冷房28度設定はNG?エアコン節約術のウソホント、正しい使い方
エアコンの節約術はたくさん出回っていますが、その中には誤解しやすいものや古い情報もあります。「エアコンの設定温度は28℃がよい」、「つけっぱなしの方が節電できる」など巷に出回っている節約術は本当に正しいのでしょうか。
今回は、エアコン節約術のウソホント、正しい使い方について解説します。
温度設定28度は正しい?
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「エアコンの設定温度は28℃がよい」とよくいわれますが、実際のところ何℃が正解なのでしょう。
健康的には何度がよい?
東京福祉保健局が出した「健康・快適居住環境の指針」によれば、健康と環境のため、室温は25~28℃、外気との温度差は7℃以内に保つことが推奨されています。体の健康を考える上ではこちらを目安にして目安にして設定するのがよいでしょう。
設定温度を1℃上げると、消費電力は約10%減ります。しかし節約のためにと設定温度を上げ、室温の高い部屋で過ごすと、熱中症などを発症する危険性があります。
反対に、部屋を冷やし過ぎても、身体の疲労感、倦怠感、悪寒、頭痛、腹痛など、いわゆる冷房病の症状が生じて体調を崩す恐れもあります。
設定温度と室温は違う
注意点として、エアコンの設定温度を28℃にしても、“室温”が28℃になるとは限りません。気温、湿度、日当たりなどの立地条件等によって、設定温度と室温には誤差が生じることがあります。
室温は、部屋の中に温度計を設置しておくと計ることができます。目的の室温になっていない場合は、エアコンの設定温度を上下させ調整しましょう。
つけっぱなしの方が節電できる?
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エアコンが最も大きな電力を使うのは、電源ON時~設定温度に室温を下げるまでの間です。したがって、一度電源ONにした後は、そのままつけっぱなしにした方が節電に繋がりやすいです。
逆に、「部屋が涼しくなったので一旦エアコンを止めよう」、「ちょっと外出するのでエアコンを止めよう」のような配慮は、電気代を余計に増やす原因になりかねません。
短時間の外出であればつけっぱなしOK、長時間はNG
空調メーカー「ダイキン」の実験によると、日中は35分まで、夜は18分までの外出であれば、エアコンを切るよりも、つけっぱなしにした方が節約になるという結果も出ています。
逆にいえば、日中35分以上の外出、夜間18分以上の外出の場合のつけっぱなしはNGです。電気代が余計に掛かってしまいます。
除湿の方が節電できる?
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除湿(ドライ)の方が節電になるイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか。
「ウェザーニュース」から、各運転モードにおける1時間あたりの電気代について次のような比較結果が出されています。
冷房・・・11.0円/h
弱冷房除湿(一般的な除湿)・・・4.1円/h
再熱除湿(空気を暖め直した上で除湿する機能)・・・14.9円/h
この結果では、一般的に除湿とよばれる「弱冷房除湿」の電気代が最も安いことになります。
とはいえ、使う環境などによって弱冷房除湿と冷房の電気代が逆転することもあります。たとえば真夏の暑い部屋の場合などです。弱冷房除湿では部屋を冷やすまでに時間がかかるため、電力も余計に消費しやすくなります。そういった場合には、逆に冷房で一気に温度を下げてしまった方が、トータルの電気代は安くなることがあります。
エアコンの自動運転モードは電気代が高い?
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エアコンの「自動運転モード」は優秀ですので、逆に電気代を安くできることが多いです。
電気代は、部屋の冷やし方によっても変わります。たとえば高温になった暑い部屋の場合、微風で少しずつ冷やすと効率が悪く、時間も電気代も余計に掛かることがあります。
自動運転モードでは、設定温度に到達するまでは最大運転を行い、到達後は弱運転や送風運転で効率よく部屋を冷やします。
自動運転モードは、エアコンが最も効率よい方法で部屋を冷やそうとするため、節電につなげやすくなります。昨今のエアコンは風量の調整具合も優秀ですので、自動運転モードを積極的に使うのがおすすめです。
エアコンをつけていれば換気扇は使わなくていい?
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エアコンには、換気機能がありません(換気機能付きのモデルも一部あり)。部屋の空気を取り入れ、冷やして、また部屋に戻すを繰り返しているだけであり、換気は行っていません。したがって空気の入れ替えをしたいのであれば、換気扇も回す必要があります。
換気扇を回すと、部屋の空気の流れが改善し、冷房の効率がアップするメリットもあります。
同時にデメリットもあり、せっかく冷やした空気が換気扇を通して室外に逃げてしまいます。またわずかではありますが、換気扇を回すのにも電気代が掛かります。
そういったデメリットもありますが、換気をしない部屋で長時間過ごすのは健康的にも良くないため、エアコンをつけていても換気扇はできるだけ活用したいところです。
以上、エアコンの節約術のウソホントについて解説しました。エアコンの節電は一筋縄にはいかないこともあり、よく噂されている節約術が通用しなかったり、逆に悪手になってしまうこともあります。使う部屋の環境などを考慮した上で、自分に合った最適な使い方を見つけていきましょう。