<ワガママ妊婦の主張>妊娠6ヶ月の娘に一大事!「手をあげられた」ってホントなの?【まんが】
私たち夫婦は60代。孫が生まれ、名実ともに「おじいちゃんおばあちゃん」になりました。ひとり娘のカオリはすでに結婚して近くに住んでおり、ときどき孫のメイちゃんを連れて遊びに来てくれます。旦那さんのユウイチ君もとても優しい人ですし、最近第2子も妊娠したそうです。カオリたちはもちろんのこと、私たちも幸せでいっぱい。カオリにはぜひ、体に気を付けて日々を過ごしてもらいたいものです。
夫と「夕飯はどうしようか」「何食べたい?」と話していると、そんな穏やかな空気を壊すかのように、玄関のドアが乱暴に開けられる音がしました。玄関に行ってみると娘のカオリが立っています。なにやらとても怒っています。
カオリは今、妊娠6ヶ月。つい最近安定期に入って安心していたというのに転んだなんて……。 私は慌てて用意をして、カオリを病院に連れて行きました。ハラハラしてしまいましたが、お医者さんの「問題ないですね」にひと安心。会計が済んで車内に戻ると、私は安堵のため息をつきました。帰りの車内でカオリに話を聞くも、なかなか要領を得ません。家に着くと、ユウイチ君が家のまえに立っていました。
「ユウイチのせいで転んだ!」と怒りの表情でわが家に飛び込んできたカオリ。 妊娠6ヶ月ということもあり大慌てでしたが、病院で「問題なし」と言われてホッとしました。 それなのに家に帰ったら心配した顔のユウイチ君がいて、これまたびっくり。どうやらカオリの身を案じてわが家まで来てくれたようです。 相変わらず激昂するカオリと、申し訳なさそうなユウイチ君。 私はカオリの親でありながらも、改めて「本当にユウイチ君が手をあげたの?」と疑いたくなってしまいました。
「一周忌に行きたい」「行く意味ないから行くな」すれ違う夫婦
「来月、祖母の一周忌がおこなわれることになっていて、もちろん僕たちも両親から呼ばれました。僕は祖母に育てられたも同然なので……どうしても行きたいと思っていました」こう話し始めたユウイチ君。ケンカが始まったのはこのことが発端のようです。話を聞くと、わが娘ながら恥ずかしくなるような身勝手な言動ばかり……。私はユウイチ君に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。もはや夫まで顔をしかめ始めています。
「行かなければいいじゃん」とカオリは言ったそうなのです。 苦しそうに話すユウイチ君に、私は何も言えなくなりました。しかもカオリのとんでもない発言はまだつづきます……。「おばあちゃんはもう1年前に他界してるんだし、今さら行ったって会えるわけじゃないんだよ。それより目の前で大変な思いをしてる妻をなんとか助けてあげようとか思わないわけ? 一周忌だかなんだか知らないけれど、妊婦を放っておいて帰省しようとかマジでありえないんだけれど」 このカオリの言い方に腹を立てたユウイチ君がカオリの手をつかみ、振り払おうとしたカオリがソファに座るような体勢になったというのです。
来月おこなわれる、ユウイチ君のおばあさんの一周忌。それを巡り、夫婦で話し合いがまとまらなかったのがことの発端のようです。 ユウイチ君の話を聞く限りでは、ユウイチ君が自分勝手なことを言っているようには思えません。むしろカオリの言動のほうが失礼に思えます。 また、「手をあげられて尻もちをついた」と主張していたカオリでしたが、蓋を開けてみるとユウイチ君がつかんだのは手、しかも尻もちをついたのはソファの上だそう。 私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
ウソとワガママばかりの娘!親として諭したけど……娘夫婦が心配
ユウイチ君はカオリを責めることもなく、ただただ寂しそうに見つめながら黙っています。カオリは、自分は妊婦なのだから一番大切に扱われるべきだと主張を変えません。そんなカオリの態度についに夫が…… 「あのなカオリ、ユウイチ君はメイちゃんの父親であり、カオリの夫だ。それはもちろんだ。でも同じように、おばあさんの大切な孫でもあるんだよ。親になったって他の立場が消えるわけじゃないだろ」
夫の言う通り、カオリは1人でこの家にやってきました。きっと怒りにまみれながら何も考えずに家を飛び出してきたのでしょう。一方メイちゃんを連れてきたのはユウイチ君です。カオリはうつむきました。 カオリは最後までふてくされていました。しばらくみんなで黙り込んだ後、夫が「あとは2人で話し合いなさい」と家に帰したのでした。
ユウイチ君の話によって、カオリの嘘や責任感のなさが露呈しました。カオリもまったく反省しないどころか、ふてくされて黙り込んでいる様子を見ると、おそらくユウイチ君が話していることが本当なのでしょう。 しかも夫や私が説得をしてもずっと「自分の考えが正しい」と思いこんでいるような態度。これには私たちもさすがに呆れてしまいました。 「とりあえず2人で話し合いなさい」と言いましたが、今後どうなってしまうのでしょうか……。
【ユウイチの気持ち】祖母への思いを否定され……ガマンの限界ッ!
