フィルムカメラ入門ガイド2025。フィルムカメラは高いが、それ以上の価値がある
どれだけデジタルで頑張っても、“あの空気感”はフィルムじゃないと出せない。光がフィルムにじんわり焼きついて、色がにじむように出る。一枚の写真から、音や匂いまでよみがえってくる感じ。フィルムって、そういう「記憶に近い表現」ができるんです。ちょっと高い。ちょっと不便。だけど、それ以上に楽しい。この記事では、はじめてフィルムカメラに挑戦する方に向けて、選び方や使い方のポイントをやさしく解説してみたいと思います!
まず最初に。フィルムは“体験代”だと思ってみて
フィルムって、1本撮るのにだいたい2000〜3000円くらいかかります(フィルム+現像+スキャン代含めて)。デジタルみたいに「とにかくいっぱい撮る!」って使い方は向いていません。でもその分、「1枚ずつ、ちゃんと撮る」っていう気持ちが自然と生まれるんです。
おすすめは、月に1本だけ撮る、という“マイルール”を作ること。月額の体験費ととらえると、そんなに高い金額ではありません。それだけで、フィルム生活がグッと心地よくなります。
初心者におすすめのフィルム。KodakとFUJIFILM、どっちがいい?
フィルムにも、いろいろな個性があります。初心者におすすめなのは、まずは“素直な色”が出るフィルム。
Kodak PORTA 400
→ 肌がきれいに写って、やわらかくてあたたかい色味。ポートレートや日常スナップにぴったり。
Kodak ULTRAMAX 400
→ 少しリーズナブル。明るくて元気な色合い。はじめての1本にもおすすめ。
FUJIFILMのフィルム(業務用100やC200など)
→ 緑や青がパキッと鮮やか。クールな色味が好きな人に向いています。
CineStillとか、Lomography系の個性派フィルムもあるけど、最初は「普通にきれいに写る」ほうが楽しめます。クセ強フィルムは、2本目・3本目以降の楽しみに。
カメラ選びは「ピント合わせ」と「露出操作」がポイント
フィルムカメラにはたくさん種類があるけれど、選ぶときは「どれくらい自分で操作したいか?」が大きな分かれ道です。
(1)ピントまでオート(全自動カメラ)
ピントも明るさ(露出)もカメラが全部やってくれるタイプ。まさに“写ルンです”みたいな手軽さで、とにかく簡単。ほぼ失敗なく撮れるけど、背景ボケとかの調整はしにくいのが難点。でも「とにかく続けたい」「難しい操作は苦手」って人には最高のスタート機。
おすすめ機種:
FUJIFILM KLASSE
OLYMPUS mju-ii
Konica BiG mini
Nikon 35Ti
Canon Autoboyシリーズ
Canon EOS 1V(一眼レフだけどフルオート)
Pentax MZ-3
MINOLTA α-7
(2)ピントは手動、露出はオート(半自動カメラ)
ピントは自分で合わせて、明るさはカメラが調整してくれるタイプ。撮ってる感じが出てきて、「写真をしてる!」って感覚が湧いてきます。撮る感覚が気持ちいいのに、そこまで難しくない。私もこのタイプを愛用しています。特にCanon AE-1 Programはレンズも含めコスパが良くておすすめです!
おすすめ機種:
Canon AE-1 Program
Nikon FE2
OLYMPUS OM-2
MINOLTA X-700
Pentax ME Super
CONTAX Aria
CONTAX G1 / G2(オートフォーカスのレンジファインダー)
(3)フルマニュアル(完全手動カメラ)
ピントも明るさも、ぜーんぶ自分で調整。慣れるまではちょっと大変。でもハマると、もう抜け出せません。フィルム写真を“道具として味わいたい人”に。「撮るってこういうことか〜」って、しみじみ楽しくなってきます。
おすすめ機種:
Rollei 35
Leica M3 / M6
Nikon FM2
PENTAX SPOTMATIC
HASSELBLAD 500C/M
Rolleiflex(二眼レフ)
Canon P(レンジファインダー)
Zorki 4(ロシアのクラシックカメラ)
安いカメラでも大丈夫。それよりも“現像するお店”にこだわろう
正直なところ、フィルムはカメラやレンズよりも、お店選びが重要だなと思っています。初心者さんが意外と迷うのが、「どこでカメラを買って、どこで現像するか?」問題。同じフィルムを使っても、お店によって仕上がりの雰囲気がぜんぜん違うんです。私のおすすめはこの2店舗さん。
・『フォトカノン』さん(東京・戸越銀座)
やさしくて丁寧な仕上がり。お任せにしても色や仕上がりがとにかくきれい! はじめての人にも親切。
・『山本写真機店』さん(大阪・中崎町)
懐かしさを感じる町の写真屋さん。ブルーがきれいな印象。仕上がりの安心感がすごいです!
最後に。フィルムの写真は「不便」だから、いい。
1枚撮るのに迷って、「これで合ってるかな……」って思いながらシャッターを切って、現像があがるまで数日ドキドキして。それでも、「あっ、この感じ!」って思える1枚があったとき、なんとも言えないうれしさがあるんです。
それはたぶん、“自分の感覚”で撮った写真だから。
フィルムって高い。だけど、それは「写真を楽しむための時間」を買ってるようなもの。デジタルにはない、不便だけど愛おしい時間が、ここにはあります。
camellでは、フィルムに挑戦する人を応援しています。また、camelltownに参加するとフィルムカメラのことや現像の相談なども、メンバー同士で気軽に交流しながら楽しんでいます。ぜひ、興味があればご参加くださいね!
取材・文・撮影=camell編集部
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