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Tele、全国ツアー初日となった日本武道館公演を自分ならではの“箱庭”と化し観客とひとつの物語を作り上げる

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Tele『Live Tour 2024「箱庭の灯」』2024.06.01(sat)日本武道館

谷口喜多朗のソロプロジェクト・Teleの全国ツアー『Live Tour 2024「箱庭の灯」』が6月1日、東京・日本武道館からスタートした。

Teleにとって初の武道館ワンマンライブを皮切りに、7月15日のZepp Sapporoまで全9公演が予定されているこのツアー。ファイナルが1ヶ月以上先ということもあり、セットリストなど大きなネタバレは避けたいところだが、Teleというアーティストにとって記念すべき公演なだけに、本稿ではダイジェスト的にその雰囲気をお伝えしたい。もしこの先、ツアー地方公演に参加する予定でネタバレを目にしたくない方がいらしたら、このレポートはライブ観覧後に目を通してほしい。

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箱の中にさまざまな景観を模した小さな世界を作り込んだ“箱庭”をタイトルに用いた今回のツアー。ステージ上には砂漠を模した凹凸のあるセットの上に、ベッドや電柱、「カルト」のMVにも登場するエアコン室外機など生活感のあるアイテムが転がっている。そして、ライブは映像演出を用いながら、“箱庭”をキーワードに進行。気心知れたバンドメンバーとともに、谷口は「カルト」を筆頭としたダイナミックなロックチューンを連発し、ギターを激しく刻みながらパワフルな歌声を響かせる。

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その一方で、緩やかでミディアムナンバーでは谷口のダンスに合わせて観客も心地よさげに踊ってみせ、オーディエンスのシンガロングが武道館中に響き渡ると谷口が「素晴らしい!」と歓喜の言葉をこぼす一幕も。ライブ中も映像演出を交えつつ、緩急に富んだセットリストで観る者を魅了し、会場の大きさをまったく感じさせないほど親密なステージが繰り広げられていく。そんな中、5月29日に配信されたばかりの新曲「花筏」では壮大な世界観を持つサウンドと力強いメッセージが放たれ、会場の大きさも相まって感動的な空間が作り上げられていった。

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さらに、谷口が「この曲を書いたときはコロナ禍で、(ライブで)誰も声を出せなくて、ずっと誰かの声を聞きたいなと思っていて。パソコンに自分の声を何枚も何枚も貼って、ひとりを誤魔化していたんですけど……今日ちょっと気づいちゃったのは、どうやらもうひとりを誤魔化さなくてもいいみたいです」と語ると、「大切に、寄り添うように、一緒に歌おうぜ、武道館!」を合図に始まった「花瓶」でこの日一番大きなシンガロングが湧き起こり、ステージ上の谷口と1万人近いオーディエンスは心をひとつに重ねて、クライマックスを迎えた。

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アンコールでは「ツアー初日だけど、ファイナルみたいな緊張感」と本音をこぼした谷口だったが、彼はこのライブ中に「どれだけ大きい場所に行くか。少なくとも、マイクを通した声でしが届かないところ、マイクを通さない声が届かないようなところまでは行こうと思ってますから」と、さらに上を目指すことを宣言。客席からは惜しみない拍手が送られた。

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歴史ある武道館という会場を自分ならではの“箱庭”と化し、大勢の観客とひとつの物語を作り上げていくというステージは、ある意味では実験的でもあるが、こうした試みを成功されられるのは今のTeleならではかもしれない。武道館という大会場で歌やメッセージをこんなにも近くに感じられたのも、随分と久しぶりのような気がしてならない。改めて谷口喜多朗というアーティスト、そしてTeleというソロプロジェクトの進化/成長のスピードに驚かされる。

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この武道館公演を成功させた今、Teleは『Live Tour 2024「箱庭の灯」』を無事完結させたあとにどんな場所に到達し、この先我々にどんな景色を見せてくれるのだろう。この日のライブが大きなターニングポイントになるのか、それとも単なる通過点のひとつに過ぎないのか。会場をあとにすると、そんな未来への期待が沸々と湧き出してきた……筆者にとってとても刺激的な一夜だった。

取材・文=西廣智一 撮影=太田好治

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