小田原市 「もせる」、その意味する所は ごみ分別の表記調べ
小田原市内のごみ集積所で見かける「もせるごみ」と書かれた看板。この表記となっている背景には、ごみの分別意識を高めてほしいという市側の意図が込められていた。
燃やして処分するごみの表記は、県内でも「燃やすごみ」「燃えるごみ」「可燃ごみ」などバラつきがある。「もせるごみ」は小田原市のほかに、箱根町と横須賀市、三浦市のみで、「燃やす」の意味で関東地域を中心に使われる「もす」ということば(『現代日本語方言大辞典』)が、可能の意味で「もせる」(『大辞林』)となり使われ定着していると思われる。
小田原市では1997年、ごみを減らしリサイクル率を高めるためにごみの分別を改めた。それまで主に燃えるか燃えないかで区別していたが、リサイクルを進めるため、燃やさず回収したいプラスチック容器などの資源は分けて出してもらおうと周知を進めた。市の担当者によるとこのとき、ごみを出す人に従来の区別から認識を改めてもらおうと新しく「もせるごみ」の分類ができたという。リサイクルはできないが燃やして処分はできるという、やや消極的なニュアンスが込められているようだ。
足柄下郡では、箱根町は小田原市に合わせて「燃せるごみ」の表記が、湯河原町と真鶴町はプラスチック類も燃えるごみとして焼却処分しており「可燃ごみ」の表記が使われている。
全国の多様な表記
少しでも分別に対して意識的になってほしいという思いは、全国各地で様々な表記を生んでいる。より明確な意図が伝わるようにと、福岡県柳川市と京都府亀岡市では「燃やすしかないごみ」が、徳島県徳島市では「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」が使われている。
毎年5月30日は「ごみゼロの日」で、6月5日(環境の日)までの期間は、「ごみ減量・リサイクル推進週間」として、全国で正しいごみの出し方を啓発する運動が行われている。自治体によりごみ処分のフロー体制は異なり、プラマークのないプラスチック製品を燃やすか燃やさないかなど分別方法も様々だ。正しく理解しているか、この機会に表記にも着目しながら見直してみると面白いかもしれない。