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レディオ湘南にインタビュー - 災害時に命を守る!災害時の緊急放送の取り組み

湘南人

画像出典:湘南人

地元の細やかなニュース・イベント・天気・交通などの生活に身近な情報を提供する、地域密着型のコミュニティラジオ放送局「レディオ湘南」。

1995年の阪神淡路大震災がきっかけとなり設立されたラジオ放送局で、数あるコミュニティラジオの中でも、災害時に備えた取り組みを行っているのが特徴です。

今回は、「レディオ湘南」が災害に備えて日々取り組んでいる活動や、実際に起きた際にどのような動きをするのかなどのお話をうかがいながら、災害時のラジオ活用方法について考えてみたいと思います。

2市1町と防災協定を結ぶコミュニティラジオ局

お話を聞かせてくださったのは、「レディオ湘南」3代目と現在の6代目の社長を務める山田秀幸さん。

山田社長は、1996年の開局にも深く携わっていた方です。

画像提供:レディオ湘南

―レディオ湘南は、1995年に発生した阪神・淡路大震災がきっかけとなって設立されたそうですが、そのいきさつを教えてください。

山田社長:私は当時、藤沢市青年会議所に所属していたのですが、阪神・淡路大震時に「被災地のライフラインメディアとして関西のFM局が活躍した」という話が入ってきました。そこで、青年会議所内で「災害時に役立つコミュニティFMを立ち上げよう」という準備会ができ、藤沢市と連携を取りながら会社設立に至って、1996年4月28日に「レディオ湘南」が開局しました。

―設立の目的が、災害時に役立つためのラジオ局を作るとことそういった面で、防災に関する取り組みに特化しているということでしょうか。

山田社長:はい。現在では、藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町の2市1町で、有事の際はお互いに情報共有を行いましょうという防災協定を結んでおり、レディオ湘南では緊急放送を実施します。藤沢市が、防災行政無線で流した情報は、レディオ湘南でも同時に流れるようになっています。

また、具体的な取り組みとして、毎月1日に藤沢市と協力し防災放送を流し、第2木曜日13:30からは藤沢市消防局と災害時の緊急割込み訓練放送を、第3木曜日18:10からはレディオ湘南の常勤スタッフ全員が交代で電話での緊急割込み訓練放送をしています。

日々の放送としては、月~金の7:45~7:59まで「防災・防犯・交通安全 インフォメーション」内で、いざという時のために、何を準備すればよいのかどんなことに気をつけたらよいのかを、さまざまな視点から紹介しています。

緊急割込み放送の内容

津波注意報・津波警報・大津波警報気象(大雨、暴風等)特別警報国民保護に関する緊急情報高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保その他の市民周知が必要な緊急情報

画像出典:湘南人

防災ラジオの活用

―藤沢市では、防災ラジオの有償頒布を行っていますが、防災ラジオとはどのようなものなのでしょうか。

山田社長:藤沢市とレディオ湘南が協力して製作した特注品のラジオで、1台2,000円で先着にて有償頒布されました。スイッチを入れなくても行政無線や緊急放送を自動受信できるようシステム化されたもので、命の危険が迫った時、適切な避難行動を行うための重要な情報入手手段で、夜間や荒天時にも使用できます。

防災ラジオの特徴

緊急情報を受信した際は、自動的にレディオ湘南に切り替わり最大音量で緊急割込み放送が最大音量で流れる。ランプが点滅し視覚的確認も。風雨や建物による反響の影響を受けないため、緊急情報を明瞭に聞ける。軽量で乾電池(単三・4本)による稼働ができるため、災害時には避難中でも情報収集が可能。ラジオ(音量中位)を聞き続けた場合、9時間程度の乾電池の持ち。他のラジオ局(AM・FM各6局プリセット)も選局できるため、平常時での使用や災害時に他局の情報収集も可能。

※令和7年度防災ラジオの頒布開始時期は、未定。頒布開始は、藤沢市のホームページ及び「広報ふじさわ」での周知を予定しているとのこと。

画像提供:レディオ湘南

東日本大震災を経て

―東日本大震災から14年目となる今年の3月11日は、レディオ湘南では震災の特番を組んでいましたね。

山田社長:そうですね。毎年、3月11日は震災特別番組を放送しており、今回で14回目。私も震災の1ヶ月後に被災地に慰問させていただき、その際に津波の被害を受けたという「ラジオ石巻」さんのお話を聞くことができました。以来、局同士で交流するようになって、今でも現地の様子などを特別番組内で伝えてもらっています。

―2011年の震災当日は、レディオ湘南では、どのような対応をされていたのでしょうか。

山田社長:あの日は、この局に関わって初めての大きな揺れを経験しました。事務所のある藤沢市も大きく揺れを感じ、すぐに放送体制をどのように取るかを指示。来られる話し手とスタッフで放送を継続し、藤沢市から集めた情報やJR・小田急線などの交通情報、避難所の開設情報などの特別放送を続けました。地震の後も、何度か計画停電が実施されたため、軽油で動く自家発電を利用して放送を継続しました。

震災時は混乱の中、さまざまな情報がSNSなどで流れますが、行政からの正確な情報を集約し届けるのが私たちの役目。大震災の影響は、その後のレディオ湘南の防災対応に大きく活かされていると思います。また、当時は防災ラジオがなかったのですが、普通のラジオを購入し、レディオ湘南を聞いて情報収集した市民の方が多かったと聞いています。

―災害時の不安な時に、身近な情報を正確に届けてくれるというのはリスナーにとっても安心感を与えてくれますね。
それでは最後に、今後、防災の取り組みで強化したいことや目標があれば教えてください。

山田社長:近年のコロナ禍で藤沢市内には多くの人が引っ越してきたのですが、その方々はレディオ湘南をご存知ない。これから、もっともっと認知度を上げてレディオ湘南を知っていただいて、防災・災害時に役立てればと思っています。

―本日は、お忙しいところ貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

画像出典:湘南人

正確な情報を入手し命を守る

1995年に起きた阪神・淡路大震災後に「災害時に役立つコミュニティFMを立ち上げよう」という動きから設立された、藤沢市のコミュニティラジオ局「レディオ湘南」。開局から29年の間に東日本大震災を経て経験を積み重ねて、常日頃から災害に備えてさまざまな取り組みを行っていました。このようなコミュニティラジオ局が、湘南アリアにあるのはとても心強いことだと思います。

災害時には、情報収集の手段が限られ正確な情報が入って来なかったり、不安を煽るような出所不明の情報が流れたりします。私たちも日頃からラジオを活用し、いざという時に備えて正確な情報を入手する準備が必要なのだと改めて感じました。
現在は、防災ラジオ以外のパソコンやスマホでコミュニティFM局の放送が聞けるアプリもあるので、ぜひ活用を。

FMプラプラ_コミュニティFM向けのスマートフォンアプリ

災害に備えて私たちができること

防災ラジオの入手やラジオ視聴アプリのダウンロード災害時にはレディオ湘南83.1MHzにダイヤルを合わせるSNSの不正確な情報に惑わされず、自身の周りの信頼できる情報を入手し命を守る行動を取る

画像出典:湘南人

みなさんも、自身の住む地域のコミュニティラジオ局の防災情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

レディオ湘南(藤沢エフエム放送局)

出 力 20
周波数 83.1MHz
コール・サイン JOZZ3AI-FM

住所:〒251-0052 神奈川県藤沢市朝日町1-1 藤沢市役所分庁舎1階
電話番号:0466-25-7000(代)

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