横浜文化賞に俳優・藤竜也さん、崎陽軒・野並会長ら5人
横浜市の最高顕彰で、文化の発展に貢献した人に贈られる「横浜文化賞」の受賞者が9月18日に発表された。文化・芸術部門では、木工塗装士の大沢尚(ひさし)さん(91)と日本人形作家の小池緋扇(ひせん)さん(96)、俳優の藤竜也さん(83)、社会貢献・スポーツ部門では、医師の秋山修一さん(65)と株式会社崎陽軒代表取締役会長の野並直文さん(75)が選ばれた。
木工塗装士の大沢尚さん
大沢さんは三越製作所で技能を習得し、定年後に南区別所で「大沢工芸」を開業。木目を生かし、素地の特徴をつかんだ深みのある色調を作り出す技能が卓越しているとして、2003年に「横浜マイスター」に選ばれた。赤坂迎賓館「朝日の間」や最高裁判所「大法廷」など、重要な案件を担当している。
日本人形作家の小池緋扇さん
小池さんは鶴見区出身。小学生の頃から人形作りを始め、幼稚園教諭を経て人形作家になった。古代裂(こだいぎれ)のちりめん友禅を使い、江戸時代の暮らしや「粋」の文化をテーマに日本人形を制作。全国で展示会を開催するほか、鶴見区でも特別展を開催するなど、地域の文化振興に貢献してきた。
デビューから60年超俳優の藤竜也さん
藤さんは横浜出身。1962年のデビューから映画やテレビで活躍。存在感のある演技が高く評価され、80歳を超えた今も主演を務める。2023年には「大いなる不在」で「サン・セバスティアン国際映画祭」で最優秀主演賞を受賞した。また、「横浜ホンキートンク・ブルース」の作詞を手掛けたことでも知られる。
医師の秋山修一さん
秋山さんは1989年、中区尾上町に「秋山眼科医院」を開設。健康増進、公衆衛生の向上に貢献してきた。2017年からは中区医師会会長を務め、外国籍住民に対応するため、22カ国語の問診表を作成するなど、外国人支援にも力を入れる。ほかに、「関内まちづくり振興会」の会長として、地域活性化にも取り組む。
崎陽軒会長の野並直文さん
野並さんは崎陽軒を「真にすぐれたローカルブランド」にすることを目指し、1996年に横浜駅東口に本店をオープンさせた。2003年には都筑区の横浜工場を再整備し、工場見学の受け入れを始めた。青少年の育成に尽力するほか、2006年からは横浜商工会議所副会頭として地域商業の発展に貢献している。
奨励賞は桂小すみさんと橘和美優さん
同時に今後の活躍が期待される人に贈られる「横浜文化芸術奨励賞」の受賞者も発表され、音曲師の桂小すみさん(51)とバイオリニストの橘和美優さん(23)の2人が選ばれた。
桂小すみさんは邦楽と洋楽を融合させた独自の演奏で観客を魅了。30歳で落語芸術協会にお囃子として入会し、45歳で音曲師に転向。横浜にぎわい座での公演や教育現場での邦楽普及活動にも尽力する。
橘和さんは緑区出身。幼少期から数々のコンクールで受賞。東京藝術大学を首席で卒業し、現在は東京音楽大学大学院に特別特待奨学生として在学中。国際的にも評価されている。
贈呈式と記念コンサートは11月21日に横浜みなとみらいホールで行われる。