1人分、2人分にちょうどいい!食材の“ミニ化”が進む理由
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昨日は急に冷え込んで、関東でも雪が降ったところも。となると、恋しくなるのがお鍋。白菜やキャベツ、きのこなど、旬の食材が食卓に並ぶ機会も増えています。
一方で、「買ったはいいものの、余らせてしまう」という人も多いのでは?そうした中、食材を無駄なく使えるように工夫された商品が広がっています。
「おひとり用」えのきが売れている
まずは、宮崎県のエノキダケ生産加工会社「加藤えのき」の取り組みについて、代表の加藤 修一郎さんに伺いました。
「加藤えのき」代表 加藤 修一郎さん
通常のお店に売ってるものは200グラムとか300グラムが多い規格になってるんですね。それを我々の会社は100グラムとか50グラム、できるだけ少量っていうことを結構取り組んでいってる。
なかなか一家族で5人も6人もみんなで鍋を食べるっていう文化じゃなくなってきてると思ってるんですね。そうなると、小さいものをいろんな野菜を食べたいっていう思考になってくるんだろうなと思って、エノキ何グラムって、1人で200グラム、300グラムで結構食べきれないので、食べきりサイズみたいな形のニーズが増えてきたのかなと思ってます。
私今ね、子供ももう大学生となって、家にいないんで、やっぱり本当大きいのはあまり買わなくなってきてるっていう感じですね。
一般的にスーパーで販売される標準サイズが200グラムとされる中で、2人用の100グラム、おひとり向けの50グラム、さらには40グラムと、より小さなサイズも展開しています。
核家族化が進み、一人暮らしの世帯も増える中で、「一度で使い切れず、余らせてしまう」という声が多く、これに応える形でサイズの選択肢が広がっているようです。
ただ、1キロのエノキダケを収穫し、それを手作業で小分けするため、株分けの手間が増え、人手や作業スペースが必要になることで、価格は標準サイズより高くなるものの、「無駄なく使い切れるほうがいい」というニーズが強く、販売は好調ということでした。
「ちょうどいいサイズの野菜」が注目
たしかに余らせるよりいいなと思いますが、こうしてキノコのように既存のサイズを変えるだけでなく、そもそもの形や育て方を見直す動きも出てきています。「オイシックス・ラ・大地 株式会社」のバイヤー、佐藤 由梨さんに伺いました。
オイシックス・ラ・大地 株式会社 バイヤー 佐藤 由梨さん
弊社オイシックスでは、「ミニタイプ」の野菜を強く今売り出しをしていまして、従来、大型野菜と言われていた白菜、キャベツ、大根などの一つ、1キロや2キロになるような大型野菜と言われていたものを、「ミニ化」するという流れをしています。
種から新しく開発をさせていただいたりとか、植え方を変えたりということで、小さく作って食べきれるようなミニ野菜にしているということをやっています。
今まで両手でずっしり抱えていた白菜が、片手で持ち運べて、まな板の上にも簡単に収まるぐらいのサイズになっています。
ご家庭内で必ずしも使い切れなかったりですとか半分切って半分ラップをかけて、冷蔵庫に置いておいたりっていうことはすごくお客様の声としてもありましたし、「半分あったのに、私またでっかい1玉買ってきちゃった」みたいなことがなくなりました。
一般的なキャベツは1玉1~2キロほどの大きさですが、これを4分の1サイズ(およそ500グラム)にしました。
<オイシックスのミニ野菜。「あめ玉キャベツ」は片手で持てるぐらいの大きさです。茎まで柔らかく、火の通りが良いとか>
<左から、ミニネギ、ミニ大根、ミニロメインレタス、あめ玉キャベツ>
このミニ野菜、価格は1つ300円~400円。昨年末からオイシックスの通販で販売を始めたところ、予想以上の反響!今の野菜の高騰を考えると、むしろ割安なぐらいですが、通常価格と比べると2~3割ほど割高。それでも「買いたい!」というお客さんの声が増えているんです。
ちょうど家族3~4人で回鍋肉1回分、お鍋に丸ごと1玉入れて使い切れるサイズです。「丸ごと1玉は多すぎる」「でも半分カットの野菜は鮮度が落ちやすい」、そんな消費者の声に応える形で、タネから品種改良し、小型化したということでした。
小さくして収穫効率アップ
そして、こうした野菜の小型化は、農家にとってもメリットがあるようです。
オイシックス・ラ・大地 株式会社 バイヤー 佐藤 由梨さん
畑の1枚の面積に入る、例えば白菜なりキャベツが従来100個だったとするところが、およそ3倍ぐらい入りますので、300個ぐらいほど種を植えることができるんですね。なので、単純に言えば3倍、農家さんの手取りとしては上がっていく形になります。
さらに例えば白菜でいいますと、2ヶ月から遅いものでも4ヶ月ぐらいで種を蒔いてから収穫ということになるんですけれど、ミニ白菜だと45日から収穫できるものもありますので、そこで大体半月ぐらい早い。なので、長いもので4ヶ月かかっていたものが、2ヶ月ぐらいで収穫できるということなので、およそ半分の期間だけになるので、次のものを植えてもいいですし、その間に台風のリスクとかが避けられるということもあり得るので、生産者さんにとってもすごくありがたいことなんじゃないかなと思います。
近年、猛暑や台風の影響で、野菜の生育が難しくなるケースが増えています。しかしミニ野菜は生育期間が短いため、天候不順のリスクを抑えやすいのが特徴です。そのため、こうしたミニ野菜を栽培する契約農家も全国でおよそ50軒にまで増えてきています。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)