「二度と被害を起こさぬよう」 鳥屋の地震峠 4コマ漫画の案内板制作へ
9月1日は防災の日。1923年に発生した関東大震災では、区内にも大きな被害が及んだ。特に鳥屋地域では、山津波と呼ばれる土砂災害で16人が亡くなった。
震災から100年以上が経過し、鳥屋地域では「二度と被害を起こさないように」と、遺族や地域住民らで組織する鳥屋地震峠を守る会が慰霊碑の維持や伝承活動に努めている。昨年は、地震峠の歌「地震峠と十六の瞳」や漫画「百年の時を超えて繋がる命」を制作した。
今年に入り、漫画制作に携わった津久井高校漫画研究部と同会、地域住民らで4コマ漫画の案内板を制作し、慰霊碑の横に設置する制作プロジェクトが進んでいる。現地には文字の案内板が設置されているが、来訪者に「理解をより深めてほしい」「その時の状況を分かりやすく説明したい」という思いから、「次は4コマ漫画で案内板を作ろう」と関係者で機運が高まっていた。
今年の7月には漫画研究部の部員、OBを含めて、現地調査とミーティングが行われた。何を漫画にするのか、どのように進めるのかを一通り話し合ったと言う。同会からは、「山津波の土砂が串川をせき止めたため、宮ヶ瀬村、串川村、青野原村から総勢1000人を超える人が復旧に協力したことを描いてほしい」と要望した。
現在は9月に予定している2回目の会議に向けて、それぞれが準備を進めており、来年2月の完成を目指している。
幅広く伝承
同会では、毎月1日の慰霊碑周辺の清掃活動のほかに、「被害を忘れないためにも、この地域であったということを、若い世代へも広めていきたい」と伝承活動に力を入れる。
今年に入り能登半島地震、宮崎県で最大震度6弱の地震が発生し、さらに、今後は南海トラフ地震の発生も懸念される。7月下旬には地域にある鳥屋学園の教師に、これまでの歴史を会員が説明した。
同会の秋本敏明さんは「交通ルールを学ぶように常に防災を意識することが大事」と話す。そして、地域住民が当時の様子を記した手記の内容に触れ、「地震発生の前までこの地域には大雨が降っており、その影響で山津波が発生したと想定できる。つまり大雨と地震が重なると、山津波が起こると手記が教えてくれている」と説明する。そして、「山津波が起きた際は土砂は垂直に流れていくので、水平避難をしなくてはならない。そういったこともより広めていけたら」。