現役プロが熱血指導 大分に広がる「バスケの灯」 【大分県】
プロバスケットボール選手が技術指導するクリニックが大分市内で開かれた。参加したのは中学生年代の男女約40人。指導に立ったのは、いずれも現役Bリーガーで大分出身の熊谷航、金丸晃輔、満原優樹の3選手。プロチームのない県では、こうした取り組みは育成年代の強化だけでなく、地域にバスケットボールの熱を根付かせる大きなきっかけになる。
クリニックは2日間にわたって実施された。初日はパスやキャッチ、ドリブルといった基礎の徹底。2日目はそれを応用し、スペースの作り方や、ディフェンスの状況を見て判断し、得点に繋げる練習へ。「どうやってシュートに持ち込むか、どこでチャンスが生まれるか。人とボールが連動することで、簡単に打てる形を作れるはず」。熊谷は、選手たちの目を見て、丁寧に語りかけた。プロの技術だけでなく、思考の深さにも触れる内容だった。
指導する現役Bリーガー(右から熊谷、満原、金丸)
参加者たちには、新たな気づきが生まれた。日田協会ユースの三苫大河(3年)は「これまでゴール下のプレーが中心だったけど、もっとプレーの幅を広げたいと思った」と語る。プロ選手が当たり前のように、考えることと判断を、瞬時に繰り返しながらプレーする姿に「考えること」の大切さを痛感したという。
黒木莉奈(上野丘中3年)は「パスからシュートへの流れ、声をかけ合うことの大切さを学んだ」と話す。「チームに持ち帰って、県総体へ向けて全体の力を引き上げたい」と真剣なまなざしを見せた。同じく上野丘中の有永みな未(同)は、改めて「基礎の大切さ」を実感したという。「プロ選手も同じ練習をしていると知って、驚いたし、自分たちもやらなきゃと思った」。
熊谷は「今回のクリニックは、Bリーグがない大分のような地域こそ必要」と語る。「見本となる選手がいれば、目標ができる。僕の試合も見に来てほしいし、このサイズ(173cm)でも勝負できることを伝えたい」。その言葉には、地元バスケ界への思いがにじんでいた。
考えてプレーする大切さを指導した
(柚野真也)