奄美大島でハブ食べてたら亡き祖母を思い出した話
爬虫類好きの身として、ハブが普通に生息している沖縄や奄美には非常にロマンを感じる。子供のころ『奄美観光ハブセンター』で観たハブvsマングースのショーは今も脳裏に焼き付いて離れない。いや、もちろん島民の皆さんは大変だと思うけれどもね。
現在は生息数が激減しているらしい奄美大島のハブ。でも島内には、少ないながらもハブ料理を食べさせる店があるらしい。爬虫類は愛でるもヨシ、食べてもヨシよね! ってことでハブを食べに行ってみた!
・ハブが食べたくて
なお以前の記事でお伝えしたが、私は香港のヘビ料理専門店『蛇王兄』でヘビのフルコースを堪能したことがある。
このとき食べたヘビ肉は鶏セセリ肉のようなビジュアルで非常に歯ごたえがあり、なんともいえないオツな味。いかにも精力やら筋力やらがつきそうな感じであった。ハブに毒がある件については若干気になるが……まぁ、自分で捌くワケじゃないので大丈夫だろう。
今回訪れたのは「鹿児島2位の繁華街」として知られる屋仁川(やにがわ)通り。どのポイントをもってして2位なのかは不明。ただ島民の数と比例して飲食店の数がすごい。ここ目当てで奄美を訪れる観光客、多いんだろうなぁ。
・レア食材である
そんな屋仁川エリアには、ハブ料理を食べさせる店が数軒ある。もっと多くの店で提供されているのかと思いきや、ちゃんと下調べしないと辿り着けないから注意だ。この日訪れた店では『ハブの唐揚げ』がメニューにあった。値段は1皿2000円。
この量で2000円とは、なかなか高級品であるな。
この頭部っぽく見えた部位、よく見ると “カラッと上がった胸部” だった。事前情報がなければ、たぶん私はこれを魚だと思っただろう。ヘビはニュルニュル動く生物なので、これほど太い骨があるとは予想していなかった。香港で食べたヘビ、ああ見えてバッチリ下処理がされていたんだなぁ。
で、肝心の味はというと……
まごうことなき唐揚げであった。
・ハブらしさとは
いや、おいしいですよ。もちろんおいしい……のだが、いかんせん身の部分が少なすぎて “ハブそのものの味” を説明するのが非常にムズい感じ。私の語彙ストックでは「唐揚げっておいしいよね」としかお伝えしようがないのである。
とはいえ “歯ごたえ・弾力” といった部分は、すごくハブっぽかった。「何があっても絶対に骨から離れるつもりはない」という強い意思が感じられた。骨にへばりついたただでさえ少ない身を、こそげ落とすように歯で食いちぎる……それがハブの唐揚げを食うということ。
この骨を煮込んだら、けっこういいダシが取れるんじゃないだろうか? ともかく珍しい体験ではあるので、奄美を訪れたら食べてみてほしい。
それはそうと、ハブの唐揚げと格闘しながら私は亡き祖母を思い出していた。祖母は一部親族から “スッポンみたいなばあさん” と呼ばれており、それは彼女の「食らい付いたら絶対に離れないというスッポンにも似た、しつこい性格」を表現していた(悪口ではないです)のだが……
このハブの身も、いかにも絡み付いたら離れなさそうな、ハブのイメージをそのまま具現化したかのようである。名は体を表す……もとい、ビジュが食感を表していたハブの唐揚げ。まさか奄美でハブ食いながら祖母を思い出して泣きそうになるとは思わなかったなぁ。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.