僕はユウイチ。妻のカオリ、1歳の娘であるメイと一緒に暮らしています。カオリは現在妊娠6ヶ月。もう少ししたら2児の父親になるのですから、もっと頑張らないといけません。そんなある日、去年他界した祖母の一周忌が来月おこなわれると実家から連絡がきました。絶対に出席しなければ……と思っていたのですが、カオリがいい顔をしません。しまいには、「もう他界しているんだから出席しなくてもいいでしょ」と言われ、僕もつい腹が立ってしまいました。なぜなら僕は祖母に育てられたといっても過言ではないのです。
両親は自営業で共働き。毎日仕事で忙しく、僕を育てる余裕がなかったのだろうと今はわかります。両親は夜遅くに帰ってきて、朝早くに家を出て行きます。祖父は僕が生まれる前に他界しており、言ってみれば祖母は1人で僕のことを育ててくれました。 とはいえ「寂しい」とか「もっと両親と一緒にいたい」と思ったことはほとんどなかったように思います。それだけ祖母が愛情を注いでくれていたのでしょう。僕にとっての「おふくろの味」は祖母が作ってくれたご飯ですし、祖母こそが育ての親でした。
「行きたければ行けばいいよ。もう止めないし。私もこっちでなんとかするよ、妊婦だから大変だけれど。でも今のユウイチの家族は私たちなんだよ? それをふまえてよーく考えてよね!」 カオリの言葉に、僕のなかで何かが切れてしまいました。 「僕たち、終わりにしよう」
「今の家族は私たちなのだから、ユウイチは私たちを優先するべき」と主張していたカオリ。たしかにその意見は正しい部分もあるでしょう。 しかしだからといって、祖母の一周忌ですら「行くな」と言われてしまっては、なんだかやりきれない気持ちになってしまいます。カオリのことはとても大切に思っていたのに、カオリは家族以外でただひとつの僕の大切なものすら理解しようとしてくれないなんて……。 そんなことでと思う人もいるかもしれないが、そんなことがありながらこれ以上一緒にいるのは僕にとって難しかったのです。結局話し合いの末、お腹の子はカオリが、そしてメイは僕が引き取ることに決まりました。
【カオリの気持ち】まさか私がワルイの?三行半突きつけられ……
義祖母の一周忌を巡って、夫のユウイチと口論になってしまいました。そもそも私は妊娠中です。それなのに私を置いて、夫が遠出をするなんて許せませんでした。「妊婦でも1人で家事と育児をしろ」ということでしょうか。どうしても行きたそうにしているから最終的には許してあげました。しかし……ユウイチから返ってきた言葉は「もう終わりにしよう」でした。
私は自分の意見を押し切って実家の近くに住むことになりました。これでいいのです。これから子育てをしていくのであれば、私が権限をもっていないと。 ユウイチが唯一私より優先しようとする義祖母は、遠ざけなければ後々厄介なことになるでしょう。私は安心感と満足感でいっぱいになりました。
ユウイチの頭からとっとと義祖母の存在を消してしまいたかった。一周忌の話が持ち上がり、私はユウイチと義祖母との接触を断固反対。あれこれ理由をつけてユウイチが田舎に行けないようにしました。わざと転んだふりをして両親を味方につけることもしました。しかしそれが原因で、ユウイチから離婚を言い渡されることになってしまったのです。 話し合いの結果、子どもを1人ずつ引き取ることにしたのですが、私は子どもを育てながら、自分で仕事もして……そうやって生活をまわしていくことができません。両親に頭を下げ、産後は子育てを協力してもらうことにしました。
お互いの歯車が狂ってしまい、離婚に至ったユウイチと私。「自分の実家の近くに住みたい」「義祖母の一周忌には出るな」など、思い返してみればめちゃくちゃな主張ばかりしていたように思います。というより、義祖母のことに限らず私はユウイチに甘えすぎていました。 きっとユウイチにとっての離婚のタイミングは、我慢の限界を越えたにすぎなかったのでしょう。もし私がもっとユウイチに寄り添えていれば、こんなことにはならずに済んだのかもしれません。しかし今さら悔やんでも過去に戻ることはできません。今はただ精一杯、無事に生まれてくれたわが子を育てたいと思います。