東京湾カットウ釣りでショウサイフグ29匹【神奈川・忠彦丸】絶品白子グルメに舌鼓
春から初夏にかけて人気の東京湾のショウサイフグ釣りだが、今シーズンは6月中旬まで釣果が伸びず、例年とは違う状況が続いていた。しかし、6月19日に大貫沖で大きな群れが見つかり、好釣果が続出。予約していた6月21日に対する期待が高まった。
忠彦丸でフグ釣り
訪れたのは金沢八景(漁港内)の忠彦丸。舵を握る前川悟史船長に話を聞いた。
「例年なら釣れているシーズンですが、連日気配が少なく鳴かず飛ばず。厳しい状況でしたが、先日、大貫沖に大きな群れが入ったようですし、きょうは少し期待してもいいのかなって思います。まぁ、出てみないとわかりませんが、みなさんで頑張っていきましょう」とコメント。
雨予報ということもあり、左舷4人、右舷3人の計7人。私は左舷胴の間に釣り座を構えた。
定刻に港を離れ、船はポイントを目指す。予報より早く雨が降り始めたものの、海上はナギ。航程40分で到着。
アンカリングして群れの回遊を待つイメージが強いこのエリアでの湾フグ釣りだが、この時期は大きな群れで回遊するため、まずはソナーで探すところからスタート。
徐々に各港の船が集まり始め、7隻が集結していた。すると、まるでイカ釣りのようにギュギュっとブレーキがかかり、「どうぞ。やってみましょう。水深は10mです」とアナウンスが流れて投入。
浅場でアタって高活性
1投目、オモリが着底する前に竿先がフワフワと動くアタリが到来。すかさず、手首を返す程度の小さなアワセを入れたが、時すでに遅く〝スカッ〟という手応え。仕掛けを回収すると、チラシ仕掛けのエサがすべて食われていて、いきなりの高活性モードに突入。
左隣に座った宮副さんがアタリを捉えて竿を曲げる。水深が浅く魚は元気。力強い横走りを見せながら上がったのは20cmオーバーの本命。「アタリが大きく出てくれて、アワセもしっかり決まりました」と、笑顔を見せる。
次に掛けたのは左舷大ドモの吉田さん。落ち着いたやりとりで、こちらも同級を手にする。自分のペースで、1尾と向き合いながら釣りをする姿勢は、ベテランらしいたたずまい。
左舷ミヨシは、同宿常連の林さんが、軽快にアタリを捉えていく。誘いから取り込みまで、一連の動きに無駄がなく、とてもスムーズ。コンスタントに手にしていく。
当日の釣況
スタート直後は小雨程度だったが、30分もすると海面に打ちつける雨音が騒音に感じるくらいの土砂降りになる。しかし、フグの活性は落ちることなく、群れが船下に入ると、船中至るところで竿が曲がっていく。
私も全身ずぶ濡れになりながら、出張続きで釣りができなかった期間を埋めるように、久しぶりのフグのアタリを存分に楽しむ。活性が高い状態では、釣りが雑になりがち。この日釣っていて感じたのは、食いが落ち着いた状況でのアタリの出方の変化について。
活性が高い状態は、フグは競ってエサを追いかけるため、アタリは大きく出やすい。一方、群れが抜け、エサをしっかり見てくるようになると、アタリも当然、小さくなっていく。
この時、気をつけたのは、まず誘いをていねいにおこなうこと。誘ったあとの仕掛けをストンと落とすのではなく、竿の穂持ちに仕掛けの重さを乗せながら、付けエサを周りにいるフグにアピールするイメージでゆっくりと着底させる。
そして、オモリ着底後は、仕掛けが海底で動かないように、ややマイナス気味のゼロテンションでステイ。このポジションを取った瞬間に、穂先が震えるような小さなアタリが出ることが多かった。
最終釣果
その後も変化する状況を見きわめながら、ポツポツと追加。最終的に、ショウサイフグ29尾とトラフグ1尾の計30尾。一段と雨脚が強まり、風も強まってきた13時すぎに早上がりとなった。
船中釣果は23~30cm12~30尾。ゲストにはマゴチやコウイカなどが交じり、悪天候のなかではあったが、アタリの多い一日となった。
絶品グルメを満喫
前川船長に今後の展望を聞くと「自然相手のことなので、毎日出船してみなければわかりませんが、この状態が安定してくれれば、しばらくは楽しめると思います。初心者でも、アタリをしっかり感じられるので釣って楽しいのはもちろん、食べて美味しいフグですから、ぜひ挑戦してみてください」と締めくくった。
遅れて推移していた白子シーズンを迎えた東京湾のショウサイフグ。船宿で可食部の身欠きの状態で渡してくれるので、帰ってからはテッサや唐揚げなど、好きな料理で楽しむだけ。
加えて今なら、食べて絶品の白子も期待できるとあれば、グルメアングラーはもちろん、フグ釣り初心者にも自信を持ってお勧めできる釣り物だ。
<週刊つりニュース関東版APC・田中義博/TSURINEWS編>
出船場所:横浜市・金沢八景 この記事は『週刊つりニュース関東版』2024年7月5日号に掲載された記事を再編集したものになります。