東京都 無痛分娩費用を助成 10月以降 最大10万円
東京都が出産時の痛みを麻酔などで和らげる無痛分娩費用の助成を決めた。今年10月以降に出産した人が対象になるもので、最大10万円を助成する。安心して妊娠・出産できる選択肢の1つにしてもらいたいとしている。
都は3月末に発表。都民を対象とし、腰の脊髄近くから麻酔薬を注入することにより出産の痛みを和らげる方法(硬膜外麻酔法)などによって分娩した場合とする。都が指定する医療機関で出産することが条件で、助成金額は最大10万円。それを超える分は自己負担となる。都内で無痛分娩した場合にかかる費用の平均がおよそ12万円だったことを前提に算出した金額といい、個室料や食事料などは助成対象外になるという。都の担当者は「条件を満たし対象となる医療機関は都のHPで紹介している。申請方法などの詳細は今後掲載していく予定。安心して出産するための選択肢の1つとして考えてもらえれば」とする。
増加傾向
無痛分娩は増えているようだ。今回、指定の医療機関となった小山ヶ丘のベルンの森クリニックでは2005年の開院当初、無痛分娩を選択する妊婦は5%程度だったものの、現在はおよそ半数の人が選択するものになっているという。同クリニックの小木三郎院長は「2018年ごろにテレビなどに取り上げられるようになり、口コミなどによって周知が広がったようだ。今後も増えていくと思う」と話す。
一方で無痛分娩を選択しない理由になってきたことの1つが費用面。厚生労働省の資料によると、2023年度の出産費用は全国平均でおよそ50万円。無痛分娩を選択するとそのうえに平均12万円が上乗せになることから、希望しつつも諦めざるを得なかった人が少なくないようだ。
また、小木院長は「日本特有の考え方もある」とする。無痛分娩を選択することが主流となっている先進国もあるなか、日本で定着していない理由として、「おなかを痛めて生んだからこそ、愛情がわくなどの風習が未だ残っているのは確か。今回のことをきっかけに無痛分娩が全国的に広がることになってもらいたいと思う」と話している。
都の無痛分娩助成に関しては東京都無痛分娩費用助成コールセンター【フリーダイヤル】0120・620・620(平日/午前9時から午後5時)まで。対象となる医療機関など、その他の詳細は都のHPで。