスポーツです。それぞれの役割とは「ポジション」です。

場面に応じて、誰がどこにいてくれたらいいかとか、どういう場所に行くとチャンスができるかといったことを教えましょう。

小学生よりは言葉の理解がしやすいので、ホワイトボードで説明したり、映像を見せたりすることも効果的でしょう。

そのとき「チャンスは1人だけでは作れない」ことを強調して、みんなで攻めて、みんなで守るのがサッカーだと説明してください。

 

■練習では「オープンスキル」に時間を割こう どんどんミニゲームをすること

実際の練習は、ミニゲームをどんどんすることを心がけてください。ひとりでコーンドリブルをしたり、対面パスを繰り返すといった対面ではない「クローズドスキル」よりも、対面する相手がいる「オープンスキル」の練習に時間を割きましょう。それにはゲームが一番です。

ゲームをしていけば、パスをすることを覚えるし、ボールばかりに近寄らないようになっていきます。非常にサッカーらしくなります。選手個々も、パスが何回も来るので、そのプレーヤーがボールを扱う回数が増えます。

私は大学でフットサルの授業を持っているので、学生の反応をいつも観察しています。

多くの学生がまったくサッカーをしたことがありません。その学生たちに、攻撃するときはどんなところに行ったほうがいいといったレクチャーを最初にやっていくと非常に有効です。

授業の初期のころは、多くを占める初心者の学生がどこに行っていいかわからないため、サッカーやフットサル経験者たちが、ドリブルするなどしてやりたいようにやっています。

ところが、初心者の学生たちがサッカーのなりたちを理解し始め、ポジションごとについていけるようになると、サッカー経験者たちは自分たちのやりたいようにはだんだんできなります。試合をすると、初心者チームが経験者チームに勝ったりする。そんな現象が私の授業では起きています。

その点から、中学生の初心者たちがボールを蹴れない、足元をうまく使えないからと言って、足元の止める蹴るといった練習ばかりに時間を割かないようにしましょう。そうしてしまうと、試合をしたときに、どこに動いていいかわからないため、結局は団子のまま終わってしまいます。

その状態が続かないよう、できるだけ早く、どんな位置にいたらいいか、どういう練習をしてあげるかを考えましょう。

 

■サッカーの理解促進にも3対3の「フニーニョ」という練習がおすすめ

一番の入り口としては、フニーニョという3対3の練習をやってください。

(※フニーニョとはどんな練習なのか、関連記事1番上の記事よりご確認ください)

例えば、サッカー経験者やうまい子が真ん中にいて、両端や片側にいる初心者を指導してあげたら、初心者の彼らは「なるほどこんなとこにいればいいのか」とか、「こんなパスが来るとシュートが打てるのか」というようなことを理解し始めます。

3対3は人数が少ないぶん、試合以上にボールに触る回数が増えるので、間違いなくうまくなります。

実際に私が見ている中学校のサッカー部では、1年生にフニーニョをずっとやってもらいました。それを続けたあと、あるときから3年生たちも混じってやろうとなってやってみたら、1年生のほうがスムーズに攻められる。

うまくパスを出して、点をどんどん取っちゃうわけです。つまり1年生が3年生に勝ってしまうようなことが起きました。自分たちもそのことに気づいて「なんか俺たちうまくなったよな」と嬉しそうでした。

1年生が3年生に勝ってしまうということは、3年生のほうがサッカーの理解が足らなかったということです。1年生のほうが足元はうまくないのに勝ってしまうのです。

また、小学生が団子になっているときは2対1をやってもらいますが、中学生もそういう練習をやってください。数的優位の状態なのでサッカーが理解しやすいともいえます。 

 

 

■サッカー経験者であっても指導の勉強をすることは必要

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

ご相談者様は中学の部活を指導しているようですが、外部指導員でしょうか。私が勤務する大学では「部活動指導認定プログラム」を実施しています。

プログラムの最後になる対面授業で、私は指導実践を担当しています。その指導実践で、サッカー経験者の方が、やはり練習を対面パスから入っていました。最後にゲームをする時間がかなり少なかったようです。

サッカー経験者であっても、指導するうえで勉強は必要です。ご自分たちの経験則だけで指導するのではなく、ご相談者様のようにさまざまなコンテンツから学びを求めてほしいものです。

 

池上 正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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