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【ミリオンヒッツ1990】米米CLUB「浪漫飛行」ソニー3大色物バンドから100万枚の大ヒット

Re:minder

1990年04月08日 米米CLUBシングル「浪漫飛行」発売日

リレー連載【ミリオンヒッツ1990】vol.1
浪漫飛行 / 米米CLUB
▶ 発売:1990年4月8日
▶ 売上枚数:107.9万枚

バブル期のJAL沖縄キャンペーンソング 「浪漫飛行」


ゴールデンウィークという呼称は映画業界から広まったそうだが、1980年代後半から1990年代にかけての好景気を受けて旅行需要も急拡大。この頃から長期休暇を使ってバカンスを楽しむ文化が広がりをみせた。全日空が “JAL STORY 夏離宮” と銘打ったキャンペーンを大々的に展開したのは、そんな時代の真っ只中、1990年のことだ。

“夏離宮” といってもこのキャンペーンが始まったのは夏休みではなく、ゴールデンウィーク直前のタイミング。つまりひと足早く夏気分を味わえる沖縄旅行のキャンペーンだったわけだが、人々の関心を強く惹いたのがお茶の間に大量投入されたTVコマーシャルだった。

青く美しい空、海をバックに「浪漫飛行」を歌うカールスモーキー石井、並びに奇抜な衣装に身を包んだ米米CLUBのメンバー諸氏が金ピカの船(?)に乗船するというド派手な内容は、なんだかよく分からないけれどとにかく楽しい未来が待っているのだ!と心躍らせるようなリゾート感に満ちていた。まさにバブル景気の勢いを思わせる、当時を代表するコマーシャルといえるだろう。

アルバム「KOMEGUNY」収録の隠れた名曲


ファンの間では有名な話だが、この「浪漫飛行」はJALキャンペーンのために書き下ろされた新曲ではない。1987年のオリジナルアルバム『KOMEGUNY』収録の隠れた名曲が約3年の時を経てCMに使用され、シングルカットされたという経緯を持つ。

まさか当人たちも、これほどのヒットになるとは夢にも思わなかったに違いない。何しろロサンゼルスでのレコーディングでは石井氏以外のメンバーはバスケに夢中で、コーラスを含めて歌入れは全て石井氏が担当したというほど。そんな状況にもかかわらず結果的にそれが初のミリオンセラーとなり、グループの代表曲として何十年も歌い継がれることになるのだから、運命とは分からないものだ。

米米CLUBはソニー3大色物バンド?


1989年12月23日にNHKで放送された伝説のスペシャル番組『X’masスペシャル ポップス&ロック 1989ライブ』に出演した米米CLUB。その中で石井氏が軽妙なトークを披露しつつ、“米米CLUBも来年(1990年)はまたひとつ大きくなっていきたいと思います!” と翌年に向けた抱負を表明するシーンがある。どうってことはない言葉ではあるが、数ヶ月後にトップアーティストに上り詰めるという “未来” を知ったうえで聞くとやけに感慨深い。

初期の米米CLUBは楽器隊に加えてパフォーマーやコーラスを引き連れた大所帯、そしてステージ上での賑やかなパフォーマンスから “ソニー3大色物バンド”(残り2組は聖飢魔Ⅱ、爆風スランプ)に数えられ、耳の肥えた一部マニアを除く世間一般からは “コミックバンド” と捉えられていた節がある。おそらく当人たちもそれを自覚したうえで独自の世界観を追求していたであろうことは、初期の名曲「Shake Hip!」のミュージックビデオからもよく伝わってくる。

時代は空前の音楽バブルに突入


売れることに対してはそれほど貪欲ではなかったようだが、世間はそのマニアックさの裏に隠された鋭敏な才気を見逃しはしなかった。独特のセンスが冴え渡る楽曲やミュージックビデオ、細部まで作り込まれたコンサートは評判を呼び、米米CLUBはやがて業界内の注目株になっていく。そうした絶妙のタイミングで巡ってきたチャンスこそが、JAL沖縄キャンペーンソングへの大抜擢だった。

当時、ブレイク寸前と目されたのは米米CLUBだけではなかったが、全てのアーティストが期待通りにスターダムに躍り出たわけでもない。その点、過去のアルバム曲がCM曲に抜擢された米米CLUBは、実力だけではなく強運も持ち合わせていたのかもしれない。加えて時代はレコードからCDへと移行が進み、空前の音楽バブルに突入しようとしていた。こうした幾つかのラッキーにも恵まれ “色物バンド” ​​と見られていた米米CLUBは「浪漫飛行」のヒットによって瞬く間にミリオンアーティストへと飛躍を遂げたのだった。

その後、米米CLUBは「♪飛びまわれ この my heart」という歌詞を体現するかのように音楽シーンを縦横無尽に飛びまわり、1997年3月の東京ドーム公演をもって解散。9年後の2006年に再結成を果たし、現在まで高いテンションを保ちながら活動を続けている。目標は “米寿” の88歳まで継続することだとか。まだまだ存分に楽しませてくれそうだ。

Original Issue:2023/05/29 掲載記事をアップデート


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