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人が住み暮らす世界遺産「合掌造り集落」で味わう富山・南砺の山の恵み【食べ処 吾郎平】囲炉裏で焼き上げる岩魚ととちもち

nan-nan 富山の情報

人が住み暮らす世界遺産「合掌造り集落」で味わう富山・南砺の山の恵み【食べ処 吾郎平】囲炉裏で焼き上げる岩魚ととちもち

富山県南砺市の五箇山と岐阜県飛騨地方の白川郷の合掌造り集落がユネスコの世界文化遺産に登録されてから、2025年で30年。

 

宗教施設や歴史的な遺跡など、その国や地域の文化、生活を象徴する分、貴重な文化財として国や学術団体などにより大切に保存・管理されることが普通ですが、合掌造り集落は世界的にも珍しい“人が暮らす世界遺産”

現在でも人がそこで暮らし、屋根の吹き替えや集落の保守、観光客のもてなしなど、通常の生活と文化財としての側面が共存しています。

豪雪の山の中で“時間が止まった”ような日本の原風景

南砺市の山あい、岐阜県北部の飛騨高地から流れる庄川沿いには40の集落が点在します。そのうち、白川郷とともに世界文化遺産に登録されたのは、相倉と菅沼の2つの集落です。

 

豪雪地帯のため、冬季の外部との交流や農林業の営みが難しく、養蚕や和紙、火薬の原料となる塩硝づくりで古くから生業を立ててきました。

日本の古くからの建築様式のひとつと言われる合掌造りは、そんな五箇山の暮らしと密接に関わるためにこの地で近年まで残りつづけました。

 

手を合わせる(合掌)形に似た急勾配の屋根は雪おろしがしやすく、2階や3階の屋根裏空間が広くとれるため養蚕業に適していました。風通しがよく、冬は1階の囲炉裏の熱が家内に伝わりやすいのも特徴です。

 

3月に訪れると、集落周辺にはまだ150cmを超える積雪が残っていました。春の日差しに照らされて建つ合掌造りからは、自然の厳しさに負けない人の営みの強さと美しさを感じることができます。

菅沼合掌造り集落の「食べ処 吾郎平」

年間を通して多くの観光客が訪れる合掌造り集落で、五箇山ならではの味を堪能できる店があります。

菅沼合掌造り集落にある「食べ処 吾郎平」です。

建物は築およそ170年の合掌造り。

 

囲炉裏の間でひと息つきながら、五箇山ならではの岩魚や五箇山豆腐、山菜料理やそばなどが味わえます。

囲炉裏でじっくり焼き上げる 「岩魚の塩焼き」

岩魚の塩焼き 900円(税込)

岩魚の塩焼きは、注文が入ってから囲炉裏でじっくりと焼き上げます。

 

串に刺し、立てて焼くことで余分な脂が落ち、身がふっくら、ホクホクに焼きあがるのだそう。

囲炉裏の炭から放たれる遠赤外線はじんわりと熱く、顔や肌をあたためてくれます。

 

焼かれている様子を見ているだけで、時間の流れがゆっくり感じられて心が癒されるようです。

五箇山の郷土料理「とちもち」

五箇山の郷土料理として外せないのが、「とちもち」。

穀物があまりとれない日本各地の山間部ではとちの実は貴重な食糧として古くから食べられてきましたが、五箇山では餅料理に用いられます。

 

とちの実はアクが強いため、囲炉裏の灰を使って丁寧にアクを抜いて使用。乾燥や皮むきなどの下処理を施してできあがったとちもちはほろ苦く、独特の香りがあって、滋味深い味わいです。

イチオシは「とちもちの揚げ出し」

とりもち揚げ出し 700円(税込)

そんなとちもちを揚げて作る「あげだし」が店のイチオシ。

 

弾力があって食べごたえのある食感と、カリッと揚がった表面がダシを吸って、やさしい旨味がいっぱいです。

五箇山そばとともに「揚げとちもちそば」

香りのよい五箇山そばに揚げたとちもちをトッピングした「揚げとちもちそば」。

 

そばの香り、とちもちの苦み、大根おろしのさっぱりした辛み、だしの甘み…五箇山のおいしいもの同士を組み合わせた名物です。

甘~いあんこと味わう「とちもちぜんざい」

とちもちぜんざい 700円(税込)

甘味メニューとして甘いぜんざいも用意されています。

 

弾力のあるとちもちは、噛むごとに自然の甘みを感じることができます。やさしい甘さのあんこともよく合い、人気のメニューです。

“人が住む世界遺産”ならではのにぎやかな雰囲気を

店主の中島慎一さんと、孫のほのかさん

「合掌造り集落は人が住む世界遺産。孫や子供、大人も一緒に生活するにぎやかな雰囲気を持ち続けたい」(中島さん)

 

店を営む中島さんは語ります。

四季折々の風景とともに、世界遺産で味わう山の恵み。歴史を感じ、自然と対話するような特別な時間を過ごせそうです。

出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
   2025年4月8日放送
記事編集:nan-nan編集部


【食べ処 吾郎平】
住所 富山県南砺市菅沼906
営業時間 10:00~17:00
定休日 不定休

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