【Noism0+Noism1『アルルの女』 / 『ボレロ』】誰も観たことのない『アルルの女』と『ボレロ』に!——Noism公開リハーサルに行ってきました
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館専属舞踊団、Noism Company Niigataの2025年夏・新作公演が、いよいよ6月27日(金)に幕を開けます!
作曲家・ビゼーの代表曲である『アルルの女』にのせて展開される新作と、これまでオーケストラとの共演で上演を重ねてきた『ボレロ』の新たな“劇場版”の2本立て公演です。
公演を目前に控えて行なわれた、公開リハーサルにお邪魔してきました!
公開リハーサルの会場は、公演会場でもある、りゅーとぴあの劇場。
すでに新作『アルルの女』リハーサルの真っ最中でしたが、ここから一部分を通しで見せてもらえることに。
ちなみに今回の『アルルの女』は、アルフォンス・ドーテによる短編小説を原作とする戯曲に着想を得て創作されます。
「アルルの女」という不在の女とフレデリという青年の自死の物語として有名な作品ですが、これが金森穣芸術総監督の演出振付により、どんな舞台に仕上がるのか…。
期待が高まります!
主人公は、糸川祐希さん演じる青年フレデリ。
母親・ローズ(井関佐和子)、弟・ジャネ(太田菜月)、ローズの父(山田勇気)という家族に囲まれ、ヴィヴェット(兼述育見 )という許嫁がいながらも、「アルルの女」への思いを募らせていきます。
印象的だったのが井関さん演じるローズの息子への溺愛ぶり。
全身から、指先からも、その愛の大きさ(重さというべきか!?)が伝わってくるようでした。
公開時間は実質25分ほど。
主要人物はもちろん、村の男女の動きも見応えがあり、ひとりひとりの表情や動き、美術からいろいろなことを読み取りたいと、集中して舞台に見入っていました。
カットをかけた金森監督からも、まずは「よかった! もっと観ていられた」とのお褒めの言葉が。
本当にもっと観ていたかった!!!!!!
その後、金森監督からひとつひとつのシーン、舞踊家に細かく指導が入ります。
特に、フレデリ役の糸川さんが金森監督に「君が主(役)なんだから」という言葉をかけられながらひとつの動きを何度も何度も繰り返していた場面や、自ら舞台に上がりローズの父役の山田さんに直接動きを指導していた場面などが印象に残りました。
公開リハーサル後、金森監督と、舞踊家として舞台にも出演する井関国際活動部門芸術監督による囲み取材が行なわれました。
今回の公演を『アルルの女』と『ボレロ』の2本立てにした理由を、井関監督は
「『アルルの女』は、(金森)穣さんに新作をお願いするにあたって、いくつか構想があるなかで、どれが今、この瞬間芸術監督としてやりたいかを聞いて決めました。この作品の上演時間がだいたい50分くらい。ひとつの公演としては短いので、なにかもう1本と考えた時に『ボレロ』を、と。昨年サラダ音楽祭でやってすごく好評でしたし、新潟の皆さんにはまだちゃんとした形でお見せできていませんし。15分と短い時間ですが、すごく濃密な作品です。物語があるものと踊りに身を捧げるものと、対照的な作品であるという点でもちょうどいいかなと」と教えてくれました。
『アルルの女』は「舞踊で紡ぐ音楽劇」という通り、物語性のある作品となります。
これについて金森監督は、
「物語とはいえ、数年前まで我々がやっていた『劇的舞踊』――きっちり台本を書いて、物語を先に作ってそれを舞台化するという手順ではなく、音楽と一緒に展開をしても、抽象度を保ったまま物語の本質だけを届けられるかに、今は興味がある。『アルル…』を題材にしたのは、原作を読んで、その物語が抱えている問題が現代的な問題と通ずるところがあると感じたことに加えて、舞台化するうえで組曲版と劇付随版の音楽をミックスすることで、唯一無二、どこでも観たことのない『アルルの女』を作れると思ったから」。
『アルルの女』を作品化したいと聞いた井関監督は、実は不安に思っていたと明かしてくれました。
「1年ちょっと前から“アルルを…”という話はあったんです。私は組曲版は知っていたし、この曲で踊ったこともありますが、劇付随版があるとは知らなくて。(金森監督を)信頼してはいるのでどういう作品にしていくんだろうという興味はありましたが、当初は“穣さんが芸術監督として今目指しているところ、興味のあるところに合うのかな”と正直心配していました」。
『アルルの女』演出ノートに、金森監督は「…本戯曲で扱われている共依存の問題は、きわめて現代的な問題なのである」と記しています。
「(中心として描かれる)家族はある種のメタファー。親がいようがいまいが、人間だれしも生まれた時には家族があり、逃れることができない。そういう関係性って家族以外にもあって、誰しもが“私の思い”“あなたの思い”の狭間で生きている。人間関係——関係性を持たなければ生きていけない“人間”というものに興味があるんです」。
これに対し井関監督は
「稽古を重ねるうちに、“すべては妄想だな”と思うようになってきていて。フレデリがアルルの女という妄想にとらわれるというところはすごく分かりやすいけど、母親もフレデリに対して、本人というより妄想に向き合っている。穣さんが話していたように、人と人との関係性って危ういよな、本当に相手のことを考えているのか自己満足なのか、その線引きは誰ができるのかなって。この作品にはある種の抽象度が含まれているからこそ、ひとりひとりで感じ方が違うと思う。だから、終わった後に皆さんに聞いてみたいです。人間とはなにかということを、どう感じましたかと」。
どう感じるんだろう…そう考えるだけでも公演が楽しみになります!
最後に一般的にも広く知られている『アルルの女』と『ボレロ』に今取り組むことに対して、金森監督は
「皆さんが耳にしたことがある音楽を用いても、自分の芸術性で勝負できるといえるくらいのところまで自分が来たという実感がある」と自信をのぞかせました。
井関監督も
「穣さん自身、芸術家としての核の部分が強くなってきていて、作品名にとらわれる必要がなくなっている。カンパニーとしては、キャッチーなものの方が多くの人に興味を持ってもらいやすいので、当然気にしなければならない部分ではあるけど、“Noismだからこれができる”っていうところに私たちも来ている。振付家と舞踊家がいいバランスで成熟してきているなと」。
これを受けての金森さんの言葉がインパクト大でした!
「既成概念、できあがっているイメージを壊したい。皆さんの価値観が変わるようなことに興味があるんです。知っている曲でも、(皆さんが持っているイメージとは)100%違うものを見せられる自信がある。ぶっ壊しますよ、イメージを!」。
誰も観たことのない『アルルの女』と『ボレロ』——もう期待しかありません!!!!
新潟公演は6月27日(金)~29日(日)の3日間、りゅーとぴあ 劇場にて開催されます。今回も絶対見逃せません!!
ぜひ劇場へ!
なお、28日(土)終演後には金森監督によるアフタートーク、29日(日)の開演前14:00~金森監督によるプレトークが開催されます。こちらもお楽しみに!
公演・チケットについての詳細はこちら (https://noism.jp/noism0-noism1larlesienne-bolero/)
Noism0+Noism1『アルルの女』 / 『ボレロ』
開催期間
6月27日(金)19:00~
6月28日(土)17:00~
6月29日(日)15:00~
会場名
りゅーとぴあ 劇場
会場住所
新潟市中央区一番堀通町3-2
料金
全席指定5,500円
U25 3,000円
高校生以下1,000円
問い合わせ先
りゅーとぴあチケット専用ダイヤル
問い合わせ先
電話番号
025-224-5521
リンク
https://noism.jp/noism0-noism1larlesienne-bolero/
備